トップ 事例を探す 栃木県 【事例】栃木県栃木市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブとNPOの二本柱で5校9種目に段階拡大
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 栃木県

【事例】栃木県栃木市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブとNPOの二本柱で5校9種目に段階拡大

公開:2026.04.28 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・既存の総合型クラブとNPO2団体の活用で、立ち上げコストと期間を大幅に削減
・月1〜2回の定期連絡会で、学校顧問と外部指導者の指導方針の統一を継続的に実現
・複数校合同の地域クラブ運営により、アーチェリー・柔道など希少種目が継続可能に

自治体名 栃木県栃木市
人口規模 約14.8万人(2026年3月時点)
中学校数 14校(公立)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ(栃木スマイルコミュニティ)・NPO法人(栃木スポーツネット)
対象競技 女子ハンドボール、卓球、陸上競技、女子バドミントン、バドミントン、男子卓球、バレーボール、アーチェリー、柔道(計9種目・令和6年度時点)
保護者負担額 調査時点で未公表

取り組みの概要

栃木市は令和5(2023)年度から「学校部活動から地域クラブ活動へ」の移行をスタートし、休日のスポーツ活動を段階的に地域へ移行する取り組みを進めています。初年度は吹上中学校(女子ハンドボール・卓球)と平井中学校(陸上・女子バドミントン)の2校4種目から開始し、令和6年度には吹上中・平井南中・西方中・岩舟中が加わり計5校9部活へと拡大しました。運営は市内の総合型地域スポーツクラブ「栃木スマイルコミュニティ」とNPO法人「栃木スポーツネット」が担い、既存の地域スポーツ基盤を活用した移行モデルを構築しています。

特徴的な取り組み

  • 既存地域クラブの活用:新たな受け皿を行政が立ち上げるのではなく、既に実績のある総合型地域スポーツクラブとNPO法人の2団体を活用することで、立ち上げコストと期間を大幅に圧縮しました。
  • 平日顧問と週末指導者の連絡会:月1〜2回の連絡会を設定し、平日に生徒を指導する学校顧問と、週末の地域クラブ活動を担う外部指導者が情報を共有。一貫した指導方針を維持する体制を整えました。
  • スマホアプリ・SMSによる連絡効率化:保護者と指導者の連絡手段としてスマートフォンアプリおよびSMSを活用し、出欠連絡や緊急時の対応をスムーズにする仕組みを導入しました。
  • アーチェリーなど希少種目の提供:学校単独では維持が難しいアーチェリーや柔道なども地域クラブ活動として提供し、生徒の選択肢を広げています。

課題と解決策

課題 解決策
専門的な指導ができる外部指導者の確保 地域のスポーツ協会等と連携し、「地域クラブ活動指導者」として登録・活用する仕組みを整備。1種目につき原則1名(陸上は複数イベント対応で2名)を配置
平日顧問と週末指導者の指導方針の齟齬 月1〜2回の定期連絡会を開催し、生徒の状況・競技方針・大会情報を双方で共有。継続的なコミュニケーションで齟齬を防止
保護者との連絡体制の構築 スマホアプリ・SMSを導入し、欠席連絡や緊急時の対応を迅速化。従来の紙・電話中心の連絡から切り替えた

成果・効果

令和5年度の2校4種目から令和6年度には5校9種目へと着実に拡大しており、段階的な移行が軌道に乗っています。平日顧問と週末地域指導者の定期連絡会を通じた連携体制が機能しており、学校と地域の指導の一貫性が保たれていると報告されています。アーチェリーや柔道など、これまで学校単独では継続が難しかった種目についても地域クラブとして提供できるようになり、生徒の活動の選択肢が拡大しています。

出典

→ 原文: 栃木市立中学校における部活動地域移行の取組み〜学校部活動から地域クラブ活動へ〜(栃木市ホームページ)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

栃木市が採用した方式の核心は、既存の地域スポーツ組織を二本柱の運営主体として活用する点にある。行政が新たな受け皿団体を一から設立するのではなく、すでに地域に根付いた総合型地域スポーツクラブ「栃木スマイルコミュニティ」とNPO法人「栃木スポーツネット」の2団体に運営を担わせることで、立ち上げコストと準備期間を大幅に圧縮した。令和5年度の2校4種目という慎重なスタートから、令和6年度には5校9種目へと着実に拡大しており、段階的移行が地域の受け皿能力と噛み合った結果として評価できる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みで地道ながら機能している仕組みが、月1〜2回開催する「平日顧問と週末指導者の定期連絡会」だ。学校で生徒を担当する顧問と、週末の地域クラブ活動を指揮する外部指導者が生徒の状況・競技方針・大会情報を定期的に共有することで、「学校部活と地域クラブで指導方針が乖離する」という移行後の典型的な問題を構造的に防いでいる。加えて、保護者との連絡にはスマートフォンアプリとSMSを導入し、欠席連絡や緊急時の対応を迅速化する体制も整えた。費用をかけずに対話の場を設けるシンプルな発想が、あらゆる規模の自治体に応用できる実践として際立っている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

この事例は、地域に既存の総合型クラブやNPOが存在することを前提とするため、受け皿がない自治体での直接の移植は難しい。ただし定期連絡会の設置は追加費用ゼロで始められ、複数校合同運営による希少種目の存続という成果は少子化が進む地域に広く示唆を与える。同じ栃木県内の佐野市の事例とあわせて参照すると、県内における移行モデルの多様性が確認できる。

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