【事例】長野県茅野市の部活動地域展開 ─ 48クラブ978名加入率71.1%・登録制度3団体先行・令和7年10月「茅野市方針」策定
・茅野市の「検討委員会→協議会→方針策定→登録制度稼働」3段階組織進化モデル
・48クラブ978名・加入率71.1%・34年で半減・3団体登録など具体数値の住民共有
・スポーツ系と文化系で窓口を分けた専門分野別アプローチ
| 自治体名 | 長野県茅野市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約5.4万人(諏訪地方・八ヶ岳山麓) |
| 中学校数 | 市立中学校(運動部37・文化部11の計48クラブ/生徒978名加入=加入率71.1%/令和7年度) |
| 運営形態 | 茅野市部活動地域展開協議会主導/地域クラブ登録制度(令和7年度時点3競技3団体登録+8団体申請中) |
| 対象競技 | 運動部・文化部全般(中学校部活動にない種目・分野もスポーツ及び文化芸術団体一覧で提供) |
| 保護者負担額 | 地域クラブ団体ごとに設定(茅野市方針で継続検討) |
取り組みの概要
長野県茅野市は諏訪地方・八ヶ岳山麓の人口約5.4万人の市です。中学生数は34年で半減という大きな少子化局面にあり、令和7年度時点で市内中学校は運動部37・文化部11の計48クラブで生徒978名(加入率71.1%)が活動しています。市教育委員会は令和5年11月に「茅野市スポーツ部活動地域展開検討委員会」を設置し、令和7年3月に「茅野市部活動地域展開協議会」へ移行。令和7年10月に「茅野市部活動地域展開の方針」を策定し、地域クラブ登録制度を稼働させました。令和8年3月時点で3競技3団体が登録済み・8団体が申請中で、長野県全体の「令和8年度末を目途に休日中学校部活動の地域クラブ展開完了」目標に沿った段階移行を進めています。窓口はスポーツ系=スポーツ健康課、文化・芸術系=生涯学習課に分けて配置しています。
特徴的な取り組み
- 検討委員会→協議会→方針策定の3段階組織進化: 令和5年11月「検討委員会」設置→令和7年3月「協議会」へ移行(より実装色を強める)→令和7年10月「方針」策定・登録制度稼働、という3段階の組織進化で意思決定の重み付けを段階的に上げる設計。
- 48クラブ978名加入率71.1%という現状値の可視化: 運動部37・文化部11の計48クラブと生徒978名の加入率71.1%という数値を市が公表。少子化で34年で半減という危機感を数値で共有し、地域展開の必要性を住民に説明する設計。
- 地域クラブ登録制度+スポーツ・文化芸術団体一覧の併用: 既存団体を「地域クラブ」として認定登録する制度と並行して、「中学生が参加できるスポーツ及び文化芸術団体一覧」を作成・公開。中学校部活動にない種目・分野まで含めて生徒の選択肢を可視化。
- スポーツ系と文化系で窓口を分離: 窓口を「スポーツ健康課(スポーツ系)」「生涯学習課(文化・芸術系)」に分けて配置することで、専門分野ごとの調整を効率化。教育委員会一括ではなく分野別アプローチを採用。
- 登録3団体・申請8団体という見える進捗: 令和8年3月時点で「3競技3団体登録済み・8団体申請中」という進捗を新聞報道等で公表。具体的な数値で進捗の見える化を実装し、住民・関係者の理解を促進。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 中学生数が34年で半減・部活動48クラブの維持困難 | 地域クラブ登録制度で既存団体を活用。中学校部活動にない種目もスポーツ・文化芸術団体一覧で提供 |
| 登録クラブの不足・受け皿不足で生徒の活動機会が確保できない懸念 | 令和8年3月時点で3団体登録+8団体申請中。引き続き登録団体拡大を継続 |
| 体育館等の施設が登録クラブ増加で混雑・「練習やりにくい」生徒の声 | 施設利用調整の継続検討。指導者・施設不足の課題を市・新聞報道等で公開し、改善議論を促進 |
| スポーツ系と文化系で運営要件・関係団体が異なる | 窓口を「スポーツ健康課」「生涯学習課」に分離し、専門分野ごとに調整を効率化 |
| 令和8年度末までに休日完全移行という県目標達成の不確実性 | 令和7年10月方針策定→登録制度稼働→段階拡大という現実的ロードマップで対応 |
成果・効果
茅野市は令和5年11月の検討委員会設置から令和7年10月の方針策定・登録制度稼働まで約2年弱で本格運用段階に到達。令和8年3月時点で3団体登録+8団体申請中という具体的な進捗を公表し、48クラブ978名加入率71.1%という現状値を可視化することで地域展開の必要性を住民に共有しています。「指導者・施設不足」という運用面の課題も新聞報道等で率直に共有しながら、長野県全体の令和8年度末完全移行目標達成に向けた現実的なロードマップを実装しています。
出典
→ 原文: 中学校部活動の地域展開について(茅野市公式)
→ 関連: 茅野市でスポーツ団体関係者に部活動地域移行の説明会 登録済みクラブは3競技3団体(信濃毎日新聞デジタル)
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
茅野市の事例で最も注目すべきは、「検討委員会→協議会→方針策定→登録制度稼働」という3段階の組織進化を時間軸で明確に分けている点です。令和5年11月の「検討委員会」は方向性を議論する場であり、令和7年3月の「協議会」は実装に向けた合意形成の場であり、令和7年10月の「方針策定+登録制度稼働」は実装フェーズです。組織形態を段階的に変えながら、意思決定の重み付けを上げていく設計は、住民・関係団体の参画意識を高めながらスムーズに本格運用へ移行する優れたアプローチです。
もう一つ注目すべきは、「48クラブ978名加入率71.1%」「34年で半減」「3団体登録・8団体申請中」など具体的な数値を住民に公開している点です。多くの自治体は「少子化が進んでいる」「部活動が維持困難」と抽象的に説明しますが、茅野市は数値で危機感と進捗を共有しています。さらに、「指導者・施設不足」という課題も率直に新聞報道で共有しており、行政が完璧に見せかける広報ではなく現実を共有する透明性が、住民の協力を引き出す基盤になっています。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
「3段階組織進化モデル」を再現する際の最大のハードルは、各段階のメンバー構成と所掌範囲の重複・空白です。検討委員会から協議会への移行で、メンバーの大幅入れ替えが起こると検討の連続性が失われますし、メンバーが完全に同一だと組織変更の意味が薄れます。導入を検討する自治体は、「コア委員(継続参画)+ステージ固有委員(実装段階で追加)」というハイブリッド構成を推奨します。また、茅野市の登録制度は3団体登録+8団体申請中という進捗を見せていますが、申請団体が必ずしも認定要件を満たすとは限らないため、審査基準(指導者数・継続性・安全管理体制)の明確化と、申請後の「フォローアップ支援(足りない要件を補う研修・助成)」をセットで設計することが、登録団体拡大の鍵になります。さらに、窓口分離(スポーツ=健康課、文化=生涯学習課)は専門性が高まる一方、生徒側からは「どこに相談すればいいか分かりにくい」という声が出やすいため、教育委員会内に総合窓口を併設することが運用上の重要なポイントです。
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