【事例】群馬県渋川市の部活動地域展開 ─ 続けられる部は指導者派遣の「地域連携」、困難な部は競技団体の地域クラブへ、令和7年度は5クラブが平日・休日に活動
・続けられる部は指導者派遣の「地域連携」、困難な部は地域クラブへの「地域展開」とする渋川市の二本立ての考え方
・競技団体が運営する体操・軟式野球・バレーボール・スケート・バドミントンの5クラブの会費・活動・指導者数
・達成率43%、推進委員会の未設置、鍵の管理・送迎・補助金終了後の財源など、報告書が示した課題
| 自治体名 | 群馬県渋川市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.1万人(71,273人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校9校(生徒1,612人・運動部77部活、令和7年度) |
| 運営形態 | 競技団体(地域スポーツクラブ)が運営する地域クラブ。単独または合同チームで続けられる部活動には部活動指導員(学校教育課・生涯学習課)や外部指導者(スポーツ課)を学校へ派遣する「地域連携」、活動が難しい部活動は地域クラブに生徒が参加する「地域展開」とする二本立て。教育委員会学校教育課が方針策定と事務全般(手続き・契約・報償費支払い等)を担当し、市長部局の関係課と庁内検討委員会で協議 |
| 対象競技 | 体操、軟式野球、バレーボール、スケート、バドミントン(令和7年度5クラブ)。柔道は合同練習会を実施 |
| 保護者負担額 | クラブごとに設定。体操月1,000円、軟式野球月3,000円、バレーボール月500円、スケート月5,000円、バドミントン年10,000円。スポーツ安全保険は生徒1人あたり800円/年 |
取り組みの概要
渋川市には9つの中学校があり、運動部活動は14の競技種目、文化部活動は吹奏楽部と美術部が活動しています。子どもの数が年々減り、それに伴って教職員の数も減ったことで、各中学校で部員数不足により部活動が成立しない状況が生じ、顧問の負担も増えています。市は、単独または合同チームで活動を続けられる競技部には部活動指導員や外部指導者を学校に派遣する「地域連携」を、活動が難しい部活動には「地域クラブ」を立ち上げて生徒が参加する「地域展開」を進めてきました。令和6年度には教育委員会内に部活動地域移行推進室を設け、スケート・体操・軟式野球・バレーボールの4クラブで地域スポーツクラブ活動を行いました。令和7年度はこれにバドミントンが加わり5クラブとなり、柔道の合同練習会も続けています。協議会・検討会議は設置予定、推進計画・ガイドラインは策定に向けて準備中です。
特徴的な取り組み
- 「地域連携」と「地域展開」の二本立て: 学校で続けられる部活動は指導者を派遣して支え、続けられない部活動は地域クラブで受け止めるという考え方を運営体制図で示しています。市まちづくり財団(しぶかわスポーツクラブ)への指導者派遣・地域クラブ委託や、市スポーツ協会との連携も体制に位置付けています。
- 競技団体が運営する5クラブ: 渋川市体操協会(体操、中学3年1名のほか小学1年生〜高校生が参加、指導者3人)、SYC(軟式野球、1年11人・2年9人・3年11人、指導者15人)、VC渋川(バレーボール、1年16人・2年8人・3年15人、指導者5人)、スケートのクラブ(2年1人・3年1人、指導者4人)、らいらっく(バドミントン、1年6人、指導者1人)が、平日の夜や休日に活動しています。体操・軟式野球・スケートは中体連の大会に参加し、バレーボールは基礎技術の向上を目的として大会には参加していません。らいらっくは年度途中に新しく立ち上がったクラブです。
- 地域クラブの立ち上げを教育委員会が支援: 競技団体に地域クラブ化への協力を依頼し、立ち上げまでの手順や活動までの流れ、補助金額や保険加入を説明しました。部活動ガイドラインを説明して学校部活動の意義を踏まえた指導を依頼し、地域クラブが中体連に登録するために必要な資格取得も関係課と連携してサポートしています。令和8年度に中体連に登録して大会に参加したいという相談を受けたクラブを中体連につなぎ、市内中学校の部活動との交流も支援しました。
