【事例】三重県亀山市の部活動地域展開 ─ 近隣9市の方針を一覧化して着手時期を決め、コーディネート団体と登録制で受け皿を組む
・県内近隣9市の令和8年度方針を一覧化して着手時期を判断した亀山市の進め方
・コーディネート団体+登録制という受け皿の体制図と、検討会が挙げた5つの課題
・生徒数が令和17年度までに約21.3%減る見通しと、運動部66.2%・文化部19.6%という加入率の実態
| 自治体名 | 三重県亀山市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4.9万人(49,109人・2024年10月1日時点・住民基本台帳) |
| 中学校数 | 3校(亀山中・中部中・関中/令和7年度の生徒数合計1,368人) |
| 運営形態 | 地域の多様な団体による地域クラブ活動(市教育委員会がコーディネートを担う団体・組織を選定し、団体は登録申請制) |
| 対象競技 | 運動部10種目(陸上、バスケットボール、バレーボール、軟式野球、サッカー、ソフトテニス、卓球、ソフトボール、ハンドボール、剣道)/文化部4種目(吹奏楽、美術・ものつくり、パソコン、家庭) |
| 保護者負担額 | 団体が取り決める月謝など(令和7年8月時点で金額は未定) |
取り組みの概要
亀山市教育委員会事務局は令和7年8月6日の総合教育会議に「休日の学校部活動の地域展開等に向けて ~現状と今後の取組み~」と題した資料を提出し、市内の現状と今後の方向性を整理しました。
市が示した危機感は具体的です。市内中学校の生徒数は令和7年度の1,368人から令和17年度には1,076人へ292人(約21.3%)減る見込みで、内訳は亀山中が608人から476人(約21.7%減)、中部中が663人から493人(約22.1%減)、関中が127人から107人(約15.7%減)となっています。令和7年5月1日現在の加入率は運動部66.2%、文化部19.6%です。
これに先立ち、市は令和5年度・令和6年度に各2回ずつ「部活動地域あり方検討会」を開催し、令和7年1月には児童生徒(小4〜中2)・保護者(小4〜小6)・教職員へのアンケートを実施しました。回答数は小学4〜6年生1,109人(82.1%)、中学1・2年生924人(87.3%)、小学4〜6年生の保護者647人(49.3%)、市内小中学校教職員256人(84.5%)です。同じ時期に児童生徒・保護者向けチラシ「休日の学校部活動が地域クラブ活動へ」を全保護者に配布し、教育通信(令和7年3月1日号)でも市民周知を行っています。
特徴的な取り組み
- 県内近隣9市の方針を一覧にして自市の位置を確認した: 資料には、いなべ市・桑名市・四日市市・鈴鹿市・津市・伊賀市・名張市・松阪市・伊勢市について「令和8年度以降の休日部活動の方向性」と「令和7年度の取組状況」を並べた比較表が掲載されています。そのうえで「5市が令和8年度に地域展開等の実施を予定」と整理し、近隣の進度を踏まえて自市の判断材料にしています。
- コーディネートを担う団体・組織を置く体制設計: 目指す地域クラブ活動の姿として、スポーツ競技団体・文化芸術団体・総合型地域スポーツクラブ・民間企業・大学・高校・NPOなど地域の様々な団体が、コーディネートを担う団体・組織を介して市教育委員会とつながる図を示しています。団体は地域クラブ活動団体として登録申請を行い、市教委から支援・助言を受け、学校・保護者・生徒へは登録団体として案内される流れです。
- 校区を越えて選べることを価値として打ち出す: 地域クラブ活動のメリットとして「校区を超えてやりたいことが選べる」「部活動になかった種目や気軽に取り組める活動など多様な活動から選べる」「専門性の高い指導が受けられる」「生涯スポーツ・文化活動の推進や地域の活性化につながる」を挙げています。
- 移行後の生活スタイルを3パターンで提示: 休日の過ごし方として「地域クラブ活動に参加」「既存のクラブチームに参加」「どこにも所属せずにプライベートの時間を過ごす」の3つを並記し、どこにも所属しない選択肢も明示しています。
- 検討会で出た課題を5項目に絞って公開: 地域クラブ活動への展開に伴う保護者負担の在り方、指導者への報償費など財政支援の是非、学校教育の一環である部活動から社会教育・スポーツ・文化芸術である地域クラブ活動へ移ることに伴う事務の所管の調整・整理、指導者の不足と指導の質の維持、トラブル発生時等の学校と地域クラブ活動の連携体制──の5点です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 生徒数が令和17年度までに約21.3%減り、現在の部活動体制を維持できなくなる | 校区を越えて市内の中学生が参加できる地域クラブ活動へ展開し、活動の選択肢を確保する |
| 教員が指導を担う前提の運営が働き方改革と専門性の観点から限界にある | 多様な人材と希望する教員(兼職兼業)が指導する体制へ移し、教職員の兼職兼業届けを策定する |
| 部活動から地域クラブ活動へ移ると所管が学校教育から社会教育へまたがる | 検討会で事務の所管の調整・整理を論点として明示し、庁内で整理を進める |
| 地域の団体と学校・生徒をつなぐ主体がいない | コーディネートを担う団体・組織を選定し、団体は登録申請制として市教委が支援・助言する |
| 保護者負担の在り方と指導者への報償費など財政支援の是非が定まらない | 部活動地域あり方検討会(協議会)で継続協議し、休日の地域クラブ活動ガイドラインを作成する |
| 地域展開後に子どもたちの居場所が減るおそれがある | 移行後の休日の過ごし方を3パターンで示し、モデル事業で実現可能性と課題を検証する |
成果・効果
令和7年度時点では本格的な地域クラブ活動の開始前であり、参加者数などの実績はまだありません。市が同年度に予定した取り組みは、効果と実現可能性の検証・課題の特定と改善・データの収集と分析を目的としたモデル事業の実施(数種目程度)、教職員の兼職兼業届けの策定、部活動ガイドラインの改訂の検討の3点です。
あわせて市全体で取り組みたいこととして、学校・保護者への市の具体的な方向性の周知、地域クラブ活動あり方検討会(協議会)の開催、休日の地域クラブ活動ガイドラインの作成、コーディネートを担う団体・組織の選定、休日の地域クラブ活動団体の募集・確定の5項目を掲げています。令和5年度からの検討会開催、令和7年1月の全保護者へのチラシ配布と4種類のアンケート、令和7年3月の教育通信による市民周知まで、合意形成の手順を順に積み上げてきた点がこの時点での到達点です。
出典
→ 原文: 亀山市教育委員会事務局「総合教育会議資料1 ─ 休日の学校部活動の地域展開等に向けて ~現状と今後の取組み~(令和7年8月6日)」(PDF)
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