トップ 事例を探す 長野県 【事例】長野県駒ヶ根市の部活動地域展開 ─ 2校を拠点校・合同・地域クラブの3方式で結ぶ小規模都市モデル
全種目 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 長野県

【事例】長野県駒ヶ根市の部活動地域展開 ─ 2校を拠点校・合同・地域クラブの3方式で結ぶ小規模都市モデル

公開:2026.07.22 更新:2026.07.22
この記事でわかること

・中学校2校の小規模都市が採る拠点校活動・合同型活動・地域クラブ活動の3方式の使い分け
・スポーツ少年団「中学団」新設とスポーツ協会連携による既存資源を活用した休日の受け皿づくり
・平日は保護者送迎・休日は現地集合など移動と責任の所在を明示した運用ルールと他地域への示唆

自治体名 長野県駒ヶ根市
人口規模 約3.1万人
中学校数 2校(東中学校・赤穂中学校)
運営形態 行政主導(駒ヶ根市教育委員会・駒ヶ根市部活動地域移行協議会)。スポーツ少年団「中学団」新設・スポーツ協会連携
対象競技 サッカー・テニス・バレー・卓球・バドミントン・新体操・剣道・ホッケー・吹奏楽・バスケ・軟式野球・陸上・合唱音楽ほか
保護者負担額 受益者負担(クラブごと)。平日の移動は原則保護者送迎、休日は現地集合・現地解散(自転車等も可)

取り組みの概要

駒ヶ根市は、令和2年3月に「駒ヶ根市立中学校部活動運営方針」を策定し、令和6年10月に改訂したうえで、駒ヶ根市教育委員会と「駒ヶ根市部活動地域移行協議会」が連名で、まず休日の学校部活動を地域クラブ活動へ移行していく方針を示しています。市内には東中学校・赤穂中学校の2中学校があり、少子化・ICT化・人的資源不足という環境変化の中で、「部活動の意義や目的が大きく変わらないように、少しずつ工夫(変化)しながら活動環境を整えていく」ことを基本姿勢としています。国のスポーツ庁・文化庁ガイドラインと「長野県中学生期のスポーツ・文化芸術活動指針」(令和6年3月)に沿い、生徒が「好き」「やりたい」活動に取り組め、部員不足で活動・大会参加ができない状況を解消することを目的に掲げています。

特徴的な取り組み

  • 拠点校活動・合同型活動・地域クラブ活動の使い分け: ①片方の中学校にない種目を他校で選択できる「拠点校活動」(赤穂中を拠点にサッカー・テニス・バレー・卓球・バドミントン・新体操・剣道・ホッケー・吹奏楽など。水泳はスイミングクラブ)、②両校にある種目で部員不足時に合同練習・合同チーム編成を行う「合同型活動」(バスケ・軟式野球・陸上・合唱音楽)、③社会教育活動としての「地域クラブ活動」の3方式を、種目・状況に応じて使い分けています。2校しかない小規模都市で、多様な種目経験と少子化対応を両立させる設計です。
  • スポーツ少年団への「中学団」新設と協会連携: 休日の受け皿として、駒ヶ根市スポーツ少年団に新たに「中学団」を設けて休日中心に活動させるほか、駒ヶ根市スポーツ協会(競技部)と休日に一緒に活動したり、スポーツ教室・スポーツイベントを年間を通して開催してもらったりして、中学生が休日に活動できる環境を準備。既存の地域スポーツ資源を受け皿として活用します。
  • 移動・責任の所在を明確化した運用ルール: 拠点校活動・合同型活動とも、平日の活動場所への移動は原則保護者(家族)が送迎し、送迎が難しい場合は帰宅後に自己課題に沿った自主トレで補う、休日は保護者の責任のもと現地集合・現地解散(自転車等の利活用も可)と、移動と安全管理のルールを具体的に明示。地域クラブ活動は学校管理下でない社会教育活動と位置付け、運営団体・実施主体と責任の所在を明確にしています。

