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【事例】岐阜県白川町の部活動地域展開 ─ スポーツ3団体統合「スポーツリンク白川」が全種目一体運営

公開:2026.04.29 更新:2026.05.19
この記事でわかること

・体育協会・スポーツ少年団・総合型クラブの3団体を統合し、法人格取得により公共施設の指定管理も担う運営基盤を確立した。
・山間の佐見地区からはバスを運行し、遠隔地の生徒が地域クラブ活動に参加できる移動環境を整備した。
・統合時に各団体の組織的独自性を維持する「消滅ではなく合流」の設計が、合意形成の決め手となった。

自治体名 岐阜県加茂郡白川町
人口規模 約6,900人(令和6年度時点)
中学校数 2校(白川中学校・黒川中学校)
運営形態 一般社団法人スポーツリンク白川(体育協会・スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブを統合)
対象競技 野球、バスケットボール、バレーボール、剣道、吹奏楽
保護者負担額 スポーツリンク年会費1,000円+活動会費3,000円/月(種目別)

取り組みの概要

岐阜県白川町では、人口約6,900人の山間地域において、体育協会・スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブという3つのスポーツ関係団体が統合し、部活動の地域展開を推進しています。平成25年度から統合検討を開始し、平成29年3月に「一般社団法人スポーツリンク白川」を設立。平成30年度から地域クラブ活動の運営を開始し、令和5年度には全ての部活動に代わる地域クラブ活動の運営団体として位置づけを確立しました。休日に行う地域クラブ活動は「スポリン活動」と呼ばれ、地域移行コーディネーターが運営を支援するとともに、遠隔地(佐見地区)から活動拠点への移動手段としてバスを運行しています。

特徴的な取り組み

  • スポーツ3団体の統合と法人格取得: 体育協会・スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブが「スポーツリンク白川」として一本化。法人格取得により、町の公共スポーツ施設の指定管理が可能になり、安定した運営基盤を確立した。
  • 佐見地区スポリンバスによる移動支援: 山間の佐見地区から活動拠点まで保護者による送迎またはバスを運行し、遠隔地の生徒が活動に参加できる環境を整備した。
  • 観光・地域振興との連携: 商工会と連携したスポーツイベントや観光を取り入れたイベントを継続的に開催し、スポーツを核とした地域振興にも貢献している。

課題と解決策

課題 解決策
各スポーツ団体がそれぞれ固有の歴史をもち、統合への抵抗感があった 地域移行コーディネーターを配置し、各団体の意見を十分に尊重しながら段階的に合意形成を推進
山間部に位置し、学校間の距離が遠く活動への移動手段が課題 佐見地区スポリンバスを運行し、遠隔地の生徒の活動参加を物理的に保障
令和11年に2中学校の学校再編が予定されており、地域クラブ体制の整備が急務 スポーツリンク白川を中心とした関係者協議を継続し、再編後を見据えた体制づくりを推進

成果・効果

3つのスポーツ関係団体が統合して法人格を取得したことで、団体の信頼性と組織規模が拡大し、地域スポーツ振興に向けた多様な事業を手掛けられるようになりました。スポーツリンク白川が地域クラブ活動の運営団体となったことで、休日や平日の一部を地域クラブ活動として実施できる体制が整い、保護者が安心して子供を参加させられるようになったと評価されています。また、スポーツイベントをきっかけに町外からの来訪者が増え、商工会と連携した観光振興にも貢献するなど、スポーツを核とした地域振興の成果も生まれています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集」pp.40-41

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

白川町では、人口約6,900人の山間地域において、体育協会・スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブという3団体を統合し、一般社団法人スポーツリンク白川を設立した。平成25年度に検討を開始してから平成29年3月の法人設立、平成30年度の活動開始と段階を踏み、令和5年度には全ての部活動に代わる地域クラブ活動の運営団体として位置づけを確立した。法人格の取得により公共スポーツ施設の指定管理が可能となり、安定した運営基盤を得ている。休日の活動は「スポリン活動」と呼ばれ、地域移行コーディネーターが各団体の調整を担うとともに、山間の佐見地区からはバスを運行して遠隔地の生徒の参加環境を整えた。保護者負担はスポーツリンク年会費1,000円と種目別活動会費3,000円/月に設定されている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、各スポーツ団体が固有の歴史を持つことへの統合抵抗感、山間部特有の移動課題、令和11年度に予定される2中学校の学校再編という3つの課題が並立していた。統合抵抗感に対しては、地域移行コーディネーターが各団体の意見を丁寧に尊重しながら段階的な合意形成を進める方法を取った。移動課題には佐見地区スポリンバスの運行という具体策で対応し、遠隔地の生徒が活動に参加できる体制を物理的に整えた。成果として、スポーツリンク白川が地域クラブ活動の運営団体として確立されたことで保護者の安心感が高まり、商工会との連携によるスポーツイベントが町外からの来訪者増加にもつながっている。学校再編後を見据えた体制整備は、スポーツリンク白川を中心とした関係者協議を継続して対応している。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

白川町の事例が示す核心は、10年近い歳月をかけた段階的な合意形成の設計にある。統合後も体育協会・スポーツ少年団といった部門として各団体の組織的独自性を残し、「消滅ではなく合流」という枠組みを明確にしたことが、抵抗感の強い農山村地域での統合を可能にした。法人格の取得が指定管理や観光イベントへの参画という地域振興機能の獲得につながった点も重要で、スポーツクラブの設立が地域経済と結びつく経路を示している。移動手段の確保とセットで設計されたこの地域展開モデルは、同様の地理的条件を持つ自治体が参照できる実践知を提供している。

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