トップ 事例を探す 京都府 【事例】京都府舞鶴市の部活動地域展開 ─ 令和3年度から12クラブ9競技・参加費ゼロで東西分散合同練習と「基礎部活」を4年間継続
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 京都府

【事例】京都府舞鶴市の部活動地域展開 ─ 令和3年度から12クラブ9競技・参加費ゼロで東西分散合同練習と「基礎部活」を4年間継続

公開:2026.05.03 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・令和3年度から4年間で3種目→12クラブへ段階的に拡大し、令和8年度2学期の全面停止を目指す
・東西に分断される地形に対応し、複数種目の合同練習を東西2拠点に分散して参加しやすさを確保
・参加費ゼロを維持しつつ「基礎部活」で競技未加入の生徒も取り込む独自の参加設計

自治体名 京都府舞鶴市
人口規模 約7.6万人(75,790人・令和6年4月1日)
中学校数 7校(生徒数1,941人)
運営形態 舞鶴市教育委員会・スポーツ振興課・文化振興課(首長部局)合同運営、各競技団体・連盟が活動実施主体
対象競技 柔道・剣道・ソフトボール・陸上競技・バスケットボール・ソフトテニス・卓球・軟式野球・基礎部活(ゆる部活・トレーナー部活)計9種目12クラブ
保護者負担額 月会費0円・年会費0円(スポーツ安全保険800円/年別途)

取り組みの概要

舞鶴市は人口約7.6万人、五老ヶ岳を境に城下町として発展した西地区と明治時代に軍港として整備された東地区の2つのエリアからなる京都府北部の都市です(令和6年度)。公立中学校7校に1,941名の生徒が在籍し、62の運動部活が活動しています。東西間は自転車での移動が難しく、市街地周辺でも活動場所への移動距離が長いという地理的制約が、地域クラブ運営の構造的な課題となっています。

舞鶴市は令和3年度に国の地域部活動推進事業を受け、柔道・剣道・陸上競技の3種目で地域クラブ活動を開始した先行自治体です。令和4年度にソフトボールと「基礎部活」を追加、令和5年度には10種目13競技団体の協力のもとで大幅拡大、令和6年度はスポーツに加え文化系も取り入れ、9競技12クラブ体制で実施しました。令和6年度中に「舞鶴市部活動地域展開推進計画」を策定し、令和8年度2学期の休日部活動全面停止を目指しています。

運営体制は教育委員会(学校教育課)が受入実施団体・学校との調整・費用支払いを担い、首長部局(スポーツ振興課・文化振興課)が活動場所の確保・競技・文化団体への説明・指導者研修を担う教育委員会と首長部局の合同運営体制です。全クラブ参加費ゼロ(スポーツ安全保険のみ実費)で指導者80名・運営スタッフ20名が12クラブを支えています。

特徴的な取り組み

  • 東西2カ所の合同練習拠点設置による地理的制約への対応:五老ヶ岳で東西に分断される地理的特性に対し、ソフトテニス・卓球・バスケットボールなど複数の種目で東西2カ所に分けた合同練習を実施。「2カ所に分けることで交通の不便が緩和され、生徒にとって参加しやすい状況であった」と報告書にも明記されており、広域市町村における分散拠点型の運営モデルを実践しています。
  • 「基礎部活」(ゆる部活・トレーナー部活)という独自カテゴリの導入:競技の勝ち負けにこだわらないレクリエーションスポーツ(ゆる部活)と運動の基礎となるストレッチ・トレーニング(トレーナー部活)を「基礎部活」として分類し、舞鶴ちゃったスポーツクラブが運営。スポーツが得意でない生徒や部活動に所属していない生徒も参加できる設計で、競技系クラブとは異なる参加層の取り込みを図っています。
  • 令和3年度から4年間継続した実証で推進計画策定まで到達:柔道・剣道・陸上競技の3種目からスタートした舞鶴市の取り組みは、令和6年度に12クラブ体制まで拡大し、推進計画(令和6年度策定)の基盤となりました。柔道については毎週土曜日に年26回実施する形が定着し、「学校顧問の負担はほぼなくなった」という成果が確認されています。参加率は柔道86.0%・剣道70.0%・ソフトボール77.8%と高く、令和3年度から継続した種目ほど参加率が高い傾向があります。
  • スポーツ・文化指導者100名以上が参加した意見交換会による地域連携の構築:令和6年8月21日に「地域移行・連携のための説明会・意見交換会」を舞鶴市総合文化会館で開催(二部構成)。スポーツ・文化団体指導者と中学校教員が100名以上集まり、今後の地域展開の方向性について話し合いを実施。「各競技種目において、地域の指導者と中学校顧問が定期的に話し合いを持ち連携を深め、地域移行を進めていくベースをつくることができた」(報告書より)。

