トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県大子町の部活動地域展開 ─ 平日の部活動指導員が土曜の地域クラブも指導・指導者を確保できた2部から先行する広域町村モデル
全種目 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 茨城県

【事例】茨城県大子町の部活動地域展開 ─ 平日の部活動指導員が土曜の地域クラブも指導・指導者を確保できた2部から先行する広域町村モデル

公開:2026.08.23 更新:2026.08.23
この記事でわかること

・生徒274人・面積325km²の大子町が指導者を確保できた2部に絞って先行実施した判断
・平日の部活動指導員が土曜の地域クラブも指導する方式と連絡アプリによる運営の可視化
・学校統合を控えた広域町村の移動手段・財源(ふるさと納税検討)・運営主体移譲の課題整理

自治体名 茨城県大子町
人口規模 約1.4万人(令和6年度成果報告書時点:14,457人)
中学校数 4校(全生徒274人・11部活動)※令和7年度に町中心部の中学校へ統合予定
運営形態 行政直営(大子町教育委員会事務局・生涯学習担当が運営主体)
対象競技 サッカー、ソフトテニス(男女)
保護者負担額 会費徴収なし(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円。活動場所までの送迎は保護者の自己負担)

取り組みの概要

大子町は茨城県の最北西端に位置し、東西19km・南北28km・総面積325.76km²と広大な町です。少子高齢化の影響で人口減少に歯止めがかからず、町立中学校4校の生徒数は274人と年々減少の一途をたどっており、令和7年度には町中心部に位置する中学校にその他の中学校が統合されることが決まっています。団体競技ではチームが組めない事態も発生するなか、町はスポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業」(茨城県実証事業)を活用し、令和6年7月から令和7年2月まで、地域部活動指導者を確保できたサッカー部とソフトテニス部(男女)を先行対象に実証事業を実施。原則第2・第4土曜日(月2回・8時30分〜11時30分)に大子広域公園を会場として活動し、会費は徴収していません。

特徴的な取り組み

  • 平日の「部活動指導員」に土曜の指導を依頼: 平日の中学校で部活動を指導している部活動指導員に実証事業の指導者を依頼。指導者は日頃からスポーツ少年団等でも指導しており保護者や生徒との面識があるため、円滑に事業を導入できました。平日(週1日)は学校で指導しているため、部活動顧問との指導方法の伝達もスムーズです。
  • 「指導者を確保できた部だけ」の現実的な先行実施: 全部活動の一斉移行ではなく、町内スポーツ団体への相談や学校関係者との内部協議で指導者を発掘できたサッカー・ソフトテニスの2部に絞って先行実施。スポーツ少年団等での指導経験も選任の判断材料としました。
  • 連絡アプリ「Sgrum」の導入: 保護者・地域部活動指導者・運営主体をつなぐ連絡ツールとして携帯アプリを導入。アンケート等の意見集約が容易になり、保護者と指導者の情報交換過程を運営主体側で可視化できました。
  • 地域部活動コーディネーター1名の配置: 活動実施日には会場に赴いて指導者から課題をヒアリングし、アプリでのアンケート調査、保護者・指導者・学校との連絡調整を担当しました。
  • 関係団体への段階的な説明: 各中学校PTA総会・町スポーツ少年団総会・町スポーツ協会総会で順に説明した上で募集を開始し、運営主体による事前協議会で問題点の抽出と指導者・学校関係者の意思疎通を図りました。首長部局では財政課が予算措置を、まちづくり課がふるさと納税等の活用を検討する分担です。

課題と解決策

課題 解決策
人口減の影響による指導者確保の問題 町内スポーツ団体への相談と学校関係者との内部協議で発掘し、指導者を確保できた2部に絞って先行実施。外部の指導者研修会への参加を促し、事業主体主催の研修会開催も検討
広大な町ゆえの生徒の移動手段の確保 実証段階では保護者送迎・自転車を移動手段とし、保護者に送迎の自己負担を理解してもらうことで全参加生徒が円滑に参加
運営主体が教育委員会のままであること より地域に移行していくため、運営主体・体制の再考と移行が必要と明記。コーディネート業務を担う人材の発掘・育成策も検討

成果・効果

実証期間中、サッカー部に17人(1年6人・2年9人・3年2人)、ソフトテニス部に35人(1年12人・2年20人・3年3人)が参加しました。指導者がもともと保護者・生徒と面識のある人材だったこと、保護者に送迎の自己負担を理解してもらえたことで、全ての参加生徒が円滑に参加できたと報告されています。コーディネーターの配置により保護者・指導者・学校との連絡調整が円滑になり、アプリ導入でアンケートの意見集約と情報交換の可視化が実現しました。学校の部活動顧問と地域部活動指導者の打合せ会や実施会場での指導方法の共有も行われ、地域移行後も「教育の一環」であることを念頭に指導の質を高めていく方針です。大会には中体連大会に部活動として参加しています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県大子町)(茨城県教育委員会掲載・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

大子町の事例は、中学生274人・面積325km²という「生徒は少なく、町は広い」条件下でのリアルな設計判断の連続です。注目すべきは、無理に全種目の受け皿を作らず「指導者を確保できた部だけ先行する」と割り切ったこと、そしてその指導者を平日すでに学校で指導している部活動指導員から選んだことです。保護者・生徒と面識があり、顧問との指導方法の共有も済んでいる人材を土曜に横滑りさせる方式は、指導の一貫性と立ち上げ速度の両方を満たす現実解でした。令和7年度の学校統合を控えた移行期に、統合後の活動基盤を先に地域側へ用意しておくという時間軸の設計も、学校再編を控える他の町村に示唆的です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

広域町村で最初に直面するのは移動手段です。大子町は保護者送迎の自己負担への理解を丁寧に取り付けて乗り切りましたが、これは月2回・土曜午前という低頻度だから成立した面があり、活動頻度を上げる際には送迎支援(スクールバス活用・タクシー協会連携等)の検討が避けられません。夏季の熱中症対策も広域公園型の屋外活動では必須の論点です。また、説明の順番も参考になります。PTA総会→スポーツ少年団総会→スポーツ協会総会と、既存団体の総会の場を借りて段階的に説明してから募集を開始しており、新たな説明会を乱立させない省力的な合意形成は小規模自治体ほど有効です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

教育委員会が運営主体を担いつつ、報告書自身が「より地域に移行していくために運営主体・体制の再考及び移行が必要」と課題を明記しており、行政直営はあくまで過渡期という自己認識が明確です。財政課の予算措置に加えてまちづくり課がふるさと納税等の財源活用を検討する体制は、会費徴収なしの現行モデルを支える将来財源の布石として評価できます。連絡アプリによる情報交換の可視化は、運営が属人化しやすい小規模町村において透明性を担保する仕組みとして機能しており、コーディネーター人材の発掘・育成が進めば地域側への運営移譲の道筋が見えてきます。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →
企業の方へ
部活動地域展開の市場・本サイトの読者層に関心のある企業向けのご案内ページをご用意しています。
FOR BUSINESS →