- 指導者の合同研修会: 部活動指導員と外部指導者を集めた合同研修会を開き、スポーツハラスメントや性暴力の未然防止・根絶の徹底を共通認識として確認しました。市スポーツ協会の各競技部と連携して有資格者を派遣できるようになり、資格取得の働きかけも行っています。
- 学校施設の利用調整と周知: 地域クラブが学校施設を使えるよう各学校に協力を依頼し、施設を管理する関係課と連携して他団体との重複を避ける仕組みをつくりました。学校と調整して用具置き場も確保しています。市内中学校を訪問して教員・保護者向けの説明会を開き、部活動の地域展開に関するリーフレットを市内の全小中学生に配付しました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 生徒や学校のニーズに合った指導者を確保できず、地域クラブとしての体制が整わない競技がある。資格取得には費用や長時間の拘束が伴う | スポーツ協会など様々な団体に協力を依頼し、県の人材バンクの登録情報も活用する。資格取得に向けた補助金の仕組みをつくる |
| 鍵の借用方法や、教室を開放することによるセキュリティー上の問題がある | スマートキーボックスの設置やアプリの導入などを検討した(設置施設や費用の関係で令和7年度は設置に至らず)。施設利用の課題の把握と仕組みづくりを関係機関と進める |
| 体制整備事業の補助金が終わった後の指導者報酬・賠償保険・クラブ運営費の確保が難しい。競技ごとに必要経費が異なり、参加費を一律に設定しにくい | 地域クラブと必要経費や支援内容の情報交換を行い、課内会議・庁内検討委員会・部活動地域展開推進委員会で参加費用の負担と保険の支援範囲を検討する |
| 活動場所までの保護者の送迎負担がある | 関係課の協力を得て、デマンドバスなどを利用した場合の費用や時間を整理した。送迎や受益者負担の問題を推進委員会で検討できるよう準備する |
| 外部委員を含む部活動地域展開推進委員会を令和7年度中に立ち上げられなかった | 委員会出席者の調整と議題の精選を早期に進め、まず基本方針を確定させてから具体的な計画を策定する |
成果・効果
令和7年度、市は「地域クラブの拡充」「庁内関係課やスポーツ・文化芸術団体への説明と情報共有」「部活動地域移行推進委員会の実施」の3つを柱に取り組みました。地域クラブは継続した団体に加えて新たな種目の拡充を図りましたが、目標としていた地域クラブ数には届かず、達成率は43%にとどまったと報告しています。一方、関係団体の会議で説明の機会を設けてもらい情報を共有できたことは「大変よかった」としています。庁内検討委員会では全庁的に地域展開の方向性を確認・協議でき、中体連の協力を得た部員数調査で課題を整理しました。推進委員会は推進方針や推進計画の見直しに時間を要したことや、国や県の推進計画が新たな移行時期に入ることなどが重なり、実現に至りませんでした。
地域クラブ全体の指導者数は28人で、主な属性は教員退職者、自営業者、学生、会社員です。活動場所は学校施設や市の有料施設で、移動は保護者による送迎が中心です。報告書のロードマップでは、令和8年度に体制整備事業を拡充して受け皿を広げ、部活動地域展開コーディネーターを2名配置する予定です。令和10年度までに市内全中学校の土日の部活動を地域のクラブ活動へ展開し終えることを目指し、コーディネーターを総合型地域スポーツクラブに配置してクラブマネジメントと事務運営を担う予定としています。令和13年度までには平日も含めた地域展開を広げ、クラブマネジメント業務を総合型地域スポーツクラブに委託する仕組みを構築するとしています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 群馬県渋川市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 群馬県渋川市」(報告書検索システム)
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