【事例】東京都中野区の部活動地域展開 ─ 民間委託の行政主導地域クラブでダンス・陸上競技を会費無料で新設し、令和8年度は全9校27部活動の休日活動を委託運営へ
・学校にないダンス・陸上競技を民間委託の行政主導地域クラブとして会費無料で新設した中野区の2年間の実証
・令和8年度に各校3部活動×9校=27部活動・指導者54名を民間事業者が運営する計画と国都補助の財源構成
・委託契約に指導経験・研修受講・安全管理を書き込み、教員が関わらずに運営する仕組みの作り方
| 自治体名 | 東京都中野区 |
|---|---|
| 人口規模 | 約34.4万人(令和7年度・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 区立中学校9校(令和7年度・生徒3,722人・運動部69部・文化部47部) |
| 運営形態 | 民間事業者(株式会社東京アスレティッククラブ)への業務委託による行政主導地域クラブ活動。教育委員会事務局指導室が計画策定、区長部局のスポーツ振興課が活動場所と地域団体連携を担当 |
| 対象競技 | ダンス(令和6年度〜)、陸上競技(令和7年度〜)。令和8年度は各校3部活動×9校=27部活動の休日活動を地域クラブ化(種目は各校の実態に応じて選択) |
| 保護者負担額 | 0円(令和6〜8年度とも保護者負担なし。保険料は賠償責任保険204円/年・団体総合補償保険528円/年を事業費で負担) |
取り組みの概要
中野区では区立中学校の生徒の約85%が学校部活動に参加する一方、野球などの地域クラブチームに所属する生徒も多く、学校単独でチーム編成ができない部活動や、専門的に指導できる教員がいないため希望する部を設置できない学校が見られました。区は令和4年度に部活動検討委員会を設置し、令和5年度の生徒・保護者アンケート(生徒1,036名・保護者416名が回答)で、部活動に参加していない生徒88名のうち26名が「希望する種目がない」と答え、生徒19名・保護者24名がダンスを希望していることを把握。令和6年度に学校部活動を移すのではなく「区立中学校にない部活動を新設する」形で、株式会社東京アスレティッククラブへの委託によるダンスクラブを全9校から28名の参加で始めました。令和7年度は陸上競技クラブを加え、令和6年12月には「中野区学校部活動の地域連携・地域移行に向けた今後の方針」をまとめています。
特徴的な取り組み
- 学校にない種目を行政主導で新設: ダンスは区内スポーツ・コミュニティプラザ、陸上競技は区立中学校の校庭と移転した中学校跡地で、令和7年度はそれぞれ月4回程度・計20回(令和6年度の2倍以上)実施。募集段階から2ジャンルずつ設定して興味と活動内容のミスマッチを減らし、ダンスは11月の発表会、陸上は2月の特別練習会を目標にしました。
- 委託事業者が統括責任者と指導者を配置: 委託契約に指導経験の有無を指導者の要件として明記し、指導方法やメンタルヘルスケアの研修受講も契約で定めています。ダンスはプロのダンスチーム、陸上は指導者資格を持つ指導員が派遣され、統括責任者が区との連絡調整、年間指導計画、活動中止の判断、事故対応を担います。部活動管理アプリで出欠確認・天候変更・活動報告を区教委まで共有し、教員が関わらずに募集から発表までを運営しました。
- 学校施設利用で教職員の関与を最小化: 陸上競技クラブでは施設利用手続の簡素化、鍵の自主管理と外部委託の管理員との受け渡し、用具の点検・原状回復を運営団体の責任で行い、学校への問い合わせを集約しました。
- 令和8年度は27部活動を民間委託で地域クラブ化: 令和7年12月1日の子ども文教委員会資料によると、区立中9校の休日に活動している部活動(運動部60・文化部8)のうち、各校任意の3部活動(運動部3つ、または男女混合で1つ、文化部は兼業教員のみ可)を地域クラブ活動として設置し、業務委託を受けた民間事業者が運営主体になります。指導者は各部活動2名×27部活動=54名で、委託事業者から6人、兼業の許可を受けて事業者に登録した教員6人、またはその組み合わせを各校に配置。活動は週2回(月最大8回・年間50日)以内とし、委託費用は国1/3・都2/3の実証事業補助を申請します。
- スポーツ・コミュニティプラザの指定管理と連動: 令和7年4月の庁議報告で、令和8年度からの指定管理者に地域展開に対応できる有資格指導者の配置と部活動支援事業の展開を求める見直し方針を示し、区長部局側でも受け皿整備を進めています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| アンケートで29名中11名が活動回数を「少ない」と回答し、技術向上を実感する段階で活動が終了する | 令和8年度は年間20回程度から30回程度に拡大。陸上は外部大会への参加も含め目標設定できる環境を検討 |
| 定期考査前や学校公開日に参加者が著しく減少し、学校部活動との掛け持ちで日程調整が難しい | 学校の行事予定を踏まえた活動日の設定に改善。令和8年度は地域クラブの活動方針・状況を中学校へ共有し指導の一貫性を確認 |
| 委託事業者任せでは多種目で安定的に質の高い指導者を確保できるかが課題 | 中野区体育協会との連携でスポーツ少年団・競技団体から指導者派遣できる体制を構築。区としての研修の在り方を部活動検討委員会で検討 |
| 給食費・教材費無償化を進める中で地域クラブ費用の保護者負担をどう位置づけるか未整理 | 令和8年度も保護者負担なしとし、部活動検討委員会で継続検討 |
成果・効果
令和7年度はダンス31名、陸上競技37名が登録し、申込者アンケート29名の回答では参加理由が「興味のある内容だから」23名、「学校の部活動にその種目がないから」8名で、活動の満足度・上達の満足度・指導者の対応は回答者全員が肯定的でした。生徒からは「学校や学年が違ってもダンスという活動でたくさんの友達ができた」、保護者からは「発表会に向けて自宅でも練習動画を見て個人練習していた」という声が寄せられ、ダンスの発表会は近隣の私立中学校も見学に訪れています。区は運営団体主体の施設利用と運営により教職員の負担軽減が図られたと総括し、令和8年度は行政主導地域クラブに文化部を1つ新設するほか、2年間のモデル事業の経験を踏まえて次期改革期間で平日部活動の地域展開も検討するとしています。
出典
→ 原文: 中野区教育委員会事務局指導室「令和8年度 中野区学校部活動の地域展開について」(令和7年12月1日 子ども文教委員会資料)
→ 原文: 中野区「中野区学校部活動の地域連携・地域移行に向けた今後の方針」(令和6年11月12日 庁議報告事項)
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 東京都中野区」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 東京都中野区」(報告書検索システム)
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