トップ 事例を探す 群馬県 【事例】群馬県太田市の部活動地域展開 ─ 単独・合同・「おおた地域クラブ活動」3つのカタチで進める休日の段階移行
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 群馬県

【事例】群馬県太田市の部活動地域展開 ─ 単独・合同・「おおた地域クラブ活動」3つのカタチで進める休日の段階移行

公開:2026.07.22 更新:2026.07.22
この記事でわかること

・太田市が進める単独・合同・「おおた地域クラブ活動」3つのカタチの使い分け
・学校部活動を母体に休日だけ認定地域クラブ化する5種目モデルの仕組みと指導者・保険の設計
・合同部活動の実績を土台に段階移行する工程と他地域への示唆

自治体名 群馬県太田市
人口規模 約22万人(2024年時点)
中学校数 16校(ほかに義務教育学校1校)
運営形態 行政主導(太田市教育委員会・太田市部活動運営の在り方検討委員会、学校部活動を母体とする認定地域クラブ活動)
対象競技 サッカー、野球、卓球、陸上競技、柔道(令和8年度「おおた地域クラブ活動」モデル実施)
保護者負担額 一部保険料等が参加者負担(金額は資料内に記載なし)

取り組みの概要

太田市は、太田市教育委員会と太田市部活動運営の在り方検討委員会の連名資料「太田市における休日の部活動の地域展開について【令和8年度】」(令和8年1月)で、休日の部活動を3つのカタチで進める方針を示しています。①これまで通り自校で活動する「単独部活動」、②近隣校と合同で活動する「合同部活動」、③学校部活動を母体とする認定地域クラブ活動「おおた地域クラブ活動」の3類型で、学校ごとにどのカタチで行うかは異なり、複数のカタチを併用して取り組む学校もあるとしています。国が休日の部活動の地域展開の実現時期を令和13年度までと示したことを受け、太田市は「引き続き、できるところから休日の部活動の地域展開を進めていく」姿勢を明確にしています。

特徴的な取り組み

  • 3つのカタチの並行展開: 単独部活動・合同部活動は平日も休日も教職員(顧問)や部活動指導員が指導し、部活動指導協力者も関わる従来型を維持。その上で、認定地域クラブ活動の1つである「おおた地域クラブ活動」をモデル(試験的)実施し、地域展開のしくみを構築していく段階設計です。
  • 学校部活動を母体とした「おおた地域クラブ活動」: 平日は学校部活動、休日の練習(練習試合含む)は認定地域クラブ活動として実施する仕組み。令和8年度の指導は、兼職兼業の教職員・市教委登録の指導者・スポーツ協会から派遣の指導者等の「地域の指導者」が担います。令和8年度のモデルは、サッカー部(西中・城西中)、野球部(東中・旭中)、卓球部(木崎中)、陸上競技部(東中・南中・旭中)、柔道部(太田市内全中学校柔道部)の5種目です。
  • 合同部活動の実績を土台に拡大: 令和7年度には、サッカー部(西中・城西中)、野球部(西中・城西中・強戸中、東中・旭中、毛里田中・城東中・休泊中・北の杜の3グループ)、陸上競技部(東中・南中・旭中)で合同部活動を実施済みで、この取り組みを引き続き広げていくとしています。中体連の大会には「自分の学校」または複数校で組む「合同チーム」で参加できます。

課題と解決策

課題 解決策
地域クラブ活動は日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象外になる 「おおた地域クラブ活動」では地域の指導者と参加者が新たな保険に加入する仕組みを明示(一部、参加者負担)
学校・部活動ごとに置かれた状況が異なる 3つのカタチから学校ごとに選択・併用できる設計とし、一律移行ではなく「できるところから」進める
地域展開後の指導者確保 兼職兼業の教職員・市教委登録の指導者・スポーツ協会派遣の指導者を組み合わせて確保

成果・効果

令和7年度時点で、サッカー・野球・陸上競技の3種目・のべ12校が合同部活動を実施しており、令和8年度はこれを土台に「おおた地域クラブ活動」のモデル実施へと発展させています。柔道部については「太田市内全中学校柔道部」を対象とする市内一括のモデルとしており、部員数の少ない競技を市全体で支える形が試行されています。モデル部に対しては詳細を説明する機会を別途設定するとしており、保護者・生徒への丁寧な周知を前提とした運用です。

出典

→ 原文: 太田市における休日の部活動の地域展開について【令和8年度】(太田市教育委員会・太田市部活動運営の在り方検討委員会・令和8年1月)
→ 参考: 休日の部活動の地域展開(令和8年度)(太田市公式ホームページ・学校教育課)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

太田市の設計で注目すべきは、「学校部活動を母体」としたまま休日だけを認定地域クラブ活動に切り替える点です。多くの自治体が受け皿団体を新設してから生徒を移す方式を採るのに対し、太田市は既存の部活動の枠組み・人間関係を保ったまま、指導者と保険の枠組みだけを休日に組み替えます。生徒・保護者から見れば「同じ部活の休日版」であり、移行に伴う心理的ハードルが低いのが強みです。また、単独・合同・地域クラブの3つのカタチを学校ごとに選択・併用可能とし、合同部活動の実績(のべ12校)を地域クラブモデルの母集団に転用している点も、段階移行の現実的な工程として参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

学校部活動母体型は導入しやすい半面、「実質的に学校から切り離せていない」状態が長引くリスクがあります。教職員が兼職兼業で指導の中心を担い続けると、働き方改革の効果が限定される点に注意が必要です。導入する場合は、太田市が明示しているように指導者の供給源を複線化(兼職兼業教職員+教委登録指導者+スポーツ協会派遣)し、教職員の関与割合を年度ごとに下げる目標を持つことが有効です。また、地域クラブ活動は日本スポーツ振興センターの給付対象外になるため、保険の切り替えと費用負担の説明を移行前に済ませることが保護者トラブル回避の要点です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

教育委員会と部活動運営の在り方検討委員会の連名で方針資料を公表し、モデル部への説明機会を別途設定するなど、合意形成プロセスの透明性は確保されています。一方、資料時点では参加費や指導者謝金の水準など財源設計の詳細は示されておらず、モデル実施の検証を経て負担ルールをどう定めるかが持続可能性の分岐点になります。国の期限(令和13年度)に対し「できるところから」と現実的な速度感を明示している点は、無理のない展開として評価できます。

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