トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県八千代町の部活動地域展開 ─ 人材バンク24名を先に整備し登録の多いサッカーから発足・2校の部活を「八千代サッカークラブ」に統合
サッカー 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県八千代町の部活動地域展開 ─ 人材バンク24名を先に整備し登録の多いサッカーから発足・2校の部活を「八千代サッカークラブ」に統合

公開:2026.08.23 更新:2026.08.23
この記事でわかること

・人材バンク24名を先に整備し「登録の多い種目から発足」した八千代町の逆順アプローチ
・2校のサッカー部を統合した八千代サッカークラブの発足プロセスと元Jリーガー教室
・公務員12名が最多という人材バンクの構成から見える、普通の町の担い手確保のヒント

自治体名 茨城県八千代町
人口規模 約2.1万人(令和6年度成果報告書時点:21,062人)
中学校数 2校(八千代第一中・東中、全生徒502人・24部活動)
運営形態 行政直営(八千代町中学校地域クラブ活動推進協会が運営主体・事務局は町スポーツ振興課)
対象競技 サッカー(八千代サッカークラブ)
保護者負担額 参加会費0円(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円)

取り組みの概要

八千代町の中学校生徒数は平成29年度の637人から令和6年度は502人へと21%減少し、5年後の令和11年度には468人(平成29年度比26%減)まで減ることが推測されています。1・2年生の80%が部活動に参加しているものの全体数が少ないため、一部の団体種目では学校単位でのチーム編成がすでに困難で、第一中学校では生徒数の規模の割に部活動の種目が過多になっていることも課題でした。町は令和6年5月に「八千代町中学校地域クラブ活動推進協会」を設置し、部活動地域移行推進計画の策定・地域クラブ運営方針および指導者募集要領要項の決定を実施。指導者人材バンクを整備して24名の登録を集め、登録が最も多かったサッカーについて、2校のサッカー部を統合する形で令和7年2月に「八千代サッカークラブ」を発足させました。

特徴的な取り組み

  • 「人材バンクを先に、種目は後から」の順番: 町ホームページへの掲載とスポーツ関係団体への協力依頼で指導者を募集し、人材バンクに24名を登録(20代5名・30代3名・40代3名・50代9名・60代以上4名)。職業は公務員12名・会社員6名・教員3名など多彩で、剣道・サッカー・柔道・ソフトテニス・卓球・バスケ・野球・陸上の8種目をカバーします。そのうえで「登録の多かった種目から発足する」という順番を採り、確実に運営できるサッカーから地域クラブ化しました。
  • 2校のサッカー部を1クラブに統合: 少子化でチーム編成が困難になりつつある両中学校のサッカー部を対象に、学校との連絡調整を行い、兼職兼業の教員と地域おこし協力隊を含む指導者3名で週1回午前の活動を実施。中体連大会には部活動として、その他の大会には地域クラブとして参加します。
  • 推進協会による要件・責任の明文化: 推進協会の委員には町スポーツ関係団体の代表・町内中学校の校長・PTA会長などが所属。推進計画・運営方針には地域クラブの要件と責任の主体を明記し、立ち上げ前に制度の土台を固めました。
  • 元Jリーガーによるサッカー教室: 発足したサッカークラブでは地元出身の元Jリーガーを招いてのサッカー教室を開催し、地域クラブならではの体験価値を提供しています。

課題と解決策

課題 解決策
地域クラブの発足には指導者の確保と学校の協力が不可欠 人材バンクへの継続登録を進め、指導者が確保できた種目から順次、学校との連絡調整を行い地域クラブへの移行を進める方針
少子化による団体種目のチーム編成困難と、生徒数の割に過多な部活動種目 2校の部活動を1つの地域クラブに統合する方式で受け皿を再編。推進計画に基づき段階的に対象種目を拡大
教員の兼職兼業の取り扱い 教員への説明会を実施して学校と連携し、兼職兼業の教員を含む形でクラブを発足

成果・効果

令和6年度から指導者募集を開始して人材バンクに24名を登録し、登録の多かったサッカーで地域クラブの発足を実現しました。八千代サッカークラブには1年生9人・2年生16人の計25人が参加し、令和7年2月11日から3月31日まで町内中学校で活動。推進協会に所属するスポーツ関係団体の代表や学校関係者から意見を得ながら、指導者人材バンクの充実と兼職兼業教員を含むクラブ運営体制を整えたことが成果として報告されています。令和6年12月には保護者説明会・学校説明会・クラブ員募集を実施し、翌2月の活動開始まで一連の立ち上げプロセスを1年度内に完了しました。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県八千代町)(茨城県教育委員会掲載・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

八千代町の意思決定は「種目ありき」ではなく「供給ありき」です。多くの自治体は移行したい種目を先に決めてから指導者を探して難航しますが、八千代町は人材バンクを先に作り、24名の登録状況を見てから「登録の多いサッカーで発足する」と決めました。供給が確実な種目から始めることで初年度の失敗リスクを最小化する、堅実な逆順の設計です。人材バンクの中身も示唆的で、最多は公務員12名。教員でも専門指導者でもない「地域の公務員」が担い手の中核になりうることは、企業城下町でも大学立地でもない普通の町にとって現実的な発見といえます。2校のサッカー部を1クラブに統合した点も、少子化への構造対応と地域移行を一手で実現しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

人材バンク先行方式の課題は、登録が集まらない種目の生徒への説明です。八千代町でも発足はサッカー1種目に留まっており、剣道・柔道・卓球など登録のある他種目をいつクラブ化するかのロードマップを示さないと、「なぜうちの部活は移行しないのか」という不公平感が生まれます。「指導者が確保できた種目から順次」という方針は誠実ですが、保護者向けには目安時期を添えることをお勧めします。また、登録24名のうち実際に指導へ稼働しているのは3名であり、バンク登録と実稼働の間には研修・日程調整・報酬合意といった段差があります。登録者を眠らせないために、体験会やスポット指導など軽い稼働機会を用意して関係をつなぎ続ける工夫が有効です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進協会の設置から推進計画・運営方針・指導者募集要領の決定、保護者・学校への説明、クラブ員募集、活動開始まで、令和6年5月から翌2月までの10か月で一巡させた実行速度は小規模町として優秀です。運営方針に地域クラブの「要件」と「責任の主体」を明記した点は、事故時の責任の所在が曖昧になりがちな地域クラブ運営において重要な備えです。スポーツ振興課8名が事務を担う行政直営色の強い体制のため、種目拡大時には事務負荷の増大が見込まれ、どこかで運営事務の地域移譲が課題になります。会費0円も実証財源前提であり、継続時の財源設計とあわせて次の検討事項になるでしょう。

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