トップ 事例を探す 三重県 【事例】三重県松阪市の部活動地域展開 ─ 「まつさか地域クラブ」と3層の指導者体制で進める段階移行
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 三重県

【事例】三重県松阪市の部活動地域展開 ─ 「まつさか地域クラブ」と3層の指導者体制で進める段階移行

公開:2026.07.24 更新:2026.07.24
この記事でわかること

・松阪市が「まず地域連携から」と順序を定めた段階的な地域展開方針
・部活動指導員・外部指導者・ボランティアの3層で指導者を確保する仕組み
・指導員配置後83%が「充実」と回答したデータに基づく全校拡大の判断

自治体名 三重県松阪市
人口規模 約15.5万人(2025年2月時点)
中学校数 11校(市立中学校・生徒数約3,970人)
運営形態 非営利の運営団体(スポーツ少年団・体育協会・競技団体・クラブチーム・大学・保護者会等)が担う「まつさか地域クラブ活動」。コミュニティ・スクールを活用し市教委が認定
対象競技 スポーツ・文化芸術活動全般(特定競技の指定なし)
保護者負担額 調査時点で未公表(運営団体が活動維持に必要な範囲で会費を設定し、地元企業協力・寄附等で負担軽減に努める方針)

取り組みの概要

松阪市教育委員会は令和5年度に「松阪市中学校部活動あり方検討会」を設置し、令和7年2月に「松阪市部活動ガイドライン まつさか地域クラブ活動方針」を策定しました。少子化で従来体制の部活動維持が難しくなる中、「既存の学校部活動を大切にしながら、まずは地域連携を進める」という方針を採り、いきなりの全面移行はしていません。国が令和7年12月に「地域移行」を「地域展開」へ名称変更し、令和8〜13年度を改革実行期間としたことに合わせ、松阪市も令和8年度は休日・平日の部活動を継続しつつ地域連携を深める段階にあります。「子どもファースト」「誰一人取り残さない」を理念に掲げ、地域クラブの活動名称を「まつさか地域クラブ活動」とし、市が立ち上げる「まつさかクラブ活動」と既存の民間クラブが加入する「まつみんクラブ活動」の2区分で受け皿を整えています。

特徴的な取り組み

  • 3層の指導者確保体制: 「部活動指導員(会計年度任用職員)」「スポーツ文化エキスパート外部指導者(有償ボランティア)」「部活動ボランティア(無償)」の3層で指導者を確保し、指導の質と量を同時に担保します。
  • 全中学校への指導員配置: 令和6年度から市内全中学校に部活動指導員を各校1人以上配置(会計年度任用職員として採用)し、教員の専門外指導・長時間勤務を軽減します。
  • コミュニティ・スクールの活用: 学校・子ども・地域をつなぐ運営団体づくりを、文化課・スポーツ課・学校教育課等からなる協議会で連携して推進します。

課題と解決策

課題 解決策
少子化で単独校では部員数が不足し、部活動の存続が困難 近隣校との合同チーム編成、および地域クラブ活動の受け皿整備
教員の専門外指導・長時間勤務、生徒が専門的指導を受けにくい 専門性を持つ指導員・外部指導者・ボランティアの積極配置による指導体制の補強

成果・効果

部活動指導員を配置した学校部活動の生徒アンケートでは「とても充実している/充実している」が83%と高評価を得ており、これを根拠に令和6年度から全中学校への指導員配置(各校1人以上)へ拡大しました。部活動加入率は市内で約87%(運動部61%・文化部26%、令和6年度実態調査)を維持しています。

出典

→ 原文: 松阪市部活動ガイドライン まつさか地域クラブ活動方針(松阪市公式)

→ 原文: 松阪市における中学校の部活動について(令和8年3月・松阪市公式)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

松阪市の特徴は、「まず地域連携から」という順序を明確にしたうえで、指導者を3層構造で確保している点にあります。多くの自治体が受け皿となる団体づくりに苦労するなか、松阪市は部活動指導員・有償の外部指導者・無償ボランティアという役割と待遇の異なる3層を用意することで、専門性が必要な場面と見守りで足りる場面を切り分けています。指導員配置後のアンケートで83%が「充実」と回答した実績を根拠に全校配置へ拡大した意思決定プロセスも、データに基づく堅実な進め方として参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

3層の指導者体制を敷くには、それぞれの層をどう募集し、どう研修するかの設計が不可欠です。松阪市は会計年度任用職員としての採用ルートを整えることで、指導員の身分と責任を明確にしています。導入自治体はまず「有償で確実に来てもらう層」と「無償で地域が支える層」を分けて考えると設計しやすいでしょう。また松阪市は保護者負担の具体額を明示せず「運営団体が必要な範囲で設定し、企業協力・寄附で軽減する」としており、会費水準の合意形成は今後の課題として残ります。負担の見通しを早期に示すことが定着のカギです。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

市教委が運営団体を認定し、文化課・スポーツ課・学校教育課の協議会で連携する体制は、責任の所在が明確でガバナンス面の透明性が高い設計です。「まつさかクラブ活動」と「まつみんクラブ活動」の2区分で、市主導と民間主導の両ルートを併存させている点も、受け皿の多様性を確保するうえで持続可能性に資します。一方、会費実額と財源構成が未確定な点は長期安定に向けた要検討事項です。

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