トップ 事例を探す 岐阜県 【事例】岐阜県高山市の部活動地域展開 ─ 競技団体を受け皿の中核に据えた「高山市型」・移行先クラブを競技別の一覧図で公開
全種目 👥 5~10万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 岐阜県

【事例】岐阜県高山市の部活動地域展開 ─ 競技団体を受け皿の中核に据えた「高山市型」・移行先クラブを競技別の一覧図で公開

公開:2026.08.01 更新:2026.08.01
この記事でわかること

・競技団体(協会・連盟)を受け皿の中核に据え、その下に個別クラブを配置する二層構造
・移行済み・活動中・移行予定を色分けした競技別の一覧図を基準日付きで公開
・認証クラブ制度で有資格指導者2人以上を要件とし、施設使用料の全額減免と引き換える

自治体名 岐阜県高山市
人口規模 約8.4万人(2020年国勢調査:84,419人・32,748世帯)
中学校数 12校(日枝・松倉・中山・東山・丹生川・清見・荘川・宮・久々野・朝日・国府・北稜。うち荘川中学校は令和7年度より義務教育学校「荘川さくら学園」へ移行)
運営形態 競技団体(各協会・連盟)が受け皿の中核。(一財)高山市体育協会が「高山市ジュニアスポーツ認証クラブ制度」の事務局を務める
対象競技 柔道・ソフトテニス・剣道は地域移行済。バドミントン・ハンドボール・軟式野球・卓球・陸上競技・バスケットボール・吹奏楽・バレーボール・サッカー・水泳・スキー・新体操が対象
保護者負担額 会費の金額は未公表。認証クラブは社会体育施設使用料が全額減免(照明・暖房費等の実費は除く)

取り組みの概要

岐阜県高山市は「高山市型休日の部活動地域移行」として、競技団体を受け皿の中核に据えた移行を進めています。市が公開する令和7年3月31日現在の一覧図には、競技ごとにどの協会・連盟が受け皿となり、その下にどのクラブが並ぶのかが1枚にまとめられています。

図では、地域クラブとして既に活動中のクラブと、令和7年4月から地域クラブへ移行予定のクラブが色分けされています。柔道・ソフトテニス・剣道の3競技は「地域移行済」と明記され、バドミントン・軟式野球・卓球・バレーボール等の一部部活動は令和7年の中体連終了後(9月〜)に移行予定とされました。

受け皿となるクラブの多くは、松倉中男子クラブ・日枝男・中山VC女のように学校名を冠しています。学校単位のチームをそのまま地域クラブへ移す形が基本で、バスケットボールには「人数によって地域クラブの合同など、調整する可能性あり」という注記が添えられています。

並行して市は令和7年度から「高山市ジュニアスポーツ認証クラブ制度」を開始しました。子どもの心身の健やかな成長に配慮した活動を行うスポーツ団体を認証することで、適切な活動内容と指導者の確保を図る仕組みで、事務局は(一財)高山市体育協会が務めます。

特徴的な取り組み

  • 競技団体を受け皿の中核に置く構造: 高山バドミントン協会・高山市ハンドボール協会・高山柔道協会・高山市ソフトテニス協会・高山市剣道会・軟式野球連盟・高山市卓球協会・高山陸上競技協会・高山市バスケットボール協会・高山ジュニア吹奏楽協会(仮)・高山市バレーボール協会・高山市サッカー協会が競技ごとの受け皿となり、その下に個別クラブがぶら下がる二層構造です。水泳・スキー・新体操は「それぞれの競技団体」が担います。
  • 移行先クラブを競技別に一覧図で公開: 剣道は高山東・西・南・北の4クラブ、卓球は清見・松倉男女・中山男女・久々野・国府・丹生川、バレーボールは中山VC男女・松倉清見女・久々野VC女・丹生川男女・松倉男・北稜女、吹奏楽は日枝・中山・松倉清見・宮久々野朝日・東山丹生川・国府北稜と、競技ごとの受け皿クラブ名が図に列挙されています。保護者が自分の子どもの種目の移行先を1枚で確認できる形式です。
  • 文化部も同じ枠組みに載せる: 吹奏楽について「高山ジュニア吹奏楽協会(仮)」を受け皿として設定し、6つのクラブに再編する計画を運動部と同じ図の中に位置づけています。運動部の地域展開が先行し文化部が後回しになりがちな中で、同じ工程表に載せた点が特徴です。
  • 合同部活動を経由して地域クラブへ移す軟式野球: 軟式野球は「日枝/宮・久々野/朝日」「松倉/丹生川/国府」「中山/東山/清見」の3チーム編成による合同部活動を1〜3年生で行い、新1年生から高山BBCへ移行するという二段構えが示されています。既存の部員は合同部活動で受け止め、新入生から新しい受け皿に入れる進め方です。
  • 有資格指導者2人以上を求める認証クラブ制度: ジュニアスポーツ認証クラブの要件は、高山市生涯学習・スポーツ施設使用登録団体であること、活動対象が幼児から高校生までであること、適正な活動内容と時間を順守すること、日本スポーツ協会公認「スタートコーチ(ジュニア・ユース)」資格保有者が2人以上いること、年1回の研修会に各クラブ1人以上が参加すること、スポーツ安全保険等に加入することの6点です。
  • 認証と引き換えに施設利用の優遇を付与: 認証クラブは社会体育施設使用料が全額減免(照明・暖房費等の実費は除く)となり、学校施設を夕方(午後5時〜7時、北小のみ午後5時30分〜)に使用でき、休日昼間の学校施設を優先使用できます。あわせてスポーツハラスメント相談窓口が設置されています。

