【事例】新潟県胎内市の部活動地域展開 ─ 市スポーツ協会の競技団体が運営する「胎内市中学生スポーツ教室」が11種目13教室に、年会費2,000円の月2回から令和8年度は週1回・参加費月1,000円へ
・市教委が主催し、総合型クラブが事務局、市スポーツ協会の競技団体が運営する「胎内市中学生スポーツ教室」の分担
・年会費2,000円・月2回の休日教室から、令和8年度に週1回・参加費月1,000円へ移す費用設計と就学援助による返金
・指導者数の団体差、学校部活動にない種目の謝金負担、公共交通がない市での移動手段という課題
| 自治体名 | 新潟県胎内市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.6万人(26,283人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校4校(生徒612人・運動部22部) |
| 運営形態 | 胎内市教育委員会が主催し、総合型地域スポーツクラブの「NPO法人スポーツクラブたいない」に事務局(運営経費の管理・保険加入・指導者講習会・受付)を委託。各教室の運営と指導者の派遣は胎内市スポーツ協会に加盟する競技団体が担う |
| 対象競技 | 陸上競技、バスケットボール、卓球、バレーボール、サッカー、軟式野球、ソフトテニス、柔道、剣道、空手、弓道(令和7年度11種目13教室) |
| 保護者負担額 | 年会費2,000円(令和7年度・全種目共通)。令和8年度からは年会費2,000円に加えて参加費12,000円(月1,000円)を徴収する予定。スポーツ安全保険は生徒1人あたり1,000円/年 |
取り組みの概要
胎内市は昭和45年に合併前の旧中条町がスポーツ都市宣言を行った市で、人口3万人弱の規模に比べて総合体育館・陸上競技場・野球場・B&G海洋センターなどのスポーツ施設が充実し、ほとんどの生徒の家から市中心部まで車で約20分のコンパクトな市域です。一方、市内中学生は令和8年の642名から令和16年には439名(68.3%)に減る見込みで、周辺部の小規模校ほど減少が大きく、中学校4校を1校に統合する計画が進んでいます。指導できる部活動を担当している教員は半数以下で、市は胎内市スポーツ協会に加盟する14の競技別団体との連携で地域の指導者を活用する道を選びました。令和2年に部活動の在り方検討委員会が「地域と連携したスポーツ・文化教室の設置」や「地域と中学生の活動をつなぐ事務局の設置」を提言し、令和3年に3教室で始まった休日の「胎内市中学生スポーツ教室」は、令和4年8教室、令和5・6年12教室を経て、令和7年度は11種目13教室になりました。教室への登録は209名で、市内中学生の34.1%にあたります。
特徴的な取り組み
- 主催は市教委、事務局は総合型クラブ、運営は競技団体という分担: 教育委員会(学校教育課)が「胎内市中学生スポーツ教室設置要綱」の策定、予算化、教室開設の申請・承認を行い、NPO法人スポーツクラブたいないに事務局を委託しています。同法人は傘下に胎内市スポーツ協会と胎内市スポーツ少年団を統合し、市内の公共施設の管理運営も受託している地域スポーツの中核で、スポーツ教室も同法人の受託事業の一つとして小学生や一般のスポーツ振興と連携させています。各教室は競技団体が運営し、教室責任者・主任指導者1名・指導者を置いています。
- 種目ごとに異なる参加の形: 軟式野球は市内の地域クラブとして中体連大会に参加し(平日は部活動)、陸上競技は休日の陸上競技教室へ部活動単位で参加しています。弓道・空手といった学校部活動にない種目も競技団体が教室を開いています。一部抜粋の表では、陸上競技教室が月2回・41人・指導者7人、バレーボール教室が月2回・24人・指導者7人で、いずれも年会費2,000円です。
- 複数指導者の配置と参加者に応じた有償指導者: 1教室に最低でも複数の指導者を確保し、参加者の多い教室では有償の指導者を増やしました。指導者は全員が市の競技団体に所属し、各団体で指導者研修会を実施しています。全体の指導者数は100人で、教室ごとでは5名以下が2教室、6〜10名が5教室、11名以上が4教室でした。弁護士で全日本柔道連盟コンプライアンス委員会委員長を講師に「スポーツハラスメントの防止と対策」の研修も開いています。
