トップ 事例を探す 栃木県 【事例】栃木県大田原市の部活動地域展開 ─ 教育委員会運営型「若草女子バスケ・金田北女子バレー」2クラブで人材バンク7名・受益者負担月4,231円試算
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【事例】栃木県大田原市の部活動地域展開 ─ 教育委員会運営型「若草女子バスケ・金田北女子バレー」2クラブで人材バンク7名・受益者負担月4,231円試算

公開:2026.05.07 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・市教育委員会が運営主体となる市区町村運営型で女子2クラブを立ち上げ、人材バンク7名を令和6年12月に設置
・高校生・小学生・ママさんバレーとの多世代交流で生徒45%・保護者86%が賛成と回答
・受益者負担を月4,231円・1回1,976円と試算し、平日部活動も週4日から週3日に見直し

自治体名 栃木県大田原市
人口規模 69,470人(面積354.36km²)
中学校数 公立中学校8校(生徒数1,694人・部活動57部)
運営形態 市区町村運営型 ― 大田原市教育委員会が直接運営主体
対象競技 バスケットボール・バレーボール(女子)の2クラブ2種目
保護者負担額 会費0円(実証事業中)/スポーツ安全保険料800円・年

取り組みの概要

大田原市では、令和6年度のスポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)」を活用し、市教育委員会が運営主体となって2つの女子地域クラブ「若草女子バスケットボールクラブ」「金田北女子バレーボールクラブ」を令和6年10月から開始しました。市内中学校の部活動数(57部活)に対し、生徒数は令和2年の約1,800人から令和11年に約1,500人へ減少する見通しで、団体競技を学校単独で実施することが困難になっていることが背景にあります。市は休日部活動の地域クラブへの移行と並行して、平日部活動の活動日数(週4日→週3日)見直しと活動時間の夜間化も実施しました。

特徴的な取り組み

  • 地域クラブ活動指導員人材バンク(7名)の設置: 令和6年12月に設置した人材バンクには会社員・部活動指導員・団体職員・会計年度任用職員・無職など多様な属性の指導者を登録。年代も30代〜60代以上にわたり、JSB公認コーチ・剣道段位取得者などの有資格者も含まれます。
  • 多世代交流型の運営: 若草女子バスケでは中学生10名に加え地元の高校生・小学生と合同練習を実施。金田北女子バレーでは小学生・地元ママさんバレーチームと合同で活動し、参加生徒の45%・保護者の86%が「多世代交流に賛成」と回答しました。
  • 中学校部活動地域クラブ活動推進連携会議: 教育委員会(教育総務課・学校教育課・生涯学習課・スポーツ振興課)と首長部局(文化振興課)で構成する庁内横断会議を令和6年度に4回開催。施設使用料の減免措置や運営ルールを継続的に検討しています。

課題と解決策

課題 解決策
生徒数減少と教員数減で団体競技の単独校維持が困難 近隣校の生徒が拠点校に集まる「拠点校部活動」と地域クラブの併用で活動機会を確保
受け皿となる総合型地域スポーツクラブが少なく、運営団体の確保が困難 市教育委員会自らが運営主体となり、市スポーツ協会・市スポーツ少年団との連携を強化して人材を確保
地域クラブ運営の持続可能性(スポーツ活動費365,400円・保険料23,888円) 受益者負担額を試算(月額4,231円・1回ごと1,976円)したうえで、企業協賛・行政支援を組み合わせた仕組みを設計

成果・効果

令和6年10月〜令和7年1月の4ヶ月間、参加者23人・延べ197人で実施。生徒アンケートでは「次年度も休日地域クラブ活動に参加したい」が74%(とてもそう思う44%+まあそう思う30%)、保護者アンケートでも「次年度も地域クラブ活動として実施してほしい」が71%(19%+33%+38%※集計含む)に達しました。教職員からは「顧問が休めるようになり負担軽減につながった」「生徒が専門的な知識や技能を習得できた」との評価があり、平日部活動指導員を兼務する地域クラブ指導者を配置する工夫により、平日と休日の指導の一貫性も確保できています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 栃木県大田原市」

→ 参考: 大田原市公式ホームページ「中学校部活動の地域移行及び地域クラブ活動指導者人材バンクの設置について」

→ 参考: 大田原市公式ホームページ「大田原市地域クラブ活動等の環境整備について」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

大田原市は、受け皿となる総合型地域スポーツクラブが市内に少ない制約のなかで、市教育委員会自身が運営主体となる市区町村運営型を採用しました。令和6年10月に女子バスケットボール・女子バレーボールの2クラブを立ち上げ、令和6年12月には会社員・部活動指導員・有資格者など多様な属性の指導者7名を登録する地域クラブ活動指導員人材バンクを設置しています。さらに収支構造をスポーツ活動費・保険料・事務局運営費の3区分に分けて受益者負担額月4,231円・1回1,976円を試算した透明性の高い検証や、教育委員会と首長部局による庁内横断の連携会議を年4回開催し施設使用料の減免などを継続検討する仕組みに特徴があります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

教育委員会運営型の運営形態では茨城県神栖市愛知県豊明市愛知県常滑市が市教委直営で立ち上げた事例にあたり、受け皿不足を行政の機動力で補う点が共通します。受益者負担額の比較では奈良県橿原市が月1,000円、静岡県磐田市が月2,000円という先行例があり、大田原市の試算月4,231円は企業協賛・行政支援を組み合わせる前提のもとで提示された透明な収支設計として位置づけられます。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

大田原市の今後の最大の論点は人材バンクの規模拡大です。市内57部活動のうち団体競技を順次地域移行する場合、現在の7名から数十名規模への拡充が必要となるため、市はスポーツ少年団・指導者講習会・市ホームページ・広報メールなど多経路での周知を進める方針を示しています。あわせて、地域クラブが学校関係団体に該当しないことから生じる施設使用料の取扱いも、教育委員会と首長部局の連携会議で減免ルールの整備が並行して検討されています。

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