【事例】石川県穴水町の部活動地域展開 ─ 穴水中学校1校108人・「練習内容レクチャー会」で外部指導者と顧問が一貫指導・部活動指導員サポート事業活用
・石川県穴水町の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 石川県穴水町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7千人 |
| 中学校数 | 公立1校(穴水中学校)・全生徒数108人・8部活動 |
| 運営形態 | 町体育協会(各競技協会)・地域人材等+部活動指導員サポート事業活用 |
| 対象競技 | 陸上・剣道・軟式野球・ソフトテニス(4部) |
| 保護者負担額 | 参加費0円/年+保険料800円/年 |
取り組みの概要
石川県穴水町は、穴水中学校1校・108人の生徒を対象に、令和5年度から地域移行実証事業を実施しています(4部活動)。一方、全予定種目に指導者が配置できていない状況や、勤め先の勤務時間外労働や仕事のシフトの関係で継続的に指導ができない指導者が配置できていない課題に直面しています。地域クラブになりうる団体がなく、町スポーツ協会・スポーツ少年団等と協議を進めていく必要があります。
同町の特徴は、部活動顧問に対して外部指導者から一貫した練習を徹底するため、練習内容についてレクチャーする場を設けている点。事業開始の当面は部活動顧問も参加し、慣れるまで指導者と生徒の橋渡しをおこなうほか、学校と指導者との間で指導方針について協議する場を設けるなど、指導の一貫性を確保する細やかな運営を実現しています。
特徴的な取組
- 「練習内容レクチャー会」で一貫指導を徹底: 部活動顧問に対して外部指導者から一貫した練習を徹底するため、練習内容についてレクチャーする場を設けている。指導の一貫性確保の独自の取組。
- 部活動顧問が橋渡し役として継続参加: 事業開始の当面は部活動顧問も参加し、慣れるまで指導者と生徒の橋渡しをおこなう設計。生徒の混乱を最小化。
- 学校と指導者との指導方針協議の場: 学校と指導者との間で指導方針について協議する場を設けることで、地域移行による指導方針の変質を防止。
- 部活動指導員サポート事業活用(国1/3・県1/3・町1/3): 部活動指導員に支給する報酬は、国・県・町がそれぞれ1/3ずつ負担する部活動指導員サポート事業を活用。報酬月額1,600円/時間で指導者の処遇を確保。
- 令和5年度から先行実証(4部活動): 令和5年度から地域移行実証事業を実施。陸上・剣道・軟式野球・ソフトテニスの4部活動で先行展開。
- 教員時間外勤務の減少を四半期ごとに調査: 教員時間外勤務において、初年度よりも平均時間外勤務が減っていることを四半期ごとに数値で確認。教員の働き方改革効果を継続検証。
- 生徒・保護者アンケートで練習の質向上を確認: 生徒・保護者アンケートで「練習の質が向上した」などの意見を多数獲得。
- 保険料800円/年の追加負担: 参加費は0円に加え、保険料800円/年のみという極めて低廉な負担設計。家計負担を最小化。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 全予定種目に指導者が配置できていない | 地域クラブになりうる団体がない中、町スポーツ協会・スポーツ少年団等と協議を進める。部活動指導員サポート事業で報酬を確保し指導者を募集 |
| 勤め先の勤務時間外労働や仕事のシフトで継続的指導が困難 | 部活動指導員サポート事業の月額1,600円/時間で適切な処遇を提供し、複数の指導者をローテーション化 |
| 地域移行による指導方針の変質 | 学校と指導者との間で指導方針について協議する場を設け、地域移行後も指導の一貫性を確保 |
| 外部指導者と顧問の指導内容の食い違い | 部活動顧問に対して外部指導者から一貫した練習を徹底するため、練習内容についてレクチャーする場を設置 |
| 生徒の混乱回避 | 事業開始の当面は部活動顧問も参加し、慣れるまで指導者と生徒の橋渡しをおこなう |
| 家計の経済負担 | 参加費0円・保険料800円/年のみという極めて低廉な負担設計 |
| 教員の働き方改革効果の検証 | 教員時間外勤務を四半期ごとに数値調査し、初年度よりも減っていることを定量確認 |
成果・効果
令和5年度から地域移行実証事業を開始し、令和6年度には4部活動(陸上・剣道・軟式野球・ソフトテニス)で運営。指導者4名・運営スタッフ0名(町体育協会連携)で月平均4回の活動を実施し、各学年クラブ平均4名と着実な参加を確保しました。生徒・保護者アンケートで「練習の質が向上した」との意見を獲得し、教員時間外勤務は初年度よりも平均時間外勤務が減っていることを四半期調査で数値確認。「練習内容レクチャー会」「指導方針協議」「部活動顧問の橋渡し役継続」という3つの細やかな運営により、人口7千人規模の小規模町でも質の高い地域移行を実現しています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 石川県(成果報告書概要)」
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
穴水町の事例で最も注目すべきは、「練習内容レクチャー会」という独自の取組です。多くの自治体が「外部指導者を確保したら指導を任せる」で終わるなか、穴水町は「外部指導者から部活動顧問へ練習内容をレクチャー」する場を設けることで、地域移行後の指導の一貫性を確保しています。これは生徒の混乱を防ぐだけでなく、顧問教員のスポーツ指導力向上にもつながる教育的設計です。
もう一つの特徴は、部活動指導員サポート事業(国1/3・県1/3・町1/3負担、月額1,600円/時間)の活用です。地域クラブの財源を町単独ではなく国・県との3者分担で確保することで、人口7千人規模の小規模町でも持続的な指導者確保が可能になります。「教員時間外勤務を四半期ごとに数値調査」する継続検証も、地域移行の働き方改革効果を定量的に証明する優れた手法です。参加費0円・保険料800円/年のみという極めて低廉な負担設計と相まって、災害復興下にある能登地域における地域移行モデルとして極めて価値が高いといえます。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
「練習内容レクチャー会」を採用する場合、外部指導者が顧問教員にレクチャーすることに抵抗感を持つ場合があります。「指導者が教員に教える」という形ではなく、「練習方針を共有する場」と位置付けることで、双方にとって心理的負担の少ない設計が可能になります。部活動指導員サポート事業(国・県・町1/3ずつ負担)は、財源確保の有効手段ですが、各機関の予算スケジュールと交付決定タイミングを正確に把握しておく必要があります。月額1,600円/時間という単価は地域指導者の生活費を考えると最低限の水準であり、長期継続には町独自の上乗せ補助も並行検討すべきです。教員時間外勤務の四半期調査は他自治体でも導入可能な施策で、地域移行の効果を議会・市民に説明する強力なエビデンスとなります。
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