トップ 事例を探す 長野県 【事例】長野県長野市の部活動地域展開 ─ スポーツ人材バンクと企業連携で中山間地の格差を克服
全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 長野県

【事例】長野県長野市の部活動地域展開 ─ スポーツ人材バンクと企業連携で中山間地の格差を克服

公開:2026.04.05 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・学校教育課・スポーツ課・文化芸術課の3部署横断体制で運動・文化両部活動を一体的に推進
・スポーツ人材バンクと民間送迎支援の組み合わせにより、中山間地域の指導者確保と交通課題を同時解決
・近畿日本ツーリストとの事務局一括代行モデルで、指導者が本来の指導業務に専念できる体制を実現

自治体名 長野県長野市
人口規模 約37万人(2024年時点)
中学校数 23校(市立)
運営形態 行政多部署協働+既存スポーツ団体・民間企業連携
対象競技 運動部・文化部全般(演劇、合唱、吹奏楽、スキーを含む)
保護者負担額 調査時点で未公表(近畿日本ツーリスト連携事業では電子クーポン1万円を配布)

取り組みの概要

長野市は長野県の県庁所在地でありながら、市域に中山間地域(戸隠・鬼無里・大岡・信州新町地区など)を多く抱え、都市部と山間部の活動環境格差が深刻な課題となっています。この課題に対応するため、市は学校教育課・スポーツ課・文化芸術課の3部署が連携した横断的な推進体制を構築し、2023年度(令和5年度)から運動部活動の地域クラブへの段階的移行を開始しました。文化部活動についても2024年度(令和6年度)から並行して推進しており、2028年度までに全面的な地域移行を目指しています。市内に150以上のスポーツクラブ・団体を登録した「受け皿マップ」を整備し、生徒・保護者が参加先を選択できる環境を構築しています。

特徴的な取り組み

  • ながのスポーツ人材バンク: 日本スポーツ協会公認の指導者と地域クラブをマッチングする独自システム「ながのスポーツ人材バンク」を整備しました。資格保有者の指導機会創出と、クラブ側の人材不足解消を同時に図る仕組みで、山間部を含む市内全域の指導者確保に活用されています。
  • 企業連携による送迎・ICT支援: 民間企業アムール社と連携した生徒の送迎支援のほか、近畿日本ツーリスト(KNT)との協定により、指導者・活動場所の調整・保護者連絡・集金・保険対応といった事務局業務を民間が一括代行するモデルを導入しています。さらに2025年10月からはICTを活用したオンラインクラブ活動(リモート指導)のトライアル事業を開始しました。
  • 地域特性を活かした独自種目: 長野市の雪国特性を活かし、戸隠スキー学校と連携したスキー滑走クラブを設置しています。全国的に見ても珍しいスキー競技の地域クラブ化事例であり、地域資源を部活動の後継として活用する取り組みです。

課題と解決策

課題 解決策
中山間地域での指導者確保が困難(人口減少・過疎化が深刻) スポーツ人材バンクによるマッチングと、KNTとのICT活用オンライン指導により物理的距離の制約を克服
山間地域と市街地間の移動手段がなく生徒の参加機会が失われるリスク アムール社と連携した送迎支援事業を導入し、交通弱者となりやすい生徒の活動継続を保障
運動部・文化部・行政担当課がそれぞれ分断されていた縦割り構造 学校教育課・スポーツ課・文化芸術課が3部署横断で協働する推進体制を構築し、情報共有と施策の一体的推進を実現

成果・効果

2024年3月時点で市内150以上のスポーツクラブ・団体が受け皿として登録されており、生徒が活動先を選択できる環境が整いつつあります。ICTを活用したオンラインクラブ活動トライアルでは、中山間地域の生徒が市街地の専門指導者からリモートで指導を受けることが可能となり、都市部・山間部間の活動格差縮小に向けた実績が蓄積されています。近畿日本ツーリストの事務局代行モデルにより、関係者が事務作業でなく指導そのものに専念できる環境が整いつつあると報告されています。

出典

→ 原文: 部活動の地域移行 | 長野市公式ホームページ

→ 参考: 長野県×近畿日本ツーリスト ICTを活用した地域でのオンラインクラブ活動トライアル事業を開始 | 近畿日本ツーリスト株式会社

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

長野市は市域に戸隠・鬼無里・大岡・信州新町などの中山間地域を多く抱え、都市部と山間部の活動環境格差が深刻な課題となっていた。この課題に対応するため、学校教育課・スポーツ課・文化芸術課の3部署が横断的な推進体制を構築し、2023年度から運動部活動の段階的な地域クラブへの移行を開始した。文化部活動も2024年度から並行推進しており、2028年度までの全面的な地域移行を目指している。市内150以上のスポーツクラブ・団体を「受け皿マップ」に登録し、生徒・保護者が参加先を選択できる環境を整備している。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、日本スポーツ協会公認の指導者と地域クラブをマッチングする「ながのスポーツ人材バンク」を独自に整備し、山間部を含む市内全域での指導者確保に活用している。民間企業アムール社との連携による送迎支援、および近畿日本ツーリストとの協定による事務局業務の民間一括代行モデルの導入も特徴的だ。さらに2025年10月からはICTを活用したオンラインクラブ活動のトライアル事業を開始しており、長野市の雪国特性を活かした戸隠スキー学校との連携によるスキー滑走クラブの設置は、地域資源を部活動の後継として活用する全国的にも珍しい事例となっている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

2024年3月時点で150以上のスポーツクラブ・団体が受け皿として登録されており、生徒の活動先選択肢が整いつつある。ICTを活用したオンラインクラブ活動のトライアルにより、中山間地域の生徒が市街地の専門指導者からリモート指導を受けることが可能となり、都市部と山間部の活動格差縮小に向けた実績が蓄積されている。近畿日本ツーリストの事務局代行モデルにより、関係者が指導そのものに専念できる環境が整いつつあることも報告されている。

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