【事例】兵庫県宍粟市の部活動地域展開 ─ 剣道連盟中学部が地域クラブとして中体連に加盟し平日・休日に活動、令和10年度10月以降の地域展開を目標に推進方針を策定
・宍粟剣道連盟中学部が地域クラブとして中体連に加盟し、平日・休日に通年で活動する宍粟市の体制
・月3,000円の会費と休日のみの謝金補助では平日の指導を賄えないという財源の課題
・推進委員会・推進方針の策定から令和10年度10月以降の平日・休日の地域展開に向けた工程
| 自治体名 | 兵庫県宍粟市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3.3万人(33,005人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校7校(生徒881人) |
| 運営形態 | 行政主導+地域団体(宍粟市教育委員会を運営団体とし、宍粟剣道連盟・宍粟市カヌークラブが指導を担う。教育委員会事務局学校教育課が主管し、社会教育文化財課・施設整備課が分担) |
| 対象競技 | 剣道(宍粟剣道連盟 中学部)、カヌー(宍粟市カヌークラブ)。吹奏楽は市吹奏楽団後援会と協議 |
| 保護者負担額 | 剣道は月額3,000円(年額36,000円)、カヌーは参加会費なし。スポーツ安全保険は各自で加入 |
取り組みの概要
宍粟市には生徒数の規模が様々な中学校が7校あり、すべての学校で部活動を行っていますが、生徒数の減少で合同チームを編成して大会に出る運動部が増えています。文化部では7校中6校に吹奏楽部があるものの、1校は数年前から活動していません。市の面積は県内で2番目に広く、市民の移動手段はほぼ自家用車です。市は令和6年度に「宍粟市中学校の運動・文化部活動の在り方に関する協議会」を設けて剣道とカヌーの実証を始め、令和7年度は「宍粟市部活動地域展開推進委員会」を設置して4回開催しました。委員会での協議を経て「宍粟市部活動地域展開推進方針」を策定し、令和7年10月に市ホームページで公開しています。
特徴的な取り組み
- 剣道連盟中学部が地域クラブとして中体連に加盟: 令和7年度の中学1年生を対象に宍粟剣道連盟中学部の部員を募り、5人が加入しました。平日3回(16:30〜18:00)と休日1回(9:00〜12:00)の週4回、山崎スポーツセンターなどで1年間活動しています。令和7年度から中体連に加盟し、9月に地域クラブ「宍粟剣道連盟」として大会に出場、11月には県新人大会にも出場しました。
- 生徒5人に指導者7人の体制: 剣道は市内各道場の指導者7人が指導しており、生徒一人一人に丁寧な指導ができたとしています。ただし指導者はそれぞれ仕事を持っており、全員が毎回参加できるわけではないため、指導者間で調整して指導にあたっています。
- 音水湖でのカヌー練習会: 市内の小学4年生〜高校生を対象にカヌー体験会の参加者を募り、令和7年11月15日に音水湖で練習会を開いて小学5年生2人が参加しました。指導は市内高校カヌー部の顧問や地元の経験者など宍粟市カヌークラブの会員7人です。当初はカヌーポロを予定していましたが、団体競技は人数が集まらないため、個人で行えるカヌースプリントを実施しました。
- 部活動地域展開コーディネーター: 剣道連盟やカヌークラブ、各学校の管理職、部活動顧問との情報共有・連絡調整をコーディネーターが担っています。剣道連盟の理事長は推進委員会の委員にも加わっています。
- フォーラムと保護者説明会での周知: 令和7年11月の「しそう教育創造フォーラム」で部活動地域展開をテーマにパネルディスカッションを行い、剣道部の実証事業を発表しました。令和8年1月には小学6年生と保護者向けの説明会(入学説明会)も開いています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 剣道は平日も活動しているが、実証事業の謝金補助は休日のみで、指導者は平日を無償で指導している。謝金を支給する市の財源も十分に確保できていない | 推進委員会で指導者謝金などの財源確保と「円滑な地域展開推進のための民間団体等の支援」について協議を進める |
| 参加生徒5人の剣道クラブは、月々の会費だけでは運営できない | 地域クラブ活動運営の財源確保を大きな課題と位置づけ、市関係課(市民生活部まちづくり推進課)と次年度以降の取組方針を協議する |
| 練習日によっては指導者が十分にそろわない。カヌーは練習会場が市内北部に限られ、関われる指導者の確保が難しい | 人材バンクの設置も検討し、コーディネーターを中心に関係団体と連絡調整して継続的に指導者を確保する |
| カヌー練習会場への移動手段がなく、送迎は受益者負担になっている。体験会の周知も不十分で参加者が少なかった | 保護者の負担軽減のため移動手段の確保を検討する。市広報誌や市ホームページで地域展開の進捗を周知する |
成果・効果
市は令和7年度の大きな成果として、宍粟剣道連盟中学部が中体連に加盟し、平日・休日の練習を行いながら大会に参加できたことを挙げています。大会参加の結果は、地域クラブで活動する生徒一人一人の意欲の向上にもつながったとしています。剣道では連盟理事長や地域クラブの保護者と意見交換会を開き、地域展開に対する疑問や不安、課題を把握しました。カヌーは参加者が少なかったものの、自然学校などでカヌーを体験して興味を持った児童が参加しており、市内に経験者や指導者がいることから、カヌーポロとカヌースプリントの両方で子どものニーズに合わせた活動を広げる考えです。
令和6年度は、剣道が12月1日と1月19日の合同練習会、カヌーが11月16日の練習会という単発の実施で、参加会費はなく会場までの送迎を保護者が負担しました。剣道は「宍粟でワンチーム」を合言葉に連盟の理事と事前調整を重ね、総括では「令和7年度はスポット的な体験会ではなく通年の練習会」とする目標を関係者で共有していました。令和7年度はこの目標どおり剣道の通年活動に移っています。
今後について市は、部活動地域展開を統括的・一元的に推進する部署として「地域クラブ活動推進室」の設置を計画しています。スケジュールは、令和8年度に地域クラブ活動団体への説明会と募集、令和9年度に地域クラブ活動の先行実施、令和10年度10月以降に平日・休日ともに地域展開という目標を、関係団体や関係者と共有しています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 兵庫県宍粟市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 兵庫県宍粟市」(報告書検索システム)
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