【事例】愛知県豊明市の部活動地域展開 ─ 教委直営・柔道とソフトテニス2種目・部活アプリ導入・参加費0円モデル事業
・愛知県豊明市が教委直営・スポーツ協会加盟団体委託で柔道・ソフトテニス2種目を参加費0円で実施した仕組み
・「部活アプリ」導入による出欠・連絡・スケジュール管理のデジタル化効果
・2種目スモールスタートから段階的に種目拡大する地域移行モデルの設計思想
| 自治体名 | 愛知県豊明市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約6.9万人 |
| 中学校数 | 3校(全生徒数1,728名) |
| 運営形態 | 豊明市教育委員会(市スポーツ協会加盟団体に実施委託) |
| 対象競技 | 柔道、ソフトテニス(計4クラブ) |
| 保護者負担額 | 0円/年(モデル事業期間は無料) |
取り組みの概要
豊明市は愛知県中部に位置する人口約6.9万人の市です。公立中学校3校に1,728名の生徒が在籍し(令和6年度)、33の部活動が活動しています。各校の部活動は主に教員が指導していますが、負担が大きく休日の部活動の実施が困難になっている部活もあり、持続可能な活動の受け皿の準備が喫緊の課題となっていました。こうした状況を踏まえ、市教育委員会が運営主体となり、柔道とソフトテニスの2種目でモデル事業として地域クラブ活動を開始しました。
令和6年度の実証では、市スポーツ協会に加盟している「豊明柔道クラブ」と「豊明市ソフトテニス協会」の2団体に実施を委託し、4クラブ・35名の指導者・6名の運営スタッフ体制で活動を実施しました。参加費は0円で、活動場所は市内中学校です。柔道は月2回・ソフトテニスは月4回の活動を実施し、柔道は平均23名/回・ソフトテニスは平均25名/回の生徒が参加しました。
今後は他の種目への展開が課題であり、受け皿となる団体の掘り起こしと指導者の確保が大きな課題です。令和6年度の2種目モデル事業の成果と課題を踏まえ、段階的な種目拡大を図っています。
特徴的な取り組み
- 「部活アプリ」の導入による出欠・連絡・スケジュールのデジタル一元管理:参加者の出欠管理・参加者と保護者・指導者への連絡・スケジュール管理を一元的に行うツールとして「部活アプリ」を導入。指導者と参加生徒・保護者との連絡やスケジュール管理がスムーズになり、従来の紙・電話ベースの連絡を削減しました。
- 市スポーツ協会加盟団体への委託による指導者確保と質の担保:豊明柔道クラブ・豊明市ソフトテニス協会という市スポーツ協会に加盟している専門性の高い団体に実施委託することで、外部指導員など日常的に部活動外部指導員を務める方が関わる安心・安全な活動環境を確保しました。
- 参加費0円で参加ハードルを最小化:モデル事業として実施する令和6年度は参加費を0円に設定。経済的事情にかかわらず参加できる環境を整え、地域クラブ活動の認知と参加者確保を優先する戦略的な無料設定です。
- 教委が運営主体となる直営型でモデル事業を段階的に実施:スポーツ協会加盟団体への委託はありますが、市教育委員会が運営主体として全体の調整・費用管理・進捗管理を担う直営型モデルを採用。責任の所在を明確にしつつ、既存の地域スポーツ団体の知見を活用する構造です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 2種目(柔道・ソフトテニス)以外への種目拡大 | 令和6年度の2種目モデル事業の成果を踏まえ、他の種目についても受け皿となる市スポーツ協会加盟団体の掘り起こしを進め、段階的に種目を拡大する計画 |
| 各校8割が参加する部活動全体への対応(受け皿の整備) | 現在は柔道・ソフトテニスの2種目のみでの実施。指導者の確保が追いつかない種目については、地域の指導者候補の発掘・養成を進め、受け皿となる団体が揃い次第順次移行 |
| 参加費0円から有償化への移行時の保護者理解 | モデル事業期間(令和6年度)は無料で実施し、参加しやすい環境を整備。全面実施に向けて適切な受益者負担の水準と補助制度を検討 |
| 部活アプリ導入後の運用定着と活用範囲の拡大 | 令和6年度の試験的導入で連絡・スケジュール管理のデジタル化効果を確認。全種目展開時にも同ツールを活用できるよう運用ルールを整備 |
成果・効果
令和6年度は3校・4クラブ(柔道・ソフトテニス)が稼働し、指導者35名・運営スタッフ6名体制で活動を実施しました。柔道は月2回・平均23名/回、ソフトテニスは月4回・平均25名/回の参加を記録しました。地域の専門団体(豊明柔道クラブ・豊明市ソフトテニス協会)が指導にあたることで、「保護者や子どもたちが安心して活動に参加できる環境づくりができた」という評価を得ています。
「部活アプリ」の導入により、出欠管理・連絡・スケジュール管理のデジタル化が実現しました。指導者と参加生徒・保護者の情報共有がスムーズになり、事務的な負担が軽減されました。今後は他種目への受け皿団体の掘り起こしを進め、段階的な地域クラブ活動の拡大を目指しています。
出典
→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業成果報告書 概要(愛知県)|スポーツ庁
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
豊明市のモデル事業で最も注目に値するのは「部活アプリ」の導入です。地域移行において現場の最大の負担は指導そのものより「連絡・出欠確認・スケジュール調整」という日常的な事務作業です。保護者・指導者・運営管理者が同一アプリで情報共有できる仕組みは、このボトルネックを解消する有効な手段です。豊明市は大府市と同様に「部活アプリ」を導入しており、愛知県内の実証事業でデジタルツール活用が広がっていることが見て取れます。
市スポーツ協会加盟団体への委託という選択も合理的です。柔道クラブとソフトテニス協会という地域に根ざした専門団体が指導にあたることで、保護者が安心して子どもを任せられる環境が生まれています。「スポーツ協会加盟団体なら質が担保されている」というロジックは、他自治体でも活用できる指導者選定の基準として有効です。
2種目からのスモールスタートも参考になります。33部活全体を一度に移行しようとすると準備のコストと調整の複雑さが飛躍的に増します。柔道・ソフトテニスという受け皿団体が既に存在した種目から始め、成果と課題を確認してから拡大するアプローチは、無理のない段階移行を可能にします。
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