課題と解決策

課題 解決策
2校のみで部員不足により活動・大会参加ができない 拠点校活動で他校の種目を選択可能にし、合同型活動で合同練習・合同チームを編成して活動機会を確保
休日の受け皿となる運営団体の確保 スポーツ少年団に「中学団」を新設し、スポーツ協会と連携して休日の活動環境を整備
移動手段と活動時の責任の所在 平日は原則保護者送迎、休日は保護者責任で現地集合・現地解散(自転車可)と運用ルールを明示。地域クラブ活動は運営主体・責任を明確化

成果・効果

駒ヶ根市は、令和2年の運営方針策定から令和6年10月の改訂を経て、教育委員会と地域移行協議会が連名で保護者向け資料を作成し、休日移行の考え方を丁寧に説明しています。東中・赤穂中の2校という小規模都市の制約に対し、拠点校活動・合同型活動・地域クラブ活動の3方式を種目ごとに使い分けることで、部員不足による活動困難や大会参加不可を解消し、生徒が「好き」「やりたい」種目を選べる多様性を確保しました。休日の受け皿はスポーツ少年団「中学団」の新設とスポーツ協会連携という既存資源の活用で用意し、移動・責任の所在という実務論点も具体的なルールで明示。地域クラブ活動を社会教育活動として明確に位置付け、運営主体と責任の所在をはっきりさせている点も、小規模自治体の現実に即した堅実な設計です。

出典

→ 原文: 中学校部活動(駒ヶ根市公式ホームページ・こども課学校教育係)
→ 参考: 駒ヶ根市休日の部活動地域移行について(駒ヶ根市教育委員会・地域移行協議会)、駒ヶ根市立中学校部活動運営方針(令和2年3月策定・令和6年10月改訂)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

駒ヶ根市は中学校が2校しかない小規模都市で、この規模だからこそ「拠点校活動・合同型活動・地域クラブ活動」の3方式の使い分けが効いています。片方にしかない種目は拠点校に集約し、両校にある種目は部員不足時に合同化する——という整理は、少子化で単独チームが組めない地方都市が真っ先に直面する問題への直球の解です。さらに、休日の受け皿を新設団体ではなく「スポーツ少年団の中学団新設」と「スポーツ協会連携」という既存資源の拡張で用意した点も、人口3万規模で新しい器を作る余力が限られる自治体にとって現実的です。移動を保護者送迎・現地集合と明記し責任の所在を曖昧にしない実務感覚も、小規模自治体が学ぶべき堅実さです。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

拠点校活動は「自校にない種目を他校で」という利便性の裏で、移動負担が保護者に集中しやすいという弱点があります。駒ヶ根市が平日は原則保護者送迎、送迎困難時は帰宅後の自主トレで補う、休日は現地集合・現地解散(自転車可)と選択肢を用意しているのは、移動負担を一律に押し付けない工夫です。導入する場合は、まず市内の学校数と種目の分布を棚卸しし、「どの種目をどの拠点校に集約するか」を先に決めることが有効です。受け皿は新設にこだわらず、スポーツ少年団・スポーツ協会・総合型クラブなど既存団体に休日枠を担ってもらう方が、小規模自治体では立ち上げが早く回ります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

運営方針を令和2年に策定・令和6年に改訂し、教育委員会と地域移行協議会の連名で保護者に説明、地域クラブ活動を社会教育活動として運営主体・責任の所在を明確化している点で、ガバナンスは堅実です。既存のスポーツ少年団・スポーツ協会を受け皿に活用する設計は、新設団体の運営リスクを避け持続性に有利です。一方、拠点校活動・合同型活動は移動を保護者送迎に依存するため、送迎できない家庭の生徒が活動機会を失うリスクが残ります。受益者負担が前提のため経済的配慮とあわせ、保護者の負担軽減策(交通手段の共同化等)をどう用意するかが、2校体制で持続的に活動機会を保障できるかの分岐点になります。

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