【事例】茨城県行方市の部活動地域展開 ─ 3校合同「なめがたスポーツ・文化クラブ」が年会費1,000円で6種目・部活にないヒップホップダンスも新設
・中学3校663人の行方市が市全域1クラブ・3校合同で6種目の地域クラブを運営する仕組み
・年会費1,000円+教育委員会事務局方式による低コスト運営と年3回の指導者研修の内容
・指導者・コーディネーター確保の課題と、小規模自治体が単一クラブ方式を採る際の留意点
| 自治体名 | 茨城県行方市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約3.2万人(令和6年度成果報告書時点:31,811人) |
| 中学校数 | 3校(全生徒663人) |
| 運営形態 | 行政直営(運営団体「なめがたスポーツ・文化クラブ」・事務局は行方市教育委員会) |
| 対象競技 | サッカー、軟式野球、男子ハンドボール、女子ハンドボール、絵画、ヒップホップダンス |
| 保護者負担額 | 年会費1,000円(別途スポーツ安全保険料:生徒1人あたり年額800円) |
取り組みの概要
行方市は霞ヶ浦と北浦に挟まれた茨城県東南部の市で、過疎化により人口が10年前と比べ約15%減少し、少子高齢化が進んでいます。市内の中学校は3校・全生徒663人で、34の部活動がありますが、運動部13種目のうち5種目はすでに部員数の減少により近隣中学校との合同チームで試合に出場している状況でした。こうした背景から、市はスポーツ庁の「地域スポーツクラブ活動体制整備事業」(茨城県実証事業)の枠組みを活用し、令和6年8月に市内中学校3校合同の地域クラブ「なめがたスポーツ・文化クラブ」を設立。サッカー・軟式野球・男女ハンドボールに加え、文化系の絵画、部活動にはない種目のヒップホップダンスを含む6種目の活動を開始しました。
特徴的な取り組み
- 市全域1クラブ・3校合同方式: 学校単位では少人数のためできない練習を、市内3校合同の活動として実施。運営団体「なめがたスポーツ・文化クラブ」の事務局を市教育委員会が担い、指導者の募集、活動場所の利用調整、指導者報酬・保険関係の管理までを一元化しています。
- 部活動にない種目の新設: ヒップホップダンス教室は部活動には無い種目をあえて取り入れたもので、絵画とあわせて「移行」だけでなく「新たな選択肢の創出」として多様なニーズに対応しています。
- 年会費1,000円の低コスト設計: 参加会費は年額1,000円で、別途スポーツ安全保険(生徒800円/年)に加入。活動は月1〜2回・通年で、市内各中学校や公共施設を活動場所としています。
- 連絡アプリの活用: 保護者・指導者・教育委員会の間で活動の実施連絡や状況報告をアプリで共有し、円滑なコミュニケーションを確保しています。
- 年3回の指導者研修会: 部活動指導員による「勝利至上主義から楽しむスポーツへの転換」、日本サッカー指導者協会(JFCA)講師による「勝利至上主義とハラスメントを生む原因の分析・セーフガーディング」、消防署員によるAED操作・救急救命など、指導の質を高める研修を体系的に実施しています。
- コーディネーター配置と見学会: コーディネーター1名が定期的にクラブを巡回して活動状況を把握し、指導者・保護者との意見交換や負担金の徴収を担当。令和7年2〜3月には新中学生向けの見学会も開催しました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 指導者の確保(現職教員は指導に入っていない) | スポーツ少年団指導者・教員OB等から30人を確保。現状は地域の方からの紹介が中心のため、今後はホームページ等を活用した人員確保に努める方針 |
| 学校・指導者間の連絡体制が不足している種目がある | 連絡アプリによる情報共有とコーディネーターのパイプ役機能で補完し、体制整備を継続 |
| コーディネーターを担う人材の不足 | 学校・指導者とのパイプ役となれる人材の確保を今後の対応方針として明記 |
成果・効果
令和6年8月の活動開始から、スポーツ協会・スポーツ少年団・総合型地域スポーツクラブと連携して中学生の受け入れを行い、6種目の多様な受け皿を確保しました。クラブあたりの年間平均参加生徒数は1年生31人・2年生43人で、下級生を中心に参加が定着しつつあります(3年生は0人)。指導者研修会の実施により指導者の質の向上が図られたほか、アプリを活用した情報共有で参加者のニーズや期待を把握し、指導内容や進行方法を調整できたことも成果として報告されています。なお、現時点で大会への参加は行っていません。
出典
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