【事例】茨城県大子町の部活動地域展開 ─ 平日の部活動指導員が土曜の地域クラブも指導・指導者を確保できた2部から先行する広域町村モデル
・生徒274人・面積325km²の大子町が指導者を確保できた2部に絞って先行実施した判断
・平日の部活動指導員が土曜の地域クラブも指導する方式と連絡アプリによる運営の可視化
・学校統合を控えた広域町村の移動手段・財源(ふるさと納税検討)・運営主体移譲の課題整理
| 自治体名 | 茨城県大子町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約1.4万人(令和6年度成果報告書時点:14,457人) |
| 中学校数 | 4校(全生徒274人・11部活動)※令和7年度に町中心部の中学校へ統合予定 |
| 運営形態 | 行政直営(大子町教育委員会事務局・生涯学習担当が運営主体) |
| 対象競技 | サッカー、ソフトテニス(男女) |
| 保護者負担額 | 会費徴収なし(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円。活動場所までの送迎は保護者の自己負担) |
取り組みの概要
大子町は茨城県の最北西端に位置し、東西19km・南北28km・総面積325.76km²と広大な町です。少子高齢化の影響で人口減少に歯止めがかからず、町立中学校4校の生徒数は274人と年々減少の一途をたどっており、令和7年度には町中心部に位置する中学校にその他の中学校が統合されることが決まっています。団体競技ではチームが組めない事態も発生するなか、町はスポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業」(茨城県実証事業)を活用し、令和6年7月から令和7年2月まで、地域部活動指導者を確保できたサッカー部とソフトテニス部(男女)を先行対象に実証事業を実施。原則第2・第4土曜日(月2回・8時30分〜11時30分)に大子広域公園を会場として活動し、会費は徴収していません。
特徴的な取り組み
- 平日の「部活動指導員」に土曜の指導を依頼: 平日の中学校で部活動を指導している部活動指導員に実証事業の指導者を依頼。指導者は日頃からスポーツ少年団等でも指導しており保護者や生徒との面識があるため、円滑に事業を導入できました。平日(週1日)は学校で指導しているため、部活動顧問との指導方法の伝達もスムーズです。
- 「指導者を確保できた部だけ」の現実的な先行実施: 全部活動の一斉移行ではなく、町内スポーツ団体への相談や学校関係者との内部協議で指導者を発掘できたサッカー・ソフトテニスの2部に絞って先行実施。スポーツ少年団等での指導経験も選任の判断材料としました。
- 連絡アプリ「Sgrum」の導入: 保護者・地域部活動指導者・運営主体をつなぐ連絡ツールとして携帯アプリを導入。アンケート等の意見集約が容易になり、保護者と指導者の情報交換過程を運営主体側で可視化できました。
- 地域部活動コーディネーター1名の配置: 活動実施日には会場に赴いて指導者から課題をヒアリングし、アプリでのアンケート調査、保護者・指導者・学校との連絡調整を担当しました。
- 関係団体への段階的な説明: 各中学校PTA総会・町スポーツ少年団総会・町スポーツ協会総会で順に説明した上で募集を開始し、運営主体による事前協議会で問題点の抽出と指導者・学校関係者の意思疎通を図りました。首長部局では財政課が予算措置を、まちづくり課がふるさと納税等の活用を検討する分担です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 人口減の影響による指導者確保の問題 | 町内スポーツ団体への相談と学校関係者との内部協議で発掘し、指導者を確保できた2部に絞って先行実施。外部の指導者研修会への参加を促し、事業主体主催の研修会開催も検討 |
| 広大な町ゆえの生徒の移動手段の確保 | 実証段階では保護者送迎・自転車を移動手段とし、保護者に送迎の自己負担を理解してもらうことで全参加生徒が円滑に参加 |
| 運営主体が教育委員会のままであること | より地域に移行していくため、運営主体・体制の再考と移行が必要と明記。コーディネート業務を担う人材の発掘・育成策も検討 |
成果・効果
実証期間中、サッカー部に17人(1年6人・2年9人・3年2人)、ソフトテニス部に35人(1年12人・2年20人・3年3人)が参加しました。指導者がもともと保護者・生徒と面識のある人材だったこと、保護者に送迎の自己負担を理解してもらえたことで、全ての参加生徒が円滑に参加できたと報告されています。コーディネーターの配置により保護者・指導者・学校との連絡調整が円滑になり、アプリ導入でアンケートの意見集約と情報交換の可視化が実現しました。学校の部活動顧問と地域部活動指導者の打合せ会や実施会場での指導方法の共有も行われ、地域移行後も「教育の一環」であることを念頭に指導の質を高めていく方針です。大会には中体連大会に部活動として参加しています。
出典
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