【事例】茨城県石岡市の部活動地域展開 ─ 教育委員会直営の休日モデル事業4種目・生徒満足度92.3%・令和13年度末に全運動部移行へ
・石岡市が教育委員会直営で陸上・剣道・野球・サッカーの休日地域部活動を運営する仕組み
・保険料800円のみの負担設計と市施設減免・ICT申込による運営効率化の工夫
・生徒満足度92.3%の成果と令和13年度末全運動部移行に向けた課題
| 自治体名 | 茨城県石岡市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.0万人(70,460人) |
| 中学校数 | 5校(生徒数1,577人・59部活動) |
| 運営形態 | 石岡市教育委員会の直営(統括コーディネーター役を教育委員会が担当) |
| 対象競技 | 陸上競技、剣道、軟式野球、サッカー(吹奏楽の部も令和5年度から実施) |
| 保護者負担額 | 年額800円(スポーツ安全保険料として。参加会費は無料) |
取り組みの概要
石岡市では生徒数の減少により部活動が成り立たないケースが増え、野球部やサッカー部は他の中学校との合同チームで大会に参加する状況が続いてきました。市の推計では10年後の令和17年度に中学生が937人と令和6年度比59%まで減少する見込みで、団体スポーツの将来的な存続が難しくなると予想されています。こうした背景から市は「石岡市休日のスポーツ・文化活動(モデル事業)」を立ち上げ、令和5年度の陸上競技・剣道に加えて、令和6年度からは軟式野球・サッカーを加えた4種目で休日の地域部活動を展開しました。運営団体は石岡市教育委員会そのもので、統括コーディネーターの役割を教育委員会が担い、市陸上競技連盟・市剣道連盟・少年野球指導員・少年サッカー指導員が指導にあたります。活動は令和6年12月から令和7年2月まで月2回程度(午前9時〜12時)行われ、4種目で61名の生徒が参加しました。
特徴的な取り組み
- 教育委員会が運営団体となる直営型: 受け皿団体を探すのではなく、市教委自身が運営団体となって関係団体との連絡調整・会議運営を一元化。活動には教育委員会が毎回同席し、開錠・施錠や楽器の搬入搬出まで支援しています。
- マルチスポーツの考え方を採用: 市内の中学生であれば誰でも参加でき、自分が学校で所属している部活動と異なる種目への参加も認めることで、複数の運動に関われるよう配慮しています。
- 2エリア交互開催による参加しやすさの確保: 市域が石岡地区・八郷地区の大きく2つに分かれているため、市中心部の施設を活用したり、活動場所を2エリアで交互に実施したりして移動負担を平準化しています。
- 市施設の無償活用: 首長部局が陸上競技場・体育館・球場・サッカー場を減免で貸し出し、施設利用料をかけずに質の高い活動環境を確保しています。
- ICTによる事務効率化: 申込フォームやQRコード、メーリングリストを活用して参加申込・欠席連絡・保険手続きを完結させ、保護者と事務局双方の負担を軽減しました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 会場までの移動が保護者送迎頼みになっている | 学区内の練習場所へは通学同様の自転車移動を認めるなど柔軟に対応。今後は市の他部局と調整しオンデマンドタクシーや市バスの活用を検討 |
| 公的支援の対象とする地域クラブの基準がない | 県が示した地域スポーツクラブ活動の要件等を踏まえ、市として要件・基準を設定し登録・指定等を実施する方針 |
| 「参加人数が少なかった」という生徒・保護者の声 | 新入生説明会での市教委による説明、チラシ配布、広報いしおか・SNS(X・LINE)掲載など周知を多層化 |
| 平日の部活動の指導者確保 | コーディネート業務を担う人材の発掘・育成・資質向上を図る方策を検討 |
成果・効果
令和6年12月〜令和7年2月の活動に4種目で61名が参加し、生徒アンケートでは92.3%が休日の部活動での活動に「満足」と回答しました(とてもそう思う61.5%・そう思う30.8%)。参加した中学生からは「いろんな指導者の方々と稽古ができてとてもいい経験をさせていただきました」「いろいろな学校の友達と切磋琢磨することができた」との声があり、練習に参加した生徒から評判を