【事例】群馬県館林市の部活動地域展開 ─ 市教委直営「館林市地域クラブ活動」5中学校5クラブ24部活動移行・会費0円・指導者17名
・群馬県館林市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 群馬県館林市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.4万人(73,523人) |
| 中学校数 | 公立5校・生徒数1,829人・88部活動(運動74+文化14) |
| 運営形態 | 市町村運営型(館林市教育委員会直営「館林市地域クラブ活動」) |
| 対象競技 | 男子バレーボール・女子バレーボール・体操競技・卓球・ソフトボール |
| 保護者負担額 | 会費0円・大会参加なし(実証期間中) |
取り組みの概要
群馬県館林市は、国・県の方針を受け、令和5年度から市教育委員会主催で「館林市地域クラブ活動」を開始しています。5つの公立中学校(生徒数1,829人・88部活動)を対象に、市教育委員会が直接運営する直営型モデルを採用。令和6年度には5校で5つの地域クラブ(男子バレー・女子バレー・体操競技・卓球・ソフトボール)が稼働し、24の部活動が地域クラブ活動へ移行しました。
同市の特徴は、生徒数減少が深刻化する地域(平成28年2,180人→令和6年1,829人、令和10年見込1,540人)で、合同チームでないと大会出場できない学校が増えてきた現状を踏まえ、会費0円の参加しやすい環境を整備した点。総合型地域スポーツクラブが市内に存在しないという課題に対し、市教委直営型で受け皿を作る選択をしています。
特徴的な取組
- 市教育委員会直営型: 総合型地域スポーツクラブが市内に存在しないため、市町村運営型を選択。教育委員会(学校教育課・生涯学習課・文化振興課・スポーツ振興課)4課が連携した一元運営。
- 会費0円・大会参加無しのスモールスタート: 実証期間中は生徒の会費を0円に設定。大会参加も無しとすることで、地域クラブ参加のハードルを最小化。
- 5中学校×5地域クラブの計24部活動移行: 5校に各1クラブを配置し、計24の部活動を地域クラブへ移行。指導者17名・運営スタッフ3名で運営。
- 多分野推進協議会: 教育委員会4課+文化スポーツ団体(スポーツ協会・文化協会・スポーツ少年団等)+学校関係者(中学校長会・中体連会長・吹奏楽部顧問代表)+保護者代表(PTA連合会長)による多分野推進協議会を令和6年度に3回開催。
- 指導者人材バンクの早期設置: 令和6年9月に指導者人材バンクを設置し、各方面へ周知依頼を展開。指導者不足の解消を中長期的に図る基盤を整備。
- 市中体連理事会との連携: 令和7年3月に市中体連理事会へ活動報告を実施し、地域クラブと中体連大会の関係性を整理。
- 健康推進課からの救護用具貸出: 首長部局の健康推進課が地域クラブ活動で使用する救護用具を貸し出す市役所内連携を制度化。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 市内に中学生を受け入れる総合型地域スポーツクラブが存在しない | 市町村運営型(市教育委員会直営)を選択し、市教委が運営事務局・指導者調整・予算措置を一元的に担う体制を構築 |
| 生徒数の急減(H28: 2,180人→R10見込: 1,540人)による部活動の維持困難 | 5中学校5クラブを基本に、複数校の生徒が参加できる仕組みを整備。合同チームでなくても大会出場できる選択肢を整備 |
| 地域指導者の確保 | 令和6年9月に指導者人材バンクを設置し各方面へ周知依頼。スポーツ協会・文化協会・スポーツ少年団等を活用 |
| 部活動が学校教育の一環という意識の根深さ | 多分野推進協議会(教育委員会4課+文化スポーツ団体+学校関係者+PTA連合会長)で関係者の認識共有を着実に進行 |
| 家庭の経済的負担 | 実証期間中は会費0円に設定し、参加のハードルを最小化 |
| 救急対応・安全管理 | 首長部局健康推進課が救護用具を貸し出す市役所内連携体制を構築 |
成果・効果
令和6年8月から地域クラブ活動を開始し、令和6年度内に5中学校で5つの地域クラブ(男子バレー17名+12名、女子バレー12名+10名、体操競技12名+9名、卓球4名+10名、ソフトボール5名+6名)を立ち上げました。計24部活動を地域クラブへ移行し、17名の指導者と3名の運営スタッフで持続的な活動体制を構築。市教育委員会は令和6年度内に3回の推進協議会と指導者人材バンク設置を実施し、令和7年3月には市中体連理事会へ活動報告を行うなど、関係者との合意形成を着実に進めています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 群馬県館林市」
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
館林市の事例で注目すべきは、「総合型地域スポーツクラブがない」という前提条件のもとで、市教育委員会直営型を選択した判断です。多くの自治体は既存の総合型クラブやNPOに運営を委ねますが、その受け皿がない地域では市教委が直接動かす方が早く、責任分界も明確です。館林市は教育委員会内の4課(学校教育課・生涯学習課・文化振興課・スポーツ振興課)を機能分担させ、首長部局の健康推進課からも救護用具貸出という形で連携を引き出しています。
もう一つの注目点は「会費0円・大会参加なし」というスモールスタートです。多くの自治体が「会費を取って自走させる」設計を最初から目指すなか、館林市は実証期間中の生徒・保護者の心理的ハードルを徹底的に下げる選択をしています。「まずは参加してもらう」ことを最優先にしたこの設計は、人口減少地域における持続可能なモデルづくりの示唆に富みます。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
市町村運営型を採用する場合の最大のハードルは「教育委員会の業務量増加」です。館林市のように学校教育課・生涯学習課・文化振興課・スポーツ振興課の4課で機能分担する場合、各課の役割分担表を初期段階で文書化しておくことが重要です。会費0円のスモールスタートは参加者を増やす効果がありますが、令和8年度以降の本格運用に向けて「いつから会費を導入するか」のロードマップを並行して検討する必要があります。指導者人材バンクは早期設置すべき施策ですが、登録要件・賃金単価・契約形態を文書化しないと、立ち上げ後の運用でトラブルが生じやすいので注意が必要です。
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