トップ 事例を探す 三重県 【事例】三重県桑名市の部活動地域展開 ─ ACC連携指導者育成×「くわな地域クラブ」公認制度で令和8年9月全面実施へ
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 三重県

【事例】三重県桑名市の部活動地域展開 ─ ACC連携指導者育成×「くわな地域クラブ」公認制度で令和8年9月全面実施へ

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・桑名市が令和8年9月の休日部活動地域展開全面実施に向けて段階整備している設計
・ACC連携の三層指導者研修と「くわな地域クラブ」公認制度による受け皿確保の仕組み
・管理運営部局に窓口機能を一本化する行政直営型の推進体制の要点

自治体名 三重県桑名市
人口規模 約13.9万人(2026年時点)
中学校数 市立8校+長島中学校悠分校(+私立津田学園中学校)
運営形態 行政直営「管理運営部局」+「くわな地域クラブ」公認制度(地域スポーツ文化団体・総合型地域スポーツクラブ・地元企業・大学等)
対象競技 野球・バレー・テニス・卓球・吹奏楽・水泳など複数種目(モデル事業で連盟・協会・地域団体と連携)
保護者負担額 調査時点で公表資料に月額の記載なし。生活困窮家庭への補助・移動負担軽減策を検討中

取り組みの概要

三重県桑名市は令和4年度に検討準備委員会を立ち上げ、令和5年度から有識者・地域スポーツ文化団体・学校・保護者で構成する「桑名市部活動在り方検討委員会」(年4回開催)で協議を進めてきました。今後10年で市内中学生が約1,000人減少する見通しに加え、市の実態調査では顧問の約5割が競技経験のない部活動を担当し、約6割が休日部活動に負担感を抱えていることが判明しています。こうした状況を背景に、市は令和6年3月に「桑名市部活動ガイドラインおよび新たな地域クラブ活動方針」を国の提言と三重県ガイドラインを踏まえて改定し、令和7年度の休日部活動地域展開モデル事業を経て、令和8年9月以降の休日部活動地域展開全面実施を目指しています。

特徴的な取り組み

  • 「くわな地域クラブ」公認制度: 認定要件を満たした地域のクラブを市が「くわな地域クラブ」として公認し、地域スポーツ文化団体・総合型地域スポーツクラブ・地元企業・大学等を受け皿として整理。特設サイト(Google Sites)で活動情報を保護者・生徒向けに発信しています。
  • 管理運営部局の設置: 事務手続き補助・団体の認可/連携/調整・人材バンク運用・指導者マッチング・研修会開催を一元的に担う「管理運営部局」を設置し、学校と地域団体・保護者の間の窓口機能を担っています。
  • 桑名市指導者育成パッケージ(ACC連携): アスリートキャリアセンター(ACC)と連携し、地域クラブ理念・安全管理・ハラスメント防止などを扱う「指導基礎研修」を全指導者が受講。希望者にはコーチング理論・チームマネジメント・スポーツサイエンス等を学ぶ「指導力向上研修」および「くわなオリジナル研修」も用意しています。
  • 4年ロードマップ(R4〜R8): R4-5に部活動指導員等の人材拡充、R6に段階的休日部活動地域展開開始、R7に地域展開モデル事業でACC連携指導者育成研修、R8.9月以降に全面実施という段階的な設計です。

課題と解決策

課題 解決策
顧問の約5割が競技経験なし・約6割が休日部活動に負担感 ACC連携の指導者育成パッケージで地域指導者の質を担保し、休日部活動を段階的に地域クラブへ移行
今後10年で中学生約1,000人減少・単独校では部活動維持が困難 くわな地域クラブ公認制度で受け皿を整理し、複数校の生徒が地域クラブに横断参加できる体制を構築
指導者確保・受け皿団体の認可・活動場所調整・保護者連絡の複雑化 管理運営部局を設置し、事務手続き・団体認可・場所調整・保護者窓口を一元化
生活困窮家庭の参加費負担・遠距離校の移動負担 生活困窮家庭への補助・移動に係る負担軽減策を体制整備方針に明記し検討中

成果・効果

令和7年度の休日部活動地域展開モデル事業は、連盟・協会・地域団体と連携し、想定するクラブ数と活動場所が適切であるかの検証を目的として実施されています。市は児童生徒・保護者・教職員へのアンケート調査を継続し、実態把握と地域展開の全面実施に向けた協議を進めています。運動部だけでなく吹奏楽等の文化部も受け皿の対象範囲としており、市内10校規模の中学校生徒を対象に令和8年9月の全面実施を待つ形で準備が進んでいます。

出典

→ 原文: 桑名市における「中学校の休日部活動の地域展開」について(桑名市公式サイト)

→ 関連PDF: 桑名市部活動地域展開プラン / 最終提言 / くわな地域クラブ公認要綱

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

桑名市の設計で最も特徴的なのは、指導者育成をACC(アスリートキャリアセンター)と外部連携する枠組みを制度に組み込んだ点です。「指導基礎研修」を全指導者の必須受講にし、その上に「指導力向上研修」「くわなオリジナル研修」を積み上げる三層構造は、地域指導者の質のばらつきを避けたい自治体にとって参考になります。同時に、事務手続き・団体認可・場所調整・保護者窓口を「管理運営部局」に一本化する体制設計は、学校と地域団体の間で発生しがちな調整コストを行政が引き受ける明確な意思表示です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

桑名モデルの中核である「外部の指導者育成機関との連携」は、地方都市ではACC相当の受け皿が存在しない場合があります。代替として、県立体育大学・大学のスポーツ健康科学部・県体育協会などとの共同研修プログラムに置き換える設計が現実的です。もう1つのハードルは「管理運営部局」相当の専任人員確保で、教育委員会内に部活動改革専属の兼務チームでは事務が滞る事例が全国で報告されています。桑名市も総合教育会議レベルで位置付けを明示している点は参考にすべきで、単なる係の追加業務にせず組織図に明記することが持続性を左右します。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

R4〜R8の4年ロードマップが総合教育会議資料として公開され、部活動在り方検討委員会が年4回定期開催されているガバナンス設計は透明性が高い水準です。ガイドラインを令和6年3月に国・県の改定に合わせて更新した実績もあり、方針の陳腐化リスクは低いと評価できます。一方で保護者負担額・企業協賛の具体設計はまだ「体制整備方針」段階の記載にとどまり、令和8年9月の全面実施までに数値化・公表される必要があります。

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