【事例】静岡県裾野市の部活動地域展開 ─ 令和7年1月設立のNPO法人アクティブすそのが受け皿に、陸上・卓球を先行し野球・サッカーは市で1チーム化、休日は令和9年夏・平日は令和13年夏の展開へ
・令和7年1月にNPO法人アクティブすそのを設立し、指導者・保険・施設の管理を集約した裾野市の中間支援モデル
・陸上・卓球を年会費12,000円で先行させ、野球・サッカーは合同練習会を経て市で1チーム化した種目別の道筋
・市長戦略への位置づけによる財源確保と、送迎負担・体験格差・責任の所在という今後の課題
| 自治体名 | 静岡県裾野市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約4.8万人(48,273人・令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校5校(生徒約1,300人・運動部47部) |
| 運営形態 | NPO法人(令和7年1月設立の「NPO法人アクティブすその」が地域クラブ活動の運営を担う中核パートナー。総括コーディネーターを配置し、指導者の手配・報酬管理・保険加入・保護者対応・施設利用の調整を担当)。地域クラブは競技団体(裾野陸上クラブ〈STFC〉・山中卓球クラブ)が運営。教育委員会の学校教育課・生涯学習課と首長部局の産業観光スポーツ課が所管 |
| 対象競技 | 陸上競技、卓球(地域クラブ)。ほかに女子ソフトテニス、男子バレーボール、サッカー、野球で休日の地域展開を実証 |
| 保護者負担額 | 裾野陸上クラブ・山中卓球クラブとも年12,000円。スポーツ安全保険は生徒1人あたり800円/年 |
取り組みの概要
裾野市では人口減少に伴い、軟式野球部は各校単独でチームを組めず市で1チームの合同チームとして活動し、サッカー部も市で1チームとする方向で動いてきました。市は令和7年1月にNPO法人アクティブすそのを立ち上げ、地域クラブの受け皿を強化しながら、生徒・保護者のニーズに沿って学校や行政を含めた全体をコーディネートする体制を作りました。部活動コーディネーター2人と行政で休日の地域展開を進め、陸上競技は先行して令和7年夏以降に休日の部活動を地域クラブへ展開しています。市は令和9年度夏以降に休日の部活動を、令和13年度夏以降に平日の部活動を地域クラブへ展開する計画です。令和8年度から学校部活動が16時30分までとなり、平日にもっと活動したいという声が多いことから、サッカー・野球・陸上では平日の地域クラブ活動も試行しています。
特徴的な取り組み
- 中間支援のNPO法人を先に作る: 行政(教育委員会)・中間支援組織(NPO法人)・学校・地域団体の役割を分け、NPO法人アクティブすそのが地域クラブ活動の実際の運営を担います。総括コーディネーターを運営団体に置いたことで関係団体との連絡調整が円滑になり、地域クラブが使う学校施設と公共施設の利用もNPO法人が管理しています。既に地域学校協働本部で活躍しているコーディネーターも活用しました。
- 陸上と卓球をモデルにした「準備が整った種目から順次」の展開: 全種目を一斉に移すのではなく、陸上競技などを成功モデルにして他の種目へ広げるロードマップとしています。裾野陸上クラブ(STFC)は大学教授を含む指導者で裾野市陸上競技場を拠点に月4回、山中卓球クラブは10年以上続く活動で裾野南小学校の体育館を休日午後に使い月4回活動し、どちらも兼職兼業の教職員が1名ずつ参加しています。卓球には小学生・高校生・地域住民も参加しています。
- 合同練習会から市1チームへ: 女子ソフトテニス・サッカー・野球で市内全中学校の部員が集まる合同練習会を重ね、サッカーと野球は市で1チームを組織して休日と平日の地域クラブ活動に向けた取組を始めました。
- 市長戦略に位置づけて財源を確保: 行政と将来を見通した話し合いを持ち、部活動の地域展開を市長戦略の1つに位置づけたことで、コーディネーター謝金・地域クラブ指導者謝金・地域クラブへの補助について一定期間の援助を得ました。
- アプリと広報で運営を効率化: 練習計画の連絡・出欠管理・集金に使うアプリを導入し、複数の学校にまたがるクラブでも対応できるようにしました。令和7年11月にはホームページを開設し、市の広報誌とNPO法人のホームページでの発信を通じていくつかの地域クラブが誕生しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 活動拠点が遠くなり、保護者の送迎負担と移動の安全確保が問題になる | 自転車・オンデマンドタクシー等の活用など、既存の公共交通機関や地域タクシーと連携した保護者以外の送迎手段を検討 |
| 教員のボランティア的指導で抑えられていた費用が謝金・施設利用料・保険料の実費に変わり、家庭の負担が増え「体験格差」につながる | 保護者アンケート(月1,000〜2,999円が53.2%)を参考にクラブごとに参加費を設定。完全移行までは市・国・県の予算で負担が過度にならないよう配慮し、低所得世帯の軽減措置、寄付金・ふるさと納税・企業スポンサーの活用を検討 |
| 指導者に求められる負担・リスクが報酬に比べて重く、指導だけで生計を立てるのは難しい | 指導者の給与水準や事故時の保険など責任範囲を整理し、相談窓口と研修会を整備。受益者負担と市補助金のバランスを段階的に適正化する |
| 行政・NPO法人・学校・地域団体の間で事故対応・クレーム処理・予算執行の責任の所在が曖昧になる | どの組織が主導して解決するかの手順書(プロトコル)を策定・共有する。学校施設は管理責任者を明確にし、学校・地域クラブ・市で構成する運営委員会で施錠管理や使用ルールを定める |
成果・効果
陸上に参加した中学生・保護者・スタッフ18人へのアンケートでは66.7%が「とても満足」、33.3%が「満足」と回答し、保護者から「色々な人たちと一緒に練習できることがいい」「レベルの高い練習に参加できて子供たちにとって、とても良い刺激になった」という声がありました。卓球では小学生・中学生・地域住民・保護者30人のうち90%が「とても満足」、10%が「満足」と答え、「学校の部活動だけではできない、様々な人との交流がある」という感想が寄せられています。生徒からは「学校では、練習が少ないのですごくいい環境」「タイムがすごく伸びました。他校の人たちとも交流ができとても楽しかった」という声も記録されています。令和7年7月に小学5年生〜中学2年生とその保護者に行ったアンケートで、部活動にないバドミントンをやってみたいという意見があったため体験会を開き、満足度は91.7%でした。両クラブとも施設使用料の減免が適用され参加費の軽減につながったほか、卓球は地域の小学校体育館を確保できたことで送迎負担も抑えられました。次年度からは各中学校の部活動の曜日を市で統一し、平日の部活動の時間も一定量確保できるようになりました。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 静岡県裾野市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 静岡県裾野市」(報告書検索システム)
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