- 小学4〜6年生向けの見学・体験会: 令和7年10〜11月に、各教室2回を上限として見学・体験会を開き、10教室に延べ40名の児童が参加しました。保護者からは「小学4年生から実施したことで、前もって考える期間があり良かった」という声がありました。
- 令和8年度に向けた制度の明文化: 「胎内市中学生スポーツ・文化教室設置要綱」を改訂し、認定クラブと指導者の登録制度、指導者の研修や処分、ハラスメント等の相談窓口の設置をまとめました。「安全管理マニュアル」(基本的な事項・けが・病気・災害・事故・事件への対応)も作成して競技団体に示し、相談窓口はNPO法人スポーツクラブたいないと教育委員会としています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 令和8年度から休日の活動を月2回から週1回(月4〜5回)に増やすため、指導者謝金の予算が膨らむ | 庁内関係者の組織で検討し、年会費2,000円に加えて参加費12,000円(月1,000円)を徴収することにした。支出の70%を指導者謝金とし、不足分は公費で賄う。令和9年度以降は公費と参加料が50%ずつになるよう参加費を調整する予定 |
| 参加費の導入による困窮世帯の負担 | 就学援助の認定を受けている世帯には、年会費・参加費の全額を就学援助費として返金する。教育委員会が参加者名簿から対象世帯を確認して手続きする |
| 指導者が不足している競技団体があり、ハラスメントやコンプライアンスの新しい情報も必要 | 競技経験者への声掛けを続け、市スポーツ協会や近隣市町村の指導者研修会への参加を促す。令和8年度からは指導者の資格取得の受講料を補助する |
| 市内に使える公共交通機関がなく、スクールバスも運転手の雇用が課題で活動場所への移動手段に使えない | 現状は徒歩・自転車・保護者等の送迎。毎週休日の活動になれば周辺部の施設を使う競技の保護者から送迎の要望が出る可能性があるとし、平日の地域展開に向けて移動手段の検討を続ける |
成果・効果
総括コーディネーターが行政・学校・競技団体の連絡調整を担い、市スポーツ協会の加盟14団体のうち11団体がスポーツ教室を開設しました。令和8年度の活動の方向性を令和7年度の当初におおよそ決められたため、7月にNPO法人との打合せを経てスポーツ教室担当者に説明し、翌1月の担当者会議では教室の設置申請・指導者申請の方法まで説明したほか、小学6年生の保護者には中学校入学者説明会で参加費が加わることへの理解を得ています。令和7年度の事業費は合計3,285,640円で、地域クラブ活動費2,013,640円(61.3%)、NPO法人への事務局運営費1,272,000円(38.7%)でした。6月には下越地区部活動地域移行担当者連携会議を開き、県担当者3名と10市町村の担当者の計19名で移動手段・参加費・経済的困窮世帯への支援策・新たな財源確保を協議し、市をまたいだクラブチームへの参加に備えて近隣市共通のルール作りも進めています。一方、在籍612名のうち439名が回答した生徒アンケート(回答率71.7%)では、部活動に入っていてスポーツ教室に参加していない生徒が48.1%おり、その理由は「部活動だけで十分」(45%)と「休日は他にやりたいことがある」(34%)が大半でした。学校部活動にない種目のサッカー・弓道・空手の教室は参加者が少なく、指導者謝金の負担が大きくなる傾向があるほか、学校部活動にある種目のうち1種目は休日の教室が開設できていません。市は令和7年度を「あくまで準備期」と位置づけ、参加費や謝金の金額などの課題に令和8年度の運用の中で対応するとしています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 新潟県胎内市」(報告書検索システム)
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