トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県城里町の部活動地域展開 ─ 町スポーツ協会への業務委託で6クラブを時差スタート・導入費3万4千円のICTで連絡運営を効率化
全種目 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県城里町の部活動地域展開 ─ 町スポーツ協会への業務委託で6クラブを時差スタート・導入費3万4千円のICTで連絡運営を効率化

公開:2026.08.23 更新:2026.08.23
この記事でわかること

・町からの業務委託で城里町スポーツ協会が6クラブを運営する中間型スキームの作り方
・スポ少16人+協会加盟団体9人を核とした指導者30人の確保経路と時差スタートの進め方
・導入費3万4千円のICTによる連絡・出欠・会場調整の効率化と残るコーディネーター育成課題

自治体名 茨城県城里町
人口規模 約1.8万人(令和6年度成果報告書時点:17,911人)
中学校数 2校(常北中270人・桂中81人、全生徒351人・15部活動)
運営形態 スポーツ協会運営(町からの業務委託により城里町スポーツ協会が運営主体。事務局は町教育委員会生涯学習グループ)
対象競技 サッカー、女子バスケットボール、男子バスケットボール、男子ソフトテニス、女子ソフトテニス、剣道
保護者負担額 令和6年度は全種目無料(別途スポーツ安全保険:生徒1人あたり年額800円)

取り組みの概要

城里町は令和4年3月に「城里町地域クラブ活動推進協議会」の枠組みを策定し、令和5年度から令和7年度までの3年間を改革推進期間と定めて、地域移行可能な休日の部活動から段階的な移行を進めています。運営主体は町からの業務委託を受けた城里町スポーツ協会で、スポーツ庁「地域スポーツクラブ活動体制整備事業」(茨城県実証事業)を活用した令和6年度は、4月のサッカーを皮切りに、10月に女子・男子バスケットボール、11月に男女ソフトテニス、令和7年2月に剣道と、指導体制が整った種目から順に6つの地域クラブ(9部活動分)を時差スタートさせました。生徒351人の町で2校の垣根を越えた合同の受け皿を作り、令和6年度の参加費は全種目無料としています。

特徴的な取り組み

  • 町業務委託によるスポーツ協会運営: 行政直営でも任意団体でもなく、町がスポーツ協会に業務を委託する方式。協会が運営体制の整備・地域クラブ活動の実施・指導者謝金の支払い・保険加入・連絡体制までを一括して担い、教育委員会は生涯学習グループ(事務局・主幹)と学校教育グループ(教員との調整)が支える構造です。
  • 総括コーディネーターとの打合せで指導者30人を確保: 地域のスポーツ少年団と町スポーツ協会加盟団体の代表(総括コーディネーター)との打合せを起点に、スポーツ少年団指導者16人・スポーツ協会加盟団体指導者9人を中心とした計30人の指導体制を構築。兼職兼業教員やその他の地域指導者も加わっています。
  • 導入費用3万4千円のICT活用: 参加者管理、参加者・指導者への連絡、会場の確保・調整にICTを活用。連絡・スケジュール・出欠などの情報共有が手軽に行えるようになり、指導者や保護者からも「便利な機能」との声が上がりました。
  • 地域の実情を加味した独自スケジュール: 町スポーツ協会指導者・スポーツ少年団指導者・学校顧問の教員と連携し、地域の実情を加味した独自のスケジュールを策定。各クラブ指導者意見交換会(令和6年6月〜)と各クラブ保護者説明会(同7月〜)で協議を重ねてから始動しました。
  • コーディネーターの実働: 学校・参加者・指導者への連絡調整、保護者説明会への出席と質問対応、地域クラブ活動の課題のヒアリング・助言を実施しています。

課題と解決策

課題 解決策
地域移行を進めるうえで質・量ともに十分な指導者の確保が大きな課題 スポーツ少年団・スポーツ協会加盟団体の代表との打合せを通じて計30人を確保し、指導体制が整った種目から時差スタートで順次クラブ化
連絡・出欠・会場調整など運営事務の負担 導入費用3万4千円のICTツールで参加者管理・連絡・スケジュール共有を効率化
コーディネート業務を担う人材の不足 コーディネート業務を担う人材の発掘・育成、資質向上を図る方策の検討を今後の方針として明記

成果・効果

令和6年度に6クラブが始動し、サッカー33人(1年12人・2年17人・3年4人)、女子バスケットボール14人、男子バスケットボール15人、男子ソフトテニス11人、女子ソフトテニス26人、剣道10人が参加しました。城里町地域クラブ活動推進協議会を開催してさまざまな機関・関係者が連携協力しながら取り組みを実施し、町スポーツ協会指導者・スポーツ少年団指導者・学校顧問の教員と連携した協議を重ねて地域クラブ活動を始動できたことが成果として報告されています。大会には中体連大会は部活動として、その他の大会には地域クラブとして参加。活動場所は常北中・桂中・常北公民館体育室・常北運動公園テニスコートなど町内施設を横断的に活用しています。

出典

→ 原文: 令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書(茨城県城里町)(茨城県教育委員会掲載・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

城里町の運営スキームは、行政直営と民間委託の中間にある「町スポーツ協会への業務委託」の典型例として参考になります。教育委員会が直営すると事務負荷が行政に集中し、任意団体に委ねると統制が弱くなりがちですが、町内の競技団体を束ねるスポーツ協会に委託することで、指導者の供給源(スポ少16人・加盟団体9人)と運営責任を同じ組織に持たせることに成功しています。もう一つの見どころは時差スタートです。6クラブを一斉開始せず、指導体制が整った種目から4月・10月・11月・翌2月と順次始動させたことで、立ち上げ初期の運営リソースを分散させず、各クラブの開始時に協議(意見交換会・保護者説明会)を挟む余裕を確保しました。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

スポーツ協会委託方式の前提は、協会自体に事務局機能があることです。会長・理事が全員ボランティアで事務局が実質不在の協会も多く、その場合は城里町のように町が業務委託費を付け、謝金支払いや保険加入などの事務を担える体制をまず作る必要があります。委託後も「コーディネート業務を担う人材の発掘・育成」が課題として残ると町自身が明記しており、協会内の特定個人への依存は避けるべきです。また、導入費用3万4千円のICT活用は費用対効果の高い先行投資の好例で、連絡・出欠管理は最初に仕組み化しておくと後の種目拡大が楽になります。生徒81人の桂中では野球がすでに拠点校方式であるように、規模差のある2校を抱える町では、クラブ化と拠点校方式の併用も現実的な選択肢です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和4年度の協議会枠組み策定から3年間の改革推進期間を設定し、意見交換会・保護者説明会・推進協議会(年2回)を重ねる合意形成の設計は計画的です。運営主体(スポーツ協会)・事務局主幹(生涯学習グループ)・学校調整(学校教育グループ)・予算措置(財務課)の四者分担も明文化されており、責任の所在が追いやすい構造です。持続可能性の面では、令和6年度全種目無料という設定が実証財源に支えられている点と、指導者30人のうちスポーツ少年団への依存度が高い点が留意事項で、スポ少指導者の高齢化が進んだ場合の担い手の細りに備え、兼職兼業教員やその他地域指導者の比率を高めていけるかが中期的な焦点になります。

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