トップ 事例を探す 三重県 【事例】三重県鳥羽市の部活動地域展開 ─ 離島の答志・神島を本土と切り離し「(仮称)とばスポーツクラブ」新設と移行調整期間で進める段階移行モデル
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【事例】三重県鳥羽市の部活動地域展開 ─ 離島の答志・神島を本土と切り離し「(仮称)とばスポーツクラブ」新設と移行調整期間で進める段階移行モデル

公開:2026.07.21 更新:2026.07.21
この記事でわかること

・離島の答志・神島中学校区を本土と切り離して調整する鳥羽市独自の体制設計
・「(仮称)とばスポーツクラブ」新設と既存の総合型クラブ・スポーツ少年団との連携構想
・令和7年10月〜令和9年3月の「移行調整期間」による顧問と地域クラブ指導者の併走指導

自治体名 三重県鳥羽市
人口規模 約1.6万人(令和7年4月時点)
中学校数 3校(本土:鳥羽中央中学校/離島:答志中学校・神島中学校)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ(新設予定の「(仮称)とばスポーツクラブ」が中心的役割を担い、既存の長岡スポーツ文化クラブ・答志島スポーツ・文化クラブと連携)
対象競技 軟式野球・ソフトボール・バドミントン・バスケットボール・卓球・バレーボール・サッカー・ソフトテニス・陸上・柔道・剣道・フェンシング・文化系活動
保護者負担額 各地域クラブの会費・月謝制(指導者が所属するスポーツ少年団等の収支をもとに設定、具体的な金額は個別クラブごとに提示)

取り組みの概要

鳥羽市教育委員会は令和4年度に「鳥羽市部活動検討委員会」を設置し、令和5年度には「中学生世代の新たな地域クラブ活動準備・推進計画」を策定しました。少子化による部活動の持続可能性低下と、活動経験のない教師が休日も含めた指導を求められる負担の大きさを背景に、休日の部活動を段階的に地域クラブへ移行する方針を掲げ、令和8年4月からの情報提供開始を目指しています。中心的な受け皿として「(仮称)とばスポーツクラブ」の新設を進め、既存の総合型地域スポーツクラブである長岡スポーツ文化クラブ・答志島スポーツ・文化クラブ、スポーツ少年団(14団体)、競技別協会等と連携する体制を構想しています。

特徴的な取り組み

  • 離島2地区を含む3地区体制での個別調整: 市内3校のうち答志中学校(答志島)・神島中学校(神島)は離島に立地しており、少子化の進展状況や子どもの望む活動内容、島内の指導人材の状況を踏まえ、本土とは切り離して意見交換をしながら体制づくりを調整することとしています。本土・答志島との合同活動で休日に一定の練習量を確保したい場合は、平日の休養日を増やすなど離島特有の移動制約に配慮した運用を検討しています。
  • 「移行調整期間」を設けた併走指導: 生徒・顧問・地域クラブ指導者が十分にコミュニケーションを図れるよう、令和7年10月〜令和9年3月を「移行調整期間」と位置付け、この期間内の一定期間で休日の指導を学校顧問と地域クラブ指導者がともに行う体制を段階的に進めています。
  • 既存資源を土台にした新設クラブ構想: スポーツ少年団14団体・総合型地域スポーツクラブ2団体(長岡地区・答志地区)という既存の地域活動を土台に、「(仮称)とばスポーツクラブ」を新設し、中学校運動部の地域移行の中心的役割を担わせる構想です。企業からの寄附やクラウドファンディングによる応援者からの支援も想定しています。

課題と解決策

課題 解決策
スポーツ少年団・総合型クラブとも既存の活動基盤はあるが、いずれも指導人材不足という課題を抱える 保護者に指導者だけでなく審判・引率・用具運搬等のサポート役としての参画を呼びかけ、指導以外の関わり方も含めて人材の裾野を広げる
離島(答志・神島)は本土と学校規模・指導者確保の状況が異なり、一律の体制構築が難しい 答志・神島中学校区は本土と切り離して、地域住民との意見交換を通じた個別の体制づくりを進める
生徒・顧問・地域クラブ指導者の間で指導の引き継ぎに混乱が生じうる 令和7年10月〜令和9年3月を「移行調整期間」とし、顧問と地域クラブ指導者が休日指導をともに行う移行期間を設ける

令和6年3月時点で、準備・推進計画の概要版を「児童・生徒、保護者、市民向け」「体協、スポ少、指導希望者、学校向け」の2種類に分けて公開し、対象者ごとの周知を進めています。令和8年4月からの情報提供開始、令和7年10月からの移行調整期間開始など具体的なスケジュールが設定されており、離島を含む地域特性を踏まえた段階移行のモデルとして、島しょ部や過疎地域を抱える他自治体の参考になる内容です。

出典

→ 原文: 鳥羽市「学校部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行について」

→ 原文: 中学生世代の新たな地域クラブ活動準備・推進計画の概要【児童・生徒、保護者、市民向け】(令和6年3月・鳥羽市教育委員会生涯学習課)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

鳥羽市の事例が示す最大の特徴は、地域移行を「本土だけの制度」として設計せず、離島区域(答志・神島)を最初から別枠で扱っている点です。多くの自治体は地域移行を全市一律の制度として設計しがちですが、鳥羽市は答志・神島中学校区について本土とは切り離して意見交換をしながら調整すると明言しており、離島特有の移動制約や人口規模の違いを前提とした柔軟な制度設計になっています。既存の総合型地域スポーツクラブ・スポーツ少年団という地域資源を土台に、新設の「(仮称)とばスポーツクラブ」を中核として位置付ける構想も、ゼロから受け皿を作るのではなく既存資源を束ねる現実的なアプローチと言えます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

離島・過疎地域を抱える自治体が同様の取組を検討する際の最大のハードルは、本土と同じ移行スケジュール・体制を当てはめようとして無理が生じることです。鳥羽市は答志・神島中学校区を本土と別枠で扱い、地域の実情に応じた体制を関係者との対話を通じて個別に決める姿勢を明確にしており、画一的な制度設計を避けています。また、指導人材不足という共通課題に対しては、「指導者」という単一の役割にこだわらず、審判・引率・用具運搬といった多様な関わり方を保護者に提示することで、参加のハードルを下げるという工夫が有効な打開策になっています。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和7年10月〜令和9年3月という具体的な「移行調整期間」を設け、顧問と地域クラブ指導者が休日指導をともに行う移行プロセスを明示している点は、現場の混乱を避ける上で評価できます。一方、活動経費は各地域クラブの会費・月謝制に委ねられており、市として統一的な費用負担軽減策や、離島区域における移動コストへの支援策は公開資料上では明示されていません。企業寄附やクラウドファンディングによる財源多様化は構想段階にあり、実際にどこまで安定財源を確保できるかが今後の持続可能性を左右します。

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