課題と解決策

課題 解決策
東西に分断される地理的特性で合同練習への参加が困難 ソフトテニス・卓球・バスケットボール等で東西2カ所に合同練習拠点を分散。城南中・伊佐津中・前島・丸山(ソフトテニス)、城北中・城南中・青葉中・白糸中(卓球)など複数会場で運営し、徒歩・自転車圏内での参加を実現
部活動所属生徒の参加率が全体の約30%にとどまる(特に陸上・卓球・ソフトテニスで低い) 中学校顧問総数を目標に指導者確保を強化し、参加可能な生徒数を最大化。令和6年度末に生徒・保護者向けの広報を実施。次年度以降に人材バンクと指導者研修を導入して参加促進を図る
持続可能な財源の確保(現在は参加費ゼロだが試算上は月2,200円以上が必要) 令和8年度2学期の全面停止まで保護者負担を求めない方針を維持。令和7年度中にクラブ活動参加費の補助制度等を具体的に検討。本格展開時に費用が数倍になる見込みのため、国・府・市の複数財源確保を計画
コーディネーター未配置で指導主事が実質的な調整役を担う 令和6年度は学校教育課の指導主事が学校・競技団体へのヒアリング・助言・連絡調整を実施。次年度以降は専任コーディネーターの役割明確化・予算化、資質向上のための研修を検討

成果・効果

令和6年度は9競技12クラブが稼働し、指導者80名・運営スタッフ20名体制で合計338名の生徒(部活所属807名の41.9%)が実証事業に参加しました。種目別では柔道43名(86.0%)、剣道42名(70.0%)、ソフトテニス64名(36.4%)、バスケットボール55名(40.7%)などで多くの参加者を確保。令和3年度から継続してきた柔道では毎週土曜日の定例活動が定着し、学校顧問の負担がほぼなくなるという地域移行の本来目的を達成した事例が生まれています。

令和6年度には舞鶴市部活動地域展開推進計画(案)のパブリックコメント(令和7年1月)を経て令和7年3月に推進計画を策定。令和8年度2学期に休日部活を全面停止するロードマップが明確になりました。子どもの声として「学校の部活動と違い地域クラブ活動では色々な先生に教えてもらえるのが嬉しい」「他の市の道場からもたくさんの生徒が来るので、活気があって自分も頑張ろうと思える」といった声も集まっています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(京都府・福知山市・舞鶴市・綾部市)|スポーツ庁

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

舞鶴市は令和3年度に国の先行自治体として柔道・剣道・陸上競技の3種目で地域クラブ活動を開始し、令和6年度には9競技12クラブへと段階的に拡大した。全クラブで参加費ゼロ(スポーツ安全保険800円/年のみ実費)を維持しながら、指導者80名・運営スタッフ20名が338名の生徒(部活所属807名の41.9%)を支援した。令和6年度末には推進計画を策定し、令和8年度2学期の休日部活動全面停止を目指すロードマップを確定させた。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

五老ヶ岳によって東西に分断される地形的特性に対し、舞鶴市はソフトテニス・卓球・バスケットボールなど複数種目で合同練習拠点を東西2カ所に分散する体制を構築した。報告書は「2カ所に分けることで交通の不便が緩和され、生徒にとって参加しやすい状況であった」と記録している。また、競技の勝ち負けにこだわらないレクリエーション系「ゆる部活」とストレッチ・トレーニング系「トレーナー部活」を「基礎部活」として分類し、部活動に所属していない生徒も参加できる仕組みを設けることで、競技系とは異なる参加層の取り込みを図った。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和3年度から継続してきた柔道では毎週土曜日・年26回の活動が定着し、参加率86.0%・「学校顧問の負担はほぼなくなった」という成果が確認された。同じ京都府北部の京都府綾部市とともにスポーツ庁の同一報告書に収録された記録は、継続年数が長い種目ほど参加率が高い傾向を示している。

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