課題と解決策

課題 解決策
受け皿となる団体を新たに立ち上げる体力が地域にない 競技団体(協会・連盟)を受け皿の中核に据え、既存の競技団体組織の下に学校単位のクラブをぶら下げる二層構造をとる
移行先が決まっていない種目の保護者が不安を抱える 地域クラブとして活動中のクラブと移行予定のクラブを色分けした一覧図を基準日(令和7年3月31日現在)付きで公開し、進捗を可視化する
年度途中で移行すると大会参加資格の扱いが複雑になる バドミントン・軟式野球・卓球・バレーボール等の一部部活動については、令和7年の中体連終了後(9月〜)に移行するスケジュールとする
少人数の学校では単独のクラブが成立しない バスケットボールでは人数に応じて地域クラブの合同などを調整する可能性を明記し、吹奏楽やバレーボール等では複数校を組み合わせたクラブ編成をあらかじめ図に示す
地域クラブの指導の質と安全をどう担保するか ジュニアスポーツ認証クラブ制度で、日本スポーツ協会公認「スタートコーチ(ジュニア・ユース)」資格保有者2人以上の配置、年1回の研修会参加、スポーツ安全保険等への加入を要件とし、活動日数と時間の上限も設ける

成果・効果

令和7年3月31日時点で、柔道・ソフトテニス・剣道の3競技が「地域移行済」と整理されています。地域クラブとして既に活動中のクラブには、バドミントンの高山JBCと上宝クラブ、ハンドボールのGlanz飛騨高山、ソフトテニスの高山ジュニアソフトテニスクラブ(男女)、卓球の清見、バレーボールの中山VC男・中山VC女・松倉清見女、剣道の東西南北4クラブなどがあります。

認証クラブ制度の活動時間基準は、幼児〜小学生が週3日以内・平日2時間程度・休日3時間程度、中学生〜高校生が週5日以内・平日2時間程度・休日3時間程度と定められています。要件となるスタートコーチ(ジュニア・ユース)資格は受講料3,300円・登録料16,300円(初回)で4年間有効、令和8年度は第1回が8月2日、第2回が12月20日に開催予定です。

出典

→ 原文: 高山市「高山市ジュニアスポーツ認証クラブ制度」

→ 原文: 高山市型休日の部活動地域移行(令和7年3月31日現在)PDF

→ 原文: 高山市「中学校一覧」

→ 原文: 高山市「国勢調査」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

高山市の資料で最も参考になるのは、移行先クラブの一覧図を基準日付きで公開している点です。地域展開の説明は「令和何年度から地域クラブへ移行します」という抽象論に終始しがちですが、高山市は競技ごとにどの協会が受け皿になり、どのクラブに自分の子どもが入るのかを1枚で示しました。受け皿を競技団体に集約したことで、この図が描けたとも言えます。市が個別クラブを1つずつ認定するのではなく、競技団体に束ねてもらう方式は、市の事務負担を抑えながら競技ごとの実情に合った編成を可能にします。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この方式の前提は、市内に競技団体が機能していることです。協会・連盟が実質的に休眠している競技では、受け皿の中核を置く相手がおらず、同じ構造は作れません。また、学校名を冠したクラブが並ぶ構成は、学校単位のチームをそのまま移す実務的な近道である一方、「地域に開く」という改革の理念からは距離があります。高山市もバスケットボールで人数に応じた合同を、吹奏楽やバレーボールで複数校の組み合わせを想定しており、少子化が進めば学校単位の編成を維持できなくなる前提で設計しています。移植する自治体は、初期は学校単位で移し、数年内に地域単位へ再編する二段階を最初から工程に入れておくのが現実的です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

認証クラブ制度は、有資格指導者2人以上・年1回の研修会参加・スポーツ安全保険加入・活動日数と時間の上限という要件を、施設使用料の全額減免や学校施設の優先使用という実利と引き換えにする設計です。要件を守るインセンティブが制度に内蔵されており、実効性が期待できます。スポーツハラスメント相談窓口を制度とセットで設けた点も、通報経路を確保するガバナンスとして評価できます。一方、会費の水準や指導者への謝金の扱いは公表されておらず、施設使用料の減免だけで運営費を賄えるかは競技によって差が出ます。認証クラブ数や更新状況の公表が次の透明性の論点になります。

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