【事例】兵庫県丹波篠山市の部活動地域展開 ─ ホッケー全中優勝クラブなど先行4種目から、種目ごとに「地域展開か地域連携か」を選ぶハイブリッド方式で令和8年度は8種目へ
・種目ごとに地域展開か地域連携かを選び、教員が休日に従事しない体制を先に作る丹波篠山市のハイブリッド方式
・公募→面談→顧問調整→試行的体験会→検証という受け皿団体の開拓手順と認定地域クラブ制度
・ホッケー全中優勝など先行4種目の実績と、年額7,200〜24,000円の会費・指導謝金支援の費用構造
| 自治体名 | 兵庫県丹波篠山市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4万人(令和7年度・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校5校(令和7年度・生徒992人・51部活動。うち3校は1学年1学級の小規模校) |
| 運営形態 | 市教育委員会事務局(学校教育課)が運営事務局となり、剣道連盟・ホッケークラブ・サッカークラブ・ソフトボール協会など種目ごとの受け皿団体に指導者派遣と運営を委ねる。教育研究所に総括コーディネーターを配置 |
| 対象競技 | 剣道、ホッケー(男女)、サッカー、ソフトボール(令和6・7年度先行実施)。令和8年度は男子バレーボール、軟式野球、男女バスケットボールを加えた8種目 |
| 保護者負担額 | 令和7年度は年額7,200円(ホッケー)〜24,000円(サッカー・剣道)。月謝換算で1,000〜2,000円程度。スポーツ安全保険800円/年は保護者負担 |
取り組みの概要
丹波篠山市は市立中学校5校のうち3校が1学年1学級の小規模校で、平成25年にソフトボールで市内初の合同部活動が始まって以降、生徒数の減少で試合に出られる人数が揃わない種目が増えていました。市教育委員会は令和4年度から協議を始め、令和6年度に剣道・ホッケー・サッカー・ソフトボールの4種目5団体で、市内すべての中学生が参加できる休日地域クラブを先行実施しました。受け皿は市剣道連盟、ホッケーのクラブチーム「HC HYOGO HEARTS」、サッカークラブ、ソフトボール協会で、各団体から派遣された地域指導者が主に休日の活動を担います。令和6年10月には「丹波篠山市部活動改革の方向性」を策定し、令和8年夏以降を目途に、種目ごとに受け皿団体と地域人材の確保状況に応じて「地域展開」(地域クラブ)か「地域連携」(部活動指導員による休日部活動)のどちらかで進めるハイブリッド方式を打ち出しました。
特徴的な取り組み
- 種目ごとに地域展開か地域連携かを選ぶ: 受け皿となる団体の確保が難しい市の実情を踏まえ、地域クラブが立ち上がる種目は地域展開、それ以外は市が任用する部活動指導員(令和6年度5校16名・要望に対する配置率94.1%)が休日の合同部活動を指導する地域連携で、いずれも教員が休日に従事しない体制を目指します。平日の学校部活動は現状のまま続けます。
- 地域クラブの公募と試行的体験会: 令和7年度から教育委員会ホームページとチラシで受け皿団体を公募し、エントリーシート提出→市教委との面談→関係顧問への依頼→日程調整→体験会実施(1回3時間以内・休日・複数校の生徒が参加)→成果と課題の検証という流れを定めました。令和7年度は男子バレーボール・バスケットボール・軟式野球の3団体がエントリーし、自校にバレー部がない生徒や少年野球の小学生も参加しました。
- 認定地域クラブ制度と市ガイドライン: 令和8年度は全地域クラブを「認定地域クラブ」とし、活動運営費や大会参加費の支援、学校施設使用料の減免を行います。要件は暴力・暴言・ハラスメントの禁止、セレクションの禁止、休日活動は公式大会を除き3時間程度など。令和7年11月改訂の「丹波篠山市立中学校部活動および地域クラブ活動ガイドライン」を学校部活動と地域クラブの双方が遵守し、週2日以上の休養日、令和7年11月からは月曜日を「新たな学びの日」として原則ノー部活デーとする試行も盛り込まれています。
- 教員の兼職兼業と地域指導者の組み合わせ: 令和6年度の地域クラブ指導者16名のうち8名は兼職兼業の教員で、残りは元教員や地域の指導経験者。部活動指導員のうち2名は地域クラブ指導者を兼務しています。各クラブに教員が加わることで平日の部活動との連携が円滑に進み、1年間を通じて大きな問題はなかったと市は報告しています。
- クラブ独自の財源確保: 受益者負担は各クラブが月謝や年会費を設定して用具購入や保険料に充て、サッカークラブは応援サポーターの募集、剣道クラブはTシャツ販売を行いました。市は地域指導者への指導謝金を支援し、大会参加も部活動と同程度に支援しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 総合型スポーツクラブのような受け皿がなく、公募しても1年間で3団体のエントリーにとどまった | 公募を令和8年度も継続し、問い合わせ段階の団体には教育委員会が出向いて事例紹介。部活動指導員にも地域クラブへの協力を打診 |
| ソフトボールは試合可能な人数が揃わず年度途中で活動を休止 | 小学生向け体験会(令和6年12月28日)の開催や他市の中学校ソフトボール部との合同チームで活動を継続 |
| 土日どちらかの活動は徹底できたが、3時間程度の活動時間は徹底できず長時間化した | ガイドラインに即した活動の周知を継続。「勝つことに終始せず地域クラブ活動を楽しむ」市独自のあり方を模索 |
| 事務局を教育委員会内に置いているため事務負担が集中 | 将来的に指導者の勤怠管理・月謝管理・予算管理を担う「総合型地域クラブ事務局(仮称)」を外部に設立する構想 |
成果・効果
令和7年度は先行5クラブすべてが地域クラブとして中体連大会に参加し、ホッケー男子のHC HYOGO HEARTSは全国中学校大会で優勝(令和7年8月に市長を表敬訪問)、剣道も県大会に出場しました。剣道クラブは1〜3年生28人、ホッケーは37人、サッカーは33人が参加しています。市の公式サイト(令和8年9月11日更新)によると、令和8年度はホッケー・剣道・サッカー・ソフトボール・男子バレーボール・軟式野球・男子バスケットボール・女子バスケットボールの8種目で休日地域クラブ活動を実施し、女子バレーボール・卓球・吹奏楽・美術・家庭の受け皿団体を引き続き募集中です。市は令和9年度に、現在中学校にあるすべての運動種目と吹奏楽で休日地域クラブを開始することを目標に掲げています。
出典
→ 原文: 丹波篠山市「丹波篠山市立中学校部活動改革」(公式サイト・令和8年9月11日更新)
→ 原文: 丹波篠山市教育委員会「丹波篠山市立中学校部活動および地域クラブ活動ガイドライン」(令和7年11月)
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 兵庫県丹波篠山市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 兵庫県丹波篠山市」(報告書検索システム)
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