トップ 事例を探す 島根県 【事例】島根県雲南市の部活動地域展開 ─ 合同部活動を前段階に・80名の指導者人材バンクで段階移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 島根県

【事例】島根県雲南市の部活動地域展開 ─ 合同部活動を前段階に・80名の指導者人材バンクで段階移行

公開:2026.04.29 更新:2026.05.02
この記事でわかること

・合同部活動を「前段階」に活用し、生徒・保護者・教員が地域指導者の指導に段階的に慣れる期間を確保する二段階移行モデルを採用
・設立前にスポーツ少年団・体育協会・総合型地域スポーツクラブへの事前合意形成を経て、約80名が登録する指導者バンクを設立
・市内全校の合同部活動で10種目を一体提供し、学校規模による部活選択格差を解消している

自治体名 島根県雲南市
人口規模 約35,000人(令和5年時点)
中学校数 7校(生徒数875人・部活30部活)
運営形態 合同部活動を前段階に活用・段階的地域移行(㈱キラキラ雲南が業務委託先)
対象競技 10種目(バレーボール・剣道など全運動部30部活対象)
保護者負担額 不明(調査時点で未公表)

取り組みの概要

島根県雲南市は令和4年度にスポーツ庁の実証事業を受託し、合同部活動の実施を通じた段階的な地域移行を進めています。市内7校の中学校が抱える30部活動の全種目で合同部活動を実施し、生徒・学校・地域の指導者の3者が合同部活動を通じて「地域の指導者による指導に慣れ親しむ」段階を経てから、本格的な地域移行へと移行する手順を採用しています。令和5年2月には「雲南市指導者バンク」を設立し、スポーツ少年団やスポーツ協会への事前説明・協力依頼の結果、約80名の指導者が登録されています。

特徴的な取り組み

  • 合同部活動を地域移行の「前段階」として位置づけ: いきなり地域クラブ活動へ移行するのではなく、全市内中学校の全運動部で合同部活動を実施し、生徒・保護者・教員が地域指導者の指導に段階的に慣れ親しめる環境を整備。令和4年度から10種目に拡大しています。
  • 約80名の独自指導者人材バンク: 令和5年2月に設立した「雲南市指導者バンク」にスポーツ少年団・スポーツ協会・総合型地域スポーツクラブの指導者約80名が登録。各スポーツ少年団・市体育協会・総合型地域スポーツクラブとの事前説明・協力体制を整えた上で設立しました。
  • 小学生から高校生まで対象にしたスポーツ機会の整備: 中学生年代だけでなく、小学生年代から高校生年代も含めた地域全体のスポーツ機会を整備することを重視。活動内容はスポーツ少年団や高校の部活動の種目と整合が取れるように設定しています。
  • 学校関係者との合意形成を丁寧に実施: 地域連携・地域移行の取り組みでは学校関係者の協力が特に重要と判断し、校長会での説明だけでなく、校長が各中学校の職員会議で使用できる説明資料を教育委員会にて作成するなど、現場教員への丁寧な説明を実施。

課題と解決策

課題 解決策
中学校の規模により選択できる部活動の種類に差がある 市内全校が参加する合同部活動で10種目を一体提供し、規模格差を解消
関係者が市の部活動改革の方針を共通認識して地域移行を進めるためのガイドラインが必要 市独自のガイドライン策定に向けて、検討・運営会議を複数回実施(令和5年6月・令和6年2月)
合同部活動の運営事務の効率化(連絡・出欠対応・謝金支払い等の事務量が多い) バックオフィス機能の効率化を図るためICTツールの活用を検討中

成果・効果

令和4年度から令和5年度にかけて、市内全7校の中学校が参加する合同部活動を実施。令和5年度は10種目・30部活動で展開し、1か月あたり平均1回の活動で1回あたり約17人が参加しています。指導者謝金は時給1,000円で、活動場所は社会体育施設および学校施設を活用しています。指導者説明会・懇談会も令和5年6月・8月・令和6年1月に実施し、関係者間の合意形成を丁寧に積み上げることで、地域クラブ活動への本格移行に向けた土台を構築しています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和5年度 運動部活動の地域移行に関する実証事業 事例集」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

雲南市は令和4年度にスポーツ庁の実証事業を受託し、「合同部活動を地域移行の前段階として位置づける」設計思想のもと、段階的な地域移行を進めている。市内7校すべての中学校で全運動部30部活を対象に合同部活動を実施し、生徒・学校・地域指導者の3者が合同部活動を通じて地域の指導者による指導に段階的に慣れ親しむ期間を確保してから、本格的な地域クラブ活動へ移行する手順を採用している。令和4年度から10種目に拡大され、1か月あたり平均1回・1回あたり約17人が参加する形で継続的に実施されている。学校規模による部活選択格差については、市内全校が参加する合同部活動で10種目を一体提供することで解消を図っており、規模の小さい学校でも多様なスポーツ機会を確保できる仕組みとして機能している。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

令和5年2月に設立された「雲南市指導者バンク」には、スポーツ少年団・スポーツ協会・総合型地域スポーツクラブの指導者約80名が登録されている。この指導者バンクの構築にあたり、雲南市はバンク設立前にスポーツ少年団・市体育協会・総合型地域スポーツクラブへの事前説明と協力依頼を丁寧に実施した。関係団体との合意形成を先行させてからバンクを立ち上げるプロセス設計が、各団体との信頼関係の基盤となっている。学校関係者への理解促進においては、校長会での説明にとどまらず、教育委員会が校長の職員会議用説明資料を作成するという支援体制を整備し、現場教員の説明負担を軽減する工夫が講じられている。指導者説明会・懇談会も令和5年6月・8月・令和6年1月に開催され、関係者間の合意形成を継続的に積み上げている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

この取り組みが抱える主な課題は、合同部活動の運営事務の煩雑さである。連絡・出欠対応・謝金支払いなどの事務量が多く、雲南市ではICTツール活用の検討が進行中の課題として挙がっている。また、地域スポーツクラブとして大会参加するための中体連との調整(登録要件の確認)は、雲南市でも今後の方向性として言及されており、二段階移行モデルを導入する他地域においても共通して直面しうる論点である。事務運営基盤の整備を先行させることが、合同部活動から地域クラブ移行への流れを円滑に機能させる前提条件となる。

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