トップ 事例を探す 山口県 【事例】山口県防府市の部活動地域展開 ─ 42クラブ全市横断・公認指導者制度3補助で文化芸術も含めた地域クラブ網を構築
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 山口県

【事例】山口県防府市の部活動地域展開 ─ 42クラブ全市横断・公認指導者制度3補助で文化芸術も含めた地域クラブ網を構築

公開:2026.05.12 更新:2026.05.12
この記事でわかること

・防府市が稼働させた42地域クラブ(スポーツ27+文化芸術15)の構成と運営主体
・「市内全域募集」を全クラブ共通とした地域クラブ網のメリットと運用設計
・移動・指導者資格・大会参加の3つの補助金で生徒・指導者双方を支援する仕組み

自治体名 山口県防府市
人口規模 約11.4万人(2024年時点)
中学校数 市立中学校7校
運営形態 市区町村運営型(学校教育課内「地域クラブ管理事務局」設置)+NPO法人・地域指導者・教職員兼職兼業の混合
対象競技 スポーツ27クラブ(剣道・柔道・軟式野球・サッカー・フットサル・ソフトボール・バレー・バドミントン・バスケ・ソフトテニス・卓球・陸上・タグラグビー・ドッジボール)+文化芸術15クラブ(吹奏楽・美術・科学・華道・家庭科・文学)
保護者負担額 月額1,000〜6,000円が中心(種目別)/入会金1,000〜6,000円別途

取り組みの概要

防府市は「地域の子どもたちは、学校を含めた地域で育てる」を理念に掲げ、学校教育課内に「地域クラブ管理事務局」を設置して市全体の地域クラブ活動を統括しています。令和8年2月時点でスポーツ27クラブ・文化芸術15クラブ、計42の地域クラブが稼働しており、全クラブが「市内全域中学生」を募集対象とすることで、特定校に縛られない選択肢を全生徒に提供しています。令和7年2月には全中学校で地域移行説明会を実施、令和7年度も部活動改革推進協議会を継続して合意形成を進めています。

特徴的な取り組み

  • 全市横断型の42クラブ網: 「市内全域中学生」を全クラブの基本募集範囲とすることで、所属校に関係なく希望種目を選べる構造。タグラグビー・ドッジボール・デジタルクリエイター・図書館クラブなど、従来の学校部活動にない種目も整備
  • 防府市公認指導者制度+3つの補助金: ①地域クラブ活動への移動経費補助、②公認指導者資格取得経費補助、③競技会等参加補助の三本立てで、指導者の質確保と生徒の経済負担軽減を同時実現
  • 多様な運営主体のミックス: NPO法人「総合型スポーツクラブ防府」(バレー2・バドミントン1の計3クラブ運営)/地域指導者単独運営/教職員兼職兼業/地域指導者+教職員のハイブリッドの4パターンを併用し、種目特性に応じて選択

課題と解決策

課題 解決策
小規模校での種目数確保が困難 全クラブを「市内全域募集」にすることで、所属校に種目がなくても希望種目に参加可能な構造を整備
指導者の質保証 「防府市公認指導者制度」を設け、資格取得経費を市が補助。地域指導者の専門性を担保
生徒の移動負担 「地域クラブ活動への移動経費補助金」で経済的支援。クラブが拠点中学校を持つ仕組みと併用
大会参加機会の確保 「競技会等参加経費補助金」で遠征費を一部支援。NPO・スポーツ団体に登録した正規クラブとしての参加を可能に
文化系部活動の受け皿 美術4・吹奏楽3・科学2・華道3・家庭科2・文学1の計15クラブを文化芸術系として独立整備

成果・効果

令和8年2月現在で稼働中の地域クラブは42(スポーツ27+文化芸術15)に達し、令和8年4月から新規稼働するクラブも複数控えています(フットサルF.C.Tiempo・バスケLiberty Raiders右田・陸上潮アスレティック・タグラグビーPIONERO・ドッジボールH.D.Cなど)。スポーツ・文化の両分野で従来の学校部活動を上回るバリエーションを地域クラブとして提供することで、生徒の選択肢が拡大しています。

出典

→ 原文: 防府市地域クラブ活動(防府市公式)

→ 原文: 防府市の地域クラブ一覧(スポーツ)令和8年2月現在

→ 原文: 防府市の地域クラブ一覧(文化芸術)令和8年2月現在

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

防府市の構造で特筆すべきは、42のすべての地域クラブが「市内全域中学生」を募集対象にしている設計です。多くの自治体は「拠点校+近隣校」というエリア区分で組み立てがちですが、防府市は最初から「市域全体プール」で動かしているため、所属校にない種目を選びたい生徒の機会が制限されません。これは学校部活動の枠を引きずらず、地域クラブ本来の柔軟性を最大化した好例です。

補助制度の3本立て(移動・指導者資格・大会参加)も実務的に重要です。地域移行で生徒に課されがちな3つの追加負担——移動・指導の質低下・大会参加の不安——をそれぞれ独立した補助金で潰している構造で、コスト面の心理的ハードルを下げています。特に「指導者資格取得経費補助」を生徒側ではなく指導者側に投じている点は、長期的なクラブ品質向上に効く設計です。

運営主体のミックス(NPO・地域指導者・教職員兼職兼業・ハイブリッド)も注目ポイント。NPO法人「総合型スポーツクラブ防府」が3クラブを束ねる一方、剣道・美術などは個人指導者主導で柔軟運営という棲み分けで、種目特性に応じた最適な運営主体を選んでいます。タグラグビー・ドッジボール・デジタルクリエイター・図書館クラブといった、従来部活動にない種目を地域クラブで整備している点は、地域移行を「縮小」ではなく「拡張」にしている好例です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

「市内全域募集」を採用すると、最初の段階で「特定クラブに人気が集中」「移動が大変」という懸念が必ず出ます。防府市方式は移動費補助で経済面を解消し、複数拠点を持つクラブ(バレーボール「SCH牟礼」のように牟礼中学校+勝間小学校など)を許容することで物理的なアクセス制限も緩和しています。導入時は①移動費補助の予算枠確保②複数拠点許容のルール整備③公認指導者制度の運用フロー設計の3点を先に決めると立ち上げがスムーズです。文化芸術系を含めることで地域全体の生涯学習基盤と連動できる点も、自治体内の他部署との連携を進めやすい設計です。

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