【事例】新潟県新発田市の部活動地域展開 ─ 認定NPO法人「とらい夢」を運営団体に令和8年度から休日部活動を完全展開、1回200円の参加費から月500〜2,000円の月謝制へ
・認定NPO法人「とらい夢」を運営団体に、9種目17クラブから令和8年度の休日完全展開へ進んだ新発田市の体制
・事業費640万円のうち受益者負担12.5%の収支と、1回200円から月500〜2,000円の月謝制への切替の理由
・アプリでの参加費徴収、資格取得補助と研修、学校施設の割振りなど、運営団体による一元管理の具体策
| 自治体名 | 新潟県新発田市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約9.0万人(90,143人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校10校(生徒2,367人・運動部65部) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ(市が責任主体となり、認定NPO法人新発田市総合型地域スポーツクラブ「とらい夢」へ業務委託。とらい夢が運営体制の整備、活動の実施、参加費の徴収、指導者謝金の支払い、保険加入、実施主体との連絡調整を担う)。教育委員会学校教育課が「新発田市地域部活動設置連絡協議会」を運営し、協議会が地域クラブを認定 |
| 対象競技 | ラグビー、バレーボール、軟式野球、卓球、新体操、サッカー、陸上、ソフトテニス、バスケットボール(令和7年度9種目17クラブ)。令和8年度は吹奏楽などの文化部を含め、休日に活動を希望するすべての部活動に受け皿を用意 |
| 保護者負担額 | 令和7年度は年会費2,000円(スポーツ安全保険料を含む)+参加費1回200円。令和8年度は月謝制で、月4〜5回程度が月2,000円、月2〜3回程度が月1,000円、月1回程度が月500円 |
取り組みの概要
新発田市では中学3年生の生徒数が平成25年の956人から令和7年には821人に減り、団体スポーツの将来的な存続は難しいとして、令和4年度に「令和8年度に休日部活動の地域展開を完了させる」という目標を立てました。同年8月に市の関係部署・中学校・市内スポーツ団体などで「新発田市地域部活動設置連絡協議会」を発足させ、総合型地域スポーツクラブを運営団体とする新たな地域クラブ体制を令和7年度末までに構築する推進計画を策定しています。令和5年度に地域クラブの認定基準と受益者負担の仕組みを作り、令和6年度にラグビーと剣道の休日の部活動を地域クラブ活動へ移しました。令和7年度は9種目17クラブ(32部活動分)に広げ、協議会は4回の会議で地域クラブを順次認定しました。報告書は、令和8年度から全ての休日部活動を地域クラブ活動に移すことができたとしています。
特徴的な取り組み
- 認定NPO法人を運営団体に、各クラブを加盟団体に: 運営団体の「とらい夢」は県が認定した認定NPO法人で、市は暴力の根絶やコンプライアンスの徹底を守った運営を担える団体だとしています。各地域クラブ(実施主体)をとらい夢の加盟団体とすることで、活動内容・参加生徒数・指導者を把握し、指導者がいなくなったり参加者が減って謝金が払えなくなったりしないよう持続可能な仕組みを考えたとしています。
- 地域クラブアプリで参加費回収率100%: 令和6年度は現金を扱わないためにチケット制を導入しましたが、指導者のチケット回収の手間や生徒のチケットトラブルがあり、保護者会からキャッシュレス決済の要望が出ました。令和7年度は地域クラブアプリで保護者連絡・参加費徴収・活動報告を行い、参加費の回収率100%、紙の入会申込書の廃止、現金の取り扱いゼロを実現しています。
- 年70回程度の打合せと全保護者会での説明: 「団体打合せ→教職員との打合せ→保護者会での説明」の流れで、令和7年度中に70回程度の打合せを行いました。休日に活動しているすべての部活動の保護者会で説明し、小学6年生とその保護者には入学説明会で説明、3月には「令和8年度入部の手引き」を配っています。
- 指導者の資格取得補助と研修: 当初は公認スポーツ指導者資格を認定基準にしていましたが、指導者が集まらず、資格取得の意思がある経験者でもよいと基準を緩めました。その代わりに受講料などを半額(2万円まで)補助し、22名に資格取得の助成を行いました。12月には新潟医療福祉大学の西原康行副学長を講師に、コーチング・ハラスメント防止・アンガーマネジメントを扱うインテグリティ研修を平日夜と休日午前の2回開いています。
