【事例】長野県諏訪市の部活動地域展開 ─ 市卓球協会への委託で休日の卓球を地域クラブ化、実証2年目に月1,000円の会費を導入し県立中の生徒にも参加の門戸
・諏訪市卓球協会への業務委託で、休日の卓球を3校会場・指導者24人で運営する諏訪市の体制
・初年度は無料、2年目に保護者の合意を得て月額1,000円の会費を導入した費用負担の進め方
・県立中学校の生徒への参加開放、学校施設の優先使用、他競技との個別懇談という展開の手順
| 自治体名 | 長野県諏訪市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4.7万人(46,770人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校4校(生徒1,141人・運動部11部活)。市内に県立中学校1校もある |
| 運営形態 | 競技団体への業務委託(諏訪市スポーツ協会加盟の諏訪市卓球協会と実証事業業務委託契約を締結)。主管は教育委員会教育総務課で、生涯学習課・スポーツ課が各種団体との連携調整を担当 |
| 対象競技 | 卓球(令和7年度・1クラブ。2つの卓球部を地域クラブ化した形) |
| 保護者負担額 | 月額1,000円(年額12,000円・令和7年度から徴収。大会等はその都度徴収)。スポーツ安全保険は生徒1人あたり800円/年 |
取り組みの概要
諏訪市では少子化による生徒数の減少や部活動の加入率の低下で、これまでと同様の部活動体制を維持することが難しくなっています。市は受け入れ態勢の整った卓球について、運営団体の体制整備、指導者の確保、費用負担などを検証する実証事業を令和6年11月に始めました。運営は諏訪市スポーツ協会に加盟する諏訪市卓球協会に業務委託し、毎週土曜日の午前中に上諏訪中学校・諏訪中学校・諏訪西中学校の3校を会場に活動しています。令和7年度は実証2年目として、保護者の合意を得たうえで月額会費の徴収を始めました。市は各種団体と令和8年度末をめどに休日の学校部活動の地域クラブ活動への移行完了を目指して懇談を進めており、可能な種目から地域展開を進める方針です。協議会(諏訪市部活動地域連携等協議会)は設置済みで、推進計画・ガイドラインは策定に向けて準備中です。
特徴的な取り組み
- 競技協会が休日の受け皿を担う: 諏訪市卓球協会が指導内容・指導方針の作成、スケジュール管理、生徒への連絡調整、スポーツ安全保険の加入手続き、指導者への謝金の支払いを担っています。統括責任者・統括副責任者・運営補助者(事務)各1名の3人が運営スタッフで、指導者は協会会員24人です。協会は新たな指導者人材の発掘も行いました。
- 部員以外・県立中の生徒にも参加の門戸: 参加者を市内中学校の卓球部員に限定せず、希望する生徒が参加できる仕組みにし、市内の県立中学校に通う生徒の参加も募りました。令和7年度の参加者は1年生26人・2年生21人・3年生30人です。大会参加は、中体連の大会は各学校の部活動として、その他の大会は地域クラブとして出場しています。
- 学校施設の優先使用と鍵の貸与: 会場の学校と協議し、施設と備品の使用について学校の理解を得ました。施設の鍵の貸与や道具の保管を学校と連携して行い、卓球協会の負担が軽くなったとしています。
- 指導者の資格取得と動画教材: 地域クラブの指導者が公認コーチの資格を取得して指導にあたったほか、令和7年6月には近隣市町村の協力で指導者用の動画基本教材を作りました。
- 他競技との個別懇談: 令和7年5月から陸上、バレー、バスケット、軟式野球、剣道、軟式野球クラブチームの団体と、部活動の顧問も交えて地域展開に向けた懇談を年度内に随時行いました。競技によっては合同練習を開いて課題を検証しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 受益者負担を徴収することへの保護者の理解と、所得格差による体験機会の損失 | コストを検証して適正な月額会費を検討し、低廉な負担額に努める。経済的に困窮する世帯への援助制度を、要保護・準要保護制度との整合性を図りながら検討する |
| 新たな財源の確保 | 企業への協賛の依頼や、ふるさと納税制度の整備を検討する |
| 技術的な指導ができる指導者と資格取得者の不足、平日と休日で一貫した指導 | 日本体育大学との連携協定による指導員の相互協力、公認指導者資格の取得促進、県の地域クラブ指導者養成リーダー出前講座を活用する |
| 活動拠点までの移動が難しい生徒の移動手段 | 地域の公共交通サービスやスクールバスの活用などを検討する |
| 学校施設を使う競技が増えたときの調整と、鍵の貸与に伴う防犯・紛失のリスク | 学校施設のセキュリティ対策やスマートロックの導入を検討する |
成果・効果
市は令和7年度の成果として、運営団体の組織体制の強化、受益者負担(月額会費)の導入による持続可能な運営体制の構築、指導者の公認コーチ資格の取得による安全で効果的な指導の実施を挙げています。会費は保護者説明会などで丁寧に説明し、合意を得たうえで徴収しました。学校施設を優先的に提供したことで活動拠点が確保でき、安定した活動体制が築けたとしています。生徒にとっては卓球に親しむ機会と、他校の生徒と交流する機会になりました。
令和6年度の初年度は受益者負担なしで始め、市内3校を拠点に卓球台の整備も行いました。令和6年度の参加者は1年生22人・2年生30人で、地域スポーツ活動は部活動に準ずる扱いとして施設の優先利用と使用料の減免を行っています。令和7年度は他競技の地域展開を始めるための具体的な調整を進め、数種目で新年度にスタートする予定(年度途中に開始予定)です。次年度はコーディネーターの配置も検討するとしています。
周辺市町村との連携では、市外の生徒を受け入れる場合に市民の生徒と会費を変えるべきかなど検討課題が多く、市は圏域の生徒の受け入れも今後検討するとしています。ロードマップでは、令和8年度に長野県の指針改定や平日の移行方針を参考に、市としての平日の移行を検討する計画です。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 長野県諏訪市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 長野県諏訪市」(報告書検索システム)
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