トップ 事例を探す 北海道 【事例】北海道札幌市の部活動地域展開 ─ 小学生アンケートで多様なスポーツ需要を先読み・地域クラブ755か所設置目標で令和8年度から段階移行へ
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【事例】北海道札幌市の部活動地域展開 ─ 小学生アンケートで多様なスポーツ需要を先読み・地域クラブ755か所設置目標で令和8年度から段階移行へ

公開:2026.05.02 更新:2026.05.02
この記事でわかること

・札幌市が小学生アンケートで把握した「学校部活にない種目」への多様なスポーツ需要の実態
・地域クラブ755か所という具体的な設置目標とその算出方法
・令和8年度からの段階移行ロードマップと受益者負担シミュレーションの内容

自治体名 北海道札幌市
人口規模 約197万人(2024年時点)
中学校数 98校(令和5年5月1日現在)
運営形態 教育委員会主導・地域スポーツ団体・民間事業者との連携(区単位で段階的整備)
対象競技 全運動部・全文化部(令和6年度実証:陸上・ハンドボール・バスケ・野球・アーバンスポーツ・eスポーツ・ダンス・演劇等)
保護者負担額 実証事業段階では無料(本格実施後は受益者負担を設定予定。試算では1回あたり1,000〜3,500円が検討対象)

取り組みの概要

北海道札幌市(人口約197万人)は、令和3年度から「部活動地域移行及び地域スポーツ・文化芸術活動の機会確保に向けた検討委員会」を設置し、令和6年(2024年)度から本格的な実証事業を開始しました。市立中学生は令和6年4月時点で43,887人に上りますが、令和18年度には32,491人(現在比72%)に減少すると推計されており、少子化対応が急務となっています。市は令和8年度(2026年度)以降、準備の整った競技・種目から順次休日の活動を地域クラブへ移行するロードマップを策定。地域クラブの設置目標を運動部546か所・文化部209か所の合計755か所と具体化し、区ごとに目標数を割り振っています。

特徴的な取り組み

  • 小学生アンケートによる多様なスポーツ需要の先読み:令和5年7月に小学3〜6年生を対象に実施したアンケート(複数回答)では、スキー(1,512票)・水泳(1,499票)に次いでバドミントン(1,217票)・アーチェリー(887票)・スノーボード(829票)・カーリング(810票)・スポーツクライミング(520票)・自転車BMX(536票)・ブレイキン(481票)・ラクロスなど、学校部活動に設置されていない競技への高いニーズが明らかになった。この結果を根拠に、スポーツ庁委託「Let’sやるスポ!中学生」事業でアーバンスポーツや多種目体験の実証を展開。
  • 地域クラブ755か所設置目標の策定:現在の部活動設置状況(運動部:野球87・バスケ162・バレー97・卓球108など、文化部:吹奏楽74・美術75など)を基に、部員数を40で割って各種目の地域クラブ必要数を算出。10区ごとに具体的な目標数を設定し、段階的な受け皿整備の見通しを可視化している。
  • 教員の兼職兼業制度を活用した指導者確保:南区陸上クラブ(A-bank北海道と連携)・ハンドボール部(サフィルバ北海道と連携)の実証事業では、参加を希望する顧問教員を外部の運営団体に所属させる兼職兼業の手続きにより報酬を支給。教員が地域クラブ指導者として従事できる制度的基盤を整備。
  • 少年団との連携によるスモールスタートモデル:宮の森中学校(中央区)で地域の少年団(三角山ノーティキッズ・円山リトルジャイアンツ)の指導者を部活動特別外部指導者に委嘱。中学生が少年団活動に合同参加することで、少年団が部活動の受け皿となる可能性を検証。小中学生が交流することで少年団指導者の主体性向上も確認された。

課題と解決策

課題 解決策
政令市規模(98校・43,887人)での全市一斉移行は困難 区を限定した実証事業から開始し、令和8年度以降は準備が整った区・種目から段階的に移行
実証事業段階では費用を市費100%が負担しており持続不可能 参加者33名の陸上クラブで1回1,000〜6,000円の受益者負担シミュレーションを実施し、適正な負担額を検討中
教員(子育て世代・中堅・競技未経験者)の精神・肉体的負担による廃部・休部の増加 兼職兼業制度の整備により教員が指導者として適切な報酬を受け取れる仕組みを構築
学校部活動に設置されていない競技種目への生徒需要(アーバンスポーツ等)に対応できていない 小学生アンケートで需要を数値化し、スポーツ庁・文化庁委託事業を活用して新種目の実証事業を展開

成果・効果

令和6年度の南区陸上クラブ実証(A-bank北海道と連携)では、2回の実施で延べ67名が参加しました。元ハイテクAC所属・日本記録保持者クラスのアスリートが短距離・走高跳・投てき・中長距離に分かれて専門指導を実施し、通常の部活動では受けられない高品質な指導が提供されました。ハンドボール部の実証(サフィルバ北海道と連携)では初日に34名が参加し、顧問教員から「土日の部活動指導回数が減り、余裕が生まれた」との声が上がりました。また少年団連携では、顧問教員から「平日は教育活動に、土日は家庭に充てる時間が増えた」との評価が得られており、短期間でも教員負担軽減の効果が実証されています。

出典

→ 原文: 札幌市教育委員会「令和6年度における部活動の地域移行・地域連携に向けた実証事業の実施状況」(2025年3月18日)

→ 参考: 札幌市教育委員会「札幌市における部活動の地域展開に向けた方針検討」(2025年3月18日)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

札幌市の取り組みで特に注目すべきは、小学3〜6年生対象のアンケートで「中学生になったらやってみたいスポーツ」を先に数値化した点です。アーチェリー887票・カーリング810票・スポーツクライミング520票・自転車BMX536票・ブレイキン481票という数字は、現行の学校部活動が「やりたいスポーツができる場」になっていないことを明確に示しています。この調査結果を根拠に実証事業の種目選定に踏み込んだ姿勢は、「地域移行=部活の代替」という発想を超えて「子どもが本当にやりたいスポーツができる場をつくる」という方向性を体現しています。

地域クラブ設置目標を「部員数÷40」という算式で算出し、運動部546か所・文化部209か所の合計755か所と数値化したことも注目に値します。「受け皿が足りない」という曖昧な議論を超え、区ごとに何か所必要かを可視化することで、受け皿整備の道筋が立てやすくなります。この方法は他の政令市でも転用できます。

一方で、費用負担の問題は今後の最大の焦点です。実証事業では全額市費ですが、持続可能性のためには受益者負担の導入が不可避です。陸上クラブの試算では1回3,000円で市費56%・受益者負担44%、1回6,000円で市費12%・受益者負担88%という数値が示されています。政令市規模での受益者負担設計は、経済的困難な家庭への支援策(就学援助との連動など)と一体で検討しないと参加格差が生まれるリスクがあります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

札幌市の「小学生アンケートで中学生ニーズを先読みする」手法は、規模に関わらず転用できます。Google フォームや Microsoft Forms を使えば費用をかけずに実施でき、学校部活動にない種目への需要を数値で示すことができます。「子どもがやりたいのにできない」種目が浮かび上がれば、地域展開の受け皿整備の優先順位付けにも使えます。また、少年団との連携モデルは小規模自治体でも即効性があります。少年団の指導者を部活動特別外部指導者として登録するだけで、学校施設を使いながら小中学生が合同で活動できる環境が整います。これは法人設立や認定制度の整備を待たずに始められる「スモールスタート」の典型例です。

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