トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県つくばみらい市の部活動地域展開 ─ 総合型「スポーツクラブみらい」が雇用主となり3種目の土日練習を移行・兼職兼業教員は時給1,600円で指導へ
全種目 👥 5~10万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 茨城県

【事例】茨城県つくばみらい市の部活動地域展開 ─ 総合型「スポーツクラブみらい」が雇用主となり3種目の土日練習を移行・兼職兼業教員は時給1,600円で指導へ

公開:2026.08.23 更新:2026.08.23
この記事でわかること

・総合型クラブ「スポーツクラブみらい」が雇用主となり卓球・剣道・バドミントンの土日練習を移行した仕組み
・兼職兼業教員が時給1,600円の地域クラブ指導者としてクラブに所属する制度設計と登録の流れ
・4中学校区+小学生保護者への説明会を重ねた合意形成プロセスと大会参加・部活動再編成の残課題

自治体名 茨城県つくばみらい市
人口規模 約5.4万人(令和6年度成果報告書時点:53,503人)
中学校数 4校(全生徒1,469人・48部活動)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ(つくばみらい市総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブみらい」が運営主体)
対象競技 卓球、剣道、バドミントン(土日の練習を移行)
保護者負担額 参加会費0円(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円)

取り組みの概要

つくばみらい市は、総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブみらい」を主体とした部活動の地域移行を進めています。スポーツクラブみらいは「生涯スポーツ活動社会」「生涯文化活動社会」を目指し、「誰でも」「いつでも」「いつまでも」を合言葉に活動する団体です。令和6年度は部活動地域移行の試行として、卓球部・剣道部・バドミントン部の土日の練習を8月から移行。市内4中学校を対象に、バドミントンクラブ(伊奈東中)、剣道クラブ(伊奈中)、卓球クラブ(伊奈・谷和原・小絹の3拠点)の3クラブを設け、中学1・2年生107人が所属しました。平日の部活動はこれまで通り顧問による指導を継続し、地域移行した部は教員主体で土日に練習のみの日は設けない役割分担です。参加会費は0円、練習日程の連絡はスポーツクラブみらいのホームページ予定表で行いました。

特徴的な取り組み

  • 総合型クラブが「雇用主」となる指導者確保: スポーツクラブみらいが雇用主となり、各競技の経験歴・指導歴をもつ地域人材を指導者として確保。市内中学校で部活動指導員として活躍している人や市の会計年度任用職員、過去にクラブと関係のあった指導者に声をかけたほか、クラブのホームページで広報活動も実施。高校生がボランティアで手伝うケースもあり、計12名の指導体制を整えました。
  • 兼職兼業教員の受け皿を制度化: 令和7年2〜3月に土日の練習指導を希望する教職員の兼職兼業登録手続きを行い、令和7年8月中旬からは地域クラブ活動指導者(時給1,600円)としてスポーツクラブみらいに所属して土日の練習を担う流れを明示。転入した教員にも登録を案内する運用です。
  • 4中学校区すべてで保護者説明会: 伊奈中(22名)・伊奈東中(7名)・谷和原中(15名)・小絹中(20名)の各学校区で部活動地域移行説明会を実施。さらに公民館で小学5・6年生の保護者向け説明会も開催し、進学前の家庭にも情報を届けました。質疑では「部活動指導員と外部指導員の違い」「大会や練習試合には出られるのか」などの質問に市職員や校長が回答しています。
  • クラブマネジャーによる指導者研修: スポーツクラブみらい所属クラブマネジャーを講師に「部活動地域移行に関して」と題した講演を市教育委員会で実施(安全管理・生徒指導が主内容)。地域クラブ指導者向けにも安全面・指導面の研修を2回行い、マネージャーが各指導者の意見を聞き現場を訪れる連携体制をとりました。

課題と解決策

課題 解決策
少子化による小規模化で団体競技のチーム編成ができず、部活動の再編成が必要 市部活動地域移行連絡協議会を市教育委員会で開催し、市中体連にも市職員が参加して地域移行の方向性を説明。令和7年度は兼職兼業の希望調査や部活動再編成の状況を考慮した改革を進める方針
専門性や意志に関わらず顧問を務める教員の指導体制が残り、練習試合や大会の引率も教職員に頼っている 兼職兼業登録制度により「希望する教員が時給1,600円の地域クラブ指導者として関わる」形へ切り替え、意志に基づく関与に転換
競技ごとの指導者が孤独感を感じてしまう場合がある 定期的に研修会を実施して指導者間の情報交換の場を確保。「他の指導者がどのように考えているか知ることができた」との受講者の声

成果・効果

保護者・生徒をはじめ、地域スポーツクラブ・地域の方々・教員の協力により、令和6年8月から卓球・剣道・バドミントンの3部活動の土日移行が完了し、107人の生徒が月1〜3回の地域クラブ活動に参加しました。各学校区での説明会は建設的な雰囲気で進み、「教職員の働き方改革が推進できないか」という意見や来年度の説明会開催を求める要望も寄せられています。報告書は「この改革で一番大切なのは、主体となる生徒や保護者の気持ちである。すべての要求に応えることはできないとしても、できる限りの検討をしていく必要がある」と総括しています。なお、現段階ではクラブとしてチームを作らないため大会には参加していません。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県つくばみらい市)(茨城県教育委員会掲載・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

つくばみらい市の要点は、指導者の身分と雇用の設計を総合型クラブ側に一本化したことです。多くの自治体で兼職兼業教員・部活動指導員・外部指導者の身分が混在してトラブルの温床になるなか、同市は「スポーツクラブみらいが雇用主」という原則を立て、教員も希望すれば時給1,600円の地域クラブ活動指導者としてクラブに所属する形に統一しました。教員の善意ではなく雇用契約に基づく関与へ切り替えた点は、労務管理の観点で先進的です。また、4中学校区すべてと小学5・6年保護者にまで説明会を重ねた丁寧さは、参加者数(7〜22名)まで報告書に記録されており、合意形成プロセスの透明性という面でも参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この方式は受け皿となる総合型クラブの事務局力に依存します。雇用主として保険・謝金・研修・広報を担えるクラブが地域にない場合は、下妻市のような行政直営型から始めてクラブを育てる順番になります。また、つくばみらい市でも「チームを作らないので大会に参加しない」「練習試合・大会の引率は依然として顧問・部活動指導員」という限界が残っており、競技志向の生徒・保護者への説明では「クラブ活動=練習の場、大会=部活動」という役割分担を明確に伝える必要があります。保護者説明会で実際に出た「部活動指導員と外部指導員の違いは何か」という質問は、どの自治体でも必ず出る論点であり、用語の整理資料を事前に用意しておくことをお勧めします。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

運営主体・雇用・研修・広報がスポーツクラブみらいに集約され、市教育委員会が連絡協議会と学校調整を担う二層構造は、責任の所在が明確で持続可能性の高い設計です。クラブマネジャーが指導者の意見を聞き現場を巡回する仕組みや、指導者の孤独感という定性的な課題まで報告書に記載し研修で対応する姿勢は、運営の成熟度を示しています。会費0円は実証事業段階の設定であり、本格実施時の受益者負担のあり方と、部活動再編成(統廃合)との整合が今後の焦点です。生徒・保護者の気持ちを改革の中心に置くと明言している点は、制度先行になりがちな地域展開において評価すべき姿勢です。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →
企業の方へ
部活動地域展開の市場・本サイトの読者層に関心のある企業向けのご案内ページをご用意しています。
FOR BUSINESS →