【事例】愛知県江南市の部活動地域展開 ─ 総合型SC「スポーツクラブ江南」核・「居場所づくり」コンセプトで5校8クラブ・令和8年2学期移行へ
・愛知県江南市が総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブ江南」を核に5校合同で8クラブを運営する仕組み
・「居場所づくり」コンセプト・約500円/回・スポーツ協会×スポーツ少年団連携の具体的な運営設計
・令和8年2学期の全面移行に向けた検討委員会での合意形成プロセス
| 自治体名 | 愛知県江南市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約9.6万人 |
| 中学校数 | 5校(全生徒数2,568名) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブ江南」(江南市教育委員会から再委託) |
| 対象競技 | 軟式野球、バレーボール、バスケットボール(女子)、ソフトテニス、ソフトボール、バドミントン、剣道、ランニング(計8クラブ) |
| 保護者負担額 | 約500円/回 |
取り組みの概要
江南市は愛知県北部に位置する人口約9.6万人の市です。公立中学校5校に2,568名の生徒が在籍し(令和6年度)、55の部活動が活動しています。少子化の進行に伴う部活動の持続可能性低下と教員の長時間勤務解消を課題として、令和6年度はスポーツ庁の実証事業に参加しました。市の運動部活動地域移行に関する検討委員会を中心に、総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブ江南」を運営主体の候補として、8クラブ・64名の指導者体制で令和6年度の実証を実施しました。
江南市がめざす地域クラブは、市内5中学校が合同で行う地域を基盤としたスポーツ活動で、勝利志向や競技力向上に特化したものではなく、気軽に運動・競技を楽しむ「生徒の居場所づくり」を基本コンセプトに据えています。令和8年2学期から休日の中学校の運動部活動を「スポーツクラブ江南」へ移行することを目標に、計画的な準備を進めています。
令和6年度の実証では8クラブ・3名の運営スタッフ体制で、月3回程度の活動を実施しました。参加費は約500円/回の受益者負担設定で、学校施設とスポーツ公共施設を活動場所として活用しました。活動を通じて、地域の指導者や他の中学校に在籍する生徒との新たな交流が生まれ、生徒の休日の過ごし方の選択肢が広がっています。
特徴的な取り組み
- 総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブ江南」を運営主体候補に据えた明確な体制設計:市教育委員会・スポーツ推進課が中心となり、市内5校の中学校長会・各部活動と協議しながら、総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブ江南」に再々委託する体制を構築。競技連盟・スポーツ少年団・地域指導者団体が人材育成面で連携し、専門性の高い指導を確保しています。
- 「生徒の居場所づくり」を中心コンセプトに据えた活動設計:勝利志向・競技力向上を主目的とせず、生徒が気軽に運動・競技を楽しめる「居場所」の提供を優先。この方針が指導者の採用基準・活動内容の設計に一貫して反映されており、参加ハードルを下げる効果を生んでいます。
- 5校合同による学校横断的な交流の実現:5つの中学校が合同で参加する形式を採用し、普段は関わりの少ない他校の生徒・指導者との交流を促進。地域全体でスポーツを支える新たなコミュニティ形成につながっています。
- 江南市スポーツ協会・スポーツ少年団・地域指導者団体との3者連携による人材育成:江南スポーツ協会と江南市スポーツ少年団が人材育成面でスポーツクラブ江南に協力する体制を整備。各種地域指導者団体との連携により、多様な種目の指導者を継続的に育成・確保する仕組みを構築しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 持続可能な運営財源の確保(約500円/回設定で十分か) | 令和6年度の実証で参加費約500円/回を設定し受益者負担モデルを試行。令和8年2学期全面移行に向けて適切な会費水準・補助制度の組み合わせを検討委員会で継続審議 |
| 各学校の部活動との整合(令和8年2学期の移行時) | 5校の中学校長会・各部活動と協議を重ね、既存の部活動種目が地域クラブに円滑に移行できるよう移行計画を策定。学校・地域・保護者との合意形成を優先 |
| 3年生の参加が少ない(5名/クラブ)傾向 | 3年生は大会出場や進路準備との兼ね合いで参加しにくい実態がある。令和8年度以降は3年生が参加しやすいプログラム設計や活動時期の工夫を検討 |
| 学校・地域・保護者等との継続的な連携体制の維持 | 学校と地域・保護者等との連携・協働により培うスポーツ環境の整備が重要と認識し、地域づくりとして継続的な関係構築を推進 |
成果・効果
令和6年度は5校合同で8クラブが稼働し、軟式野球・バレーボール・バスケットボール(女子)・ソフトテニス・ソフトボール・バドミントン・剣道・ランニングの多種目で活動を実施しました。指導者64名・運営スタッフ3名体制で月3回程度の活動を継続し、年間平均参加生徒数は2年生12名/クラブ・1年生6名/クラブ・3年生5名/クラブとなりました。
活動を通じて、地域の指導者や他の中学校に在籍する生徒との新たな交流が生まれ、生徒が自ら選んだスポーツ種目に主体的にチャレンジし多様な活動を体験できる環境が整いつつあります。江南市運動部活動の地域移行に関する検討委員会での審議と合わせて、令和8年2学期の全面移行に向けた体制整備を進めています。
出典
→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業成果報告書 概要(愛知県)|スポーツ庁
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
江南市の最大の特徴は「居場所づくり」を地域クラブの中心コンセプトに明確に据えた点です。多くの自治体が「競技力の維持」「既存部活動の継続」を優先する中、江南市は「気軽に運動・競技を楽しむ生徒の居場所」という視点から設計しています。この方針転換は参加ハードルの低下につながるとともに、指導者の採用基準や活動内容の設計にも一貫した方向性を与えています。
5校合同開催による学校横断的な交流も注目に値します。江南市は人口約9.6万人で5校という構成ですが、この規模だからこそ全校合同参加が現実的になります。「他校の生徒と交流できる」という地域クラブ固有の価値は、部活動にはない新しい教育的効果として保護者への説明材料にもなります。
総合型地域スポーツクラブ「スポーツクラブ江南」を運営主体候補として明確に位置づけた体制設計も参考になります。既存の総合型クラブを受け皿として活用することで、一から組織を作るコストを削減しながら、地域のスポーツ資源を継承する形での移行が可能になります。地域に総合型クラブが存在する自治体は、この江南市モデルが最も応用しやすいでしょう。
CONSULTING / 専門家に相談
受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?
設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。