【事例】長野県南佐久郡の部活動地域展開 ─ 6町村が連携する広域クラブ運営モデル
・6町村が共同運営委員会を設置し、4校の生徒が同一チームで活動できる広域クラブ環境を構築した
・JR乗車補助と練習時間の時刻調整により、最大30kmの移動問題に実費支援で対応した
・保護者アンケートで月3,000円程度の許容額を確認したうえで、令和9年度からの段階的有料化を検討している
| 自治体名 | 長野県南佐久郡(佐久穂町・小海町・南相木村・北相木村・南牧村・川上村) |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.2万人(6町村合計・令和6年度時点) |
| 中学校数 | 公立4校(川上中・南牧中・小海中・佐久穂中)+私立1校(大日向中) |
| 運営形態 | 南佐久郡中学校部活動運営委員会(6町村教育長・事務局・4中学校長で構成) |
| 対象競技 | サッカー、卓球、男女バレーボール、陸上、柔道、男女バスケットボール(計8種目) |
| 保護者負担額 | 令和6年度まで実質無料(保険料のみ)。令和7年度から保険料を保護者負担。令和9年度から月参加費の導入を検討中 |
取り組みの概要
長野県東部の南佐久郡は、佐久穂町・小海町・南相木村・北相木村・南牧村・川上村の6町村からなる山間地域です。急速に進む少子化を背景に、令和2年7月の研修会で部員わずか3人のバレーボール部の姿を目の当たりにした教育委員・校長が危機感を共有し、6町村連携による地域クラブ活動への移行を検討し始めました。令和4年度から合同の地域クラブ活動を試行し、令和5年度に「南佐久郡中学校部活動運営委員会」を正式設立。各町村が負担金を拠出して共同運営体制を整備し、令和6年度は8種目・生徒172名・指導者30名(教員22名・地域指導者8名)で活動しています。
特徴的な取り組み
- 6町村共同の財政モデル: 各町村が負担金を拠出し合い、指導者への謝金・旅費・保険料・運営事務費・JR小海線乗車補助などに充当しています。令和5年度の予算規模は約370万円でしたが、令和6年度は1,000万円超、令和9年度には2,000万円超の見込みです。
- 総括コーディネーターによる一元管理: 佐久穂町教育委員会内に総括コーディネーター(兼務)を設置し、各地域クラブ活動の運営・謝金支払い・保険手続き・連絡体制整備・学校との調整を一手に担います。
- JR利用補助による移動支援: 地域内の距離は最大30km(所要時間約45分)に及ぶため、練習時間をJRの時刻に合わせ、乗車料金の補助を実施しています。令和6年度は70%近くの生徒が利用し、補助額は約64万円でした。
- 平日の合同活動の試験実施: 令和6年度から平日の合同活動を年5回試験的に実施。活動当日は5時間授業として移動時間を確保しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 少子化で学校単独での部活動継続が困難(部員3人の部活が存在) | 6町村広域連携による合同地域クラブ活動を設立し、複数校の生徒が同一チームで活動できる環境を整備 |
| 参加者の移動負担(最大30kmの距離) | JR乗車料金補助(令和6年度約64万円)と町村保有バス・借り上げバスの活用 |
| 複数自治体をまたぐ事務負担と合意形成 | 総括コーディネーターを設置して運営業務を一元化。6町村教育長・中学校長が参加する運営委員会で継続的に合意形成 |
| 持続可能な財源の確保 | 令和9年度から月参加費の段階的導入を検討。保護者アンケートで月3,000円程度が許容範囲との回答が多数 |
成果・効果
南牧中学校では、生徒数が年々減少する中でも地域クラブ活動への加入率が令和4年度72%から令和6年度85%、令和7年度には90%へ上昇しました。選択可能な種目数も7種目から12種目に拡大し、「やりたいスポーツができる」環境の整備が参加率向上に直結しています。また、バスケットボール部がなかった学校の生徒が「南佐久スチーム」として大会に出場し予選リーグを突破するなど、広域連携ならではの成果も生まれています。
出典
→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集 pp.11-16(スポーツ庁、令和7年)
CONSULTING / 専門家に相談
受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?
設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。