トップ 事例を探す 長野県 【事例】長野県南佐久郡の部活動地域展開 ─ 6町村が連携する広域クラブ運営モデル
全種目 👥 1~5万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 長野県

【事例】長野県南佐久郡の部活動地域展開 ─ 6町村が連携する広域クラブ運営モデル

公開:2026.04.29 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・6町村が共同運営委員会を設置し、4校の生徒が同一チームで活動できる広域クラブ環境を構築した
・JR乗車補助と練習時間の時刻調整により、最大30kmの移動問題に実費支援で対応した
・保護者アンケートで月3,000円程度の許容額を確認したうえで、令和9年度からの段階的有料化を検討している

自治体名 長野県南佐久郡(佐久穂町・小海町・南相木村・北相木村・南牧村・川上村)
人口規模 約2.2万人(6町村合計・令和6年度時点)
中学校数 公立4校(川上中・南牧中・小海中・佐久穂中)+私立1校(大日向中)
運営形態 南佐久郡中学校部活動運営委員会(6町村教育長・事務局・4中学校長で構成)
対象競技 サッカー、卓球、男女バレーボール、陸上、柔道、男女バスケットボール(計8種目)
保護者負担額 令和6年度まで実質無料(保険料のみ)。令和7年度から保険料を保護者負担。令和9年度から月参加費の導入を検討中

取り組みの概要

長野県東部の南佐久郡は、佐久穂町・小海町・南相木村・北相木村・南牧村・川上村の6町村からなる山間地域です。急速に進む少子化を背景に、令和2年7月の研修会で部員わずか3人のバレーボール部の姿を目の当たりにした教育委員・校長が危機感を共有し、6町村連携による地域クラブ活動への移行を検討し始めました。令和4年度から合同の地域クラブ活動を試行し、令和5年度に「南佐久郡中学校部活動運営委員会」を正式設立。各町村が負担金を拠出して共同運営体制を整備し、令和6年度は8種目・生徒172名・指導者30名(教員22名・地域指導者8名)で活動しています。

特徴的な取り組み

  • 6町村共同の財政モデル: 各町村が負担金を拠出し合い、指導者への謝金・旅費・保険料・運営事務費・JR小海線乗車補助などに充当しています。令和5年度の予算規模は約370万円でしたが、令和6年度は1,000万円超、令和9年度には2,000万円超の見込みです。
  • 総括コーディネーターによる一元管理: 佐久穂町教育委員会内に総括コーディネーター(兼務)を設置し、各地域クラブ活動の運営・謝金支払い・保険手続き・連絡体制整備・学校との調整を一手に担います。
  • JR利用補助による移動支援: 地域内の距離は最大30km(所要時間約45分)に及ぶため、練習時間をJRの時刻に合わせ、乗車料金の補助を実施しています。令和6年度は70%近くの生徒が利用し、補助額は約64万円でした。
  • 平日の合同活動の試験実施: 令和6年度から平日の合同活動を年5回試験的に実施。活動当日は5時間授業として移動時間を確保しています。

課題と解決策

課題 解決策
少子化で学校単独での部活動継続が困難(部員3人の部活が存在) 6町村広域連携による合同地域クラブ活動を設立し、複数校の生徒が同一チームで活動できる環境を整備
参加者の移動負担(最大30kmの距離) JR乗車料金補助(令和6年度約64万円)と町村保有バス・借り上げバスの活用
複数自治体をまたぐ事務負担と合意形成 総括コーディネーターを設置して運営業務を一元化。6町村教育長・中学校長が参加する運営委員会で継続的に合意形成
持続可能な財源の確保 令和9年度から月参加費の段階的導入を検討。保護者アンケートで月3,000円程度が許容範囲との回答が多数

成果・効果

南牧中学校では、生徒数が年々減少する中でも地域クラブ活動への加入率が令和4年度72%から令和6年度85%、令和7年度には90%へ上昇しました。選択可能な種目数も7種目から12種目に拡大し、「やりたいスポーツができる」環境の整備が参加率向上に直結しています。また、バスケットボール部がなかった学校の生徒が「南佐久スチーム」として大会に出場し予選リーグを突破するなど、広域連携ならではの成果も生まれています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)事例集 pp.11-16(スポーツ庁、令和7年)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

南佐久郡では、令和2年の研修会で部員3人のバレーボール部という現状を教育委員・校長が直視したことが出発点となり、6町村連携による地域クラブ活動への移行を検討し始めた。令和4年度の試行を経て令和5年度に運営委員会を正式設立し、令和6年度には8種目・生徒172名・指導者30名が参加する規模に拡大した。南牧中学校では加入率が令和4年度72%から令和7年度90%へ上昇し、選択可能な種目数も7種目から12種目に増えており、広域連携が「やりたいスポーツができる」環境の整備に直結したことが確認できる。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みでは、各町村が負担金を按分拠出する共同財政モデルを採用し、令和5年度の約370万円から令和6年度は1,000万円超へと予算規模が拡大している。財源は指導者への謝金・旅費・保険料のほか、最大30km・約45分の移動を担うJR小海線乗車補助(令和6年度約64万円、生徒の約70%が利用)にも充当される。総括コーディネーターを佐久穂町教育委員会内に兼務で設置し、謝金支払いから保険手続き・学校調整までを一元管理することで、各自治体および各学校の事務負担を集約している。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

少子化が深刻な中山間地域・過疎地域において、南佐久郡の広域連携モデルは再現性の高い選択肢となりうる。「研修会での課題共有→試行→正式設立」という段階的プロセス、兼務コーディネーターによる低コストの立ち上げ、公共交通を活用した移動支援の早期設計は、財政規模が限られた複数自治体が広域連携に踏み出す際の具体的な参考となる。

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