【事例】山口県萩市の部活動地域展開 ─ 絆スポーツクラブ萩を運営サポート団体に陸上・ソフトボール・軟式野球から先行移行
・山口県萩市の地域移行で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点
| 自治体名 | 山口県萩市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4.2万人(41,637人・令和6年12月末日時点) |
| 中学校数 | 13校(公立中学校生徒数 845人) |
| 運営形態 | 運営サポート団体「絆スポーツクラブ萩」核・教育委員会事務局型 |
| 対象競技 | 陸上競技、ソフトボール、軟式野球(先行)/体験会:ボッチャ、ソフトテニス、カヌー |
| 保護者負担額 | 令和6年度は実証事業として保護者負担なし(R7以降検討中) |
取り組みの概要
山口県萩市は、令和5~7年度を「部活動改革推進期間」と位置付け、休日の学校部活動を段階的に地域クラブ活動へ移行する取組を進めています。令和8年4月には休日のすべての学校部活動を終了し、同年8月からは平日を含めたすべての学校部活動を終了して地域クラブへ完全移行する計画です。
令和6年4月には萩市教育委員会内に「部活動改革推進室」を設置し、運営サポート団体である絆スポーツクラブ萩と連携。同年、ソフトボール部・軟式野球クラブを立ち上げ、令和6年9月以降は陸上競技部・ソフトボール部について休日の学校部活動を完全に地域移行しました。
特徴的な取組
- 部活動改革推進室の独立設置: 令和6年4月に教育委員会内に専任部署を設置。学校教育課・スポーツ振興課・文化・生涯学習課と並ぶ独立組織として、各種団体との協議・調整を一手に担う体制を構築。
- 絆スポーツクラブ萩を運営サポート団体に: 既存の総合型地域スポーツクラブ「絆スポーツクラブ萩」を運営サポート団体として位置付け、地域クラブの運営・体験会の開催・指導者研修会まで一括して担当。
- 大学・アスリート連携: 青山学院大学陸上部・アスリートキャリアセンターと連携し指導者育成・各種運営サポートを実施。至誠館大学からは学生指導者を派遣する仕組みを構築。
- 体験会で新種目を開拓: ボッチャ、ソフトテニス、カヌーなど学校部活動にない種目の体験会を開催し、生徒の選択肢を拡大。
- 少子化対応の数値で危機感を共有: 中学校生徒数がR6の906人からR12までに27%減少する見込みを推進会議で可視化し、関係者の合意形成を加速。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 教職員の兼職兼業希望者が少ない(340名中83%が「協力できない」と回答) | 退職教員・大学生・公認スポーツ指導者を含む幅広い人材を絆スポーツクラブ萩の人材バンクに登録。指導者育成研修会を令和6年10月から開催 |
| 少子化により団体競技でのチーム編成が困難 | 13校で各校単独成立が難しい競技は地域クラブで集約。陸上・ソフトボール・軟式野球から段階移行を開始 |
| 広域(698.9 km²)で離島・島嶼部も含むため移動手段が確立できていない | 令和7年2月にICT(オンライン指導)の実証を実施し、移動困難地域への活動機会を補完 |
| 指導者の高齢化・スポーツ人材の減少 | 青山学院大学陸上部および至誠館大学との連携で学生指導者を派遣。萩市部活動改革推進会議で計画的に人材を確保 |
成果・効果
令和6年度は陸上競技部・ソフトボール部について休日の学校部活動を完全に地域移行し、軟式野球クラブも新設しました。萩市部活動改革推進会議は令和6年7月に第8回、令和7年1月に第9回を開催しており、保護者説明会(令和6年12月)、地域移行に関するアンケートを小学校5・6年生、中学校1・2年生、学校教職員を対象に実施。アンケート結果を踏まえ令和7年9月以降にすべての学校部活動について平日活動を「行わない」体制への移行を計画通り進めています。
出典
→ 原文: 萩市ホームページ「部活動地域クラブ移行の情報」
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業 山口県萩市」
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
萩市の事例で注目すべきは、教育委員会内に「部活動改革推進室」を独立した部署として設置した点です。学校教育課・スポーツ振興課・文化・生涯学習課が並列する複数部署横断型の課題に対し、推進室を結節点に位置付けることで、各種団体との協議調整を一元化しています。
また、既存の総合型地域スポーツクラブ「絆スポーツクラブ萩」を運営サポート団体として正式に位置付けたことで、人材バンク機能・活動場所調整・安全管理・体験会開催までを単一窓口で集約。クラブ側にも一定の経済合理性が生まれる仕組みです。さらに青山学院大学陸上部・至誠館大学との連携で学生指導者の派遣ルートを確立し、教職員兼職兼業の協力率83%「困難」というハードルを補完しているのも特徴です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
広域自治体(698.9 km²)・離島島嶼部を抱える地域では、移動手段の確保が最大の壁となります。萩市はICTを活用したオンライン指導の実証を令和7年2月に組み込むことで、移動困難地域でも地域クラブへの参加機会を担保する設計を進めています。同様の地理条件を持つ自治体は、ICT併用型のクラブ運営を初期から計画に組み込むことが有効です。また、既存の総合型クラブが存在する自治体では、新団体を立ち上げるのではなく、既存クラブを運営サポート団体として再定義する形が、立ち上げ期の事務負荷を大きく軽減できます。
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