- 学校施設の無料優先利用と運営団体による割振り: 中学校10校の施設は地域クラブが無料で優先的に使え、活動枠の割振りはとらい夢が行います。年間定期利用は前々月20日までにQRコードで申し込み、前月10日までにアプリで割振表が示されます。スポーツ施設・公民館は原則使わず、使う場合は使用料を全額負担しますが、前日に予約がなければ体育施設の子ども無料化の制度で無料で使えます。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 1回200円の参加費は欠席状況に左右され、受益者負担割合は予定の36.9%に対し実際は12.5%にとどまった | 令和8年度は活動回数に応じた月謝制(月2,000円・1,000円・500円)に切り替える。経済的困窮世帯の参加費の減免・援助も検討する |
| 学校単位でクラブを残したいという意見が多く、保護者会を母体とするクラブが増えて46クラブになり、指導者数の増加で1回あたり670円の受益者負担になると市は試算 | 運営が不安定なクラブの統合を視野に、指導者・生徒・保護者の意見を聞きながら適正な参加費を目指す |
| 指導者が不在で保護者の見守り中心のクラブや、新1年生が少ないと人数がそろわないクラブがある | 教育委員会が随時保護者会に参加して相談に乗り、毎年度状況を把握して今後の運営を話し合う |
| 資格を持つか研修会に参加した指導者の割合が66%にとどまる | 認定地域クラブ指導者の登録制度を整備し、研修受講の義務と登録取り消しの要件を示す。研修のオンライン配信も検討する |
| 運営団体の一括管理(参加費・謝金の一律設定、アプリへの加入、公共施設の利用ルール)に自由度の少なさを感じる指導者・保護者がいる | 関係団体と協議して改善し、個別の相談に丁寧に対応する |
成果・効果
令和7年度の事業費は640万5,108円で、収入はスポーツ庁の公費が86.5%、市の公費が1.0%、受益者負担が12.5%(80万4,600円)でした。支出は指導者謝金が47.7%、人件費や消耗品費などの事務局運営費が52.3%です。受益者負担が予定より下がった理由として、市は参加人数10〜15人の少人数のクラブが多くできたこと、参加人数のわりに指導者が多くついたこと、欠席者が多く参加費を回収できなかったことを挙げています。令和8年度の参加費は、国・県・市が3分の1ずつ負担すると仮定したシミュレーション(1回400円なら不足額は1,198万8,000円)を踏まえ、1回400円を基準にした月謝に決めました。指導者謝金は令和7年度の1時間1,600円(3時間まで)から、令和8年度は1時間1,200円(3時間まで)に下げています。令和7年12月にスポーツ庁から受益者負担額の目安として1,000〜3,000円程度が示され、保護者・指導者からはおおむね理解を得たものの、一部からは高いという声も出ています。
令和7年9〜10月のアンケートでは、先行して地域クラブで活動している生徒の89%が休日の地域クラブ活動に肯定的に答えました。「他の学校とも一緒に練習することができて仲も深められるから」「的確なアドバイスをしてくれるから」という声がある一方、「親に送迎などの都合をつけてもらうのが大変だった」「自分たちの中学校だけでやりたい」という声もありました。令和8年度から展開する部活動の生徒では、自分の中学校で行えるなら参加したいという肯定的な回答が72%、他の中学校や公共施設で行う場合は52%でした。軟式野球では3〜4チーム合同の地域クラブを作りましたが、夏休みの平日の合同練習は移動手段が確保できず実現していません。6月には県や下越地区の市町村、とらい夢が集まる担当者連携協議会を開き、ほとんどの市町村が市町村をまたいだ地域クラブへの参加を認めることになりました。令和8年度はクラブの再編と体制整備、受益者負担の抑制と多様な財源の活用、平日の地域展開に向けた課題の洗い出しを進める計画です。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 新潟県新発田市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 新潟県新発田市」(報告書検索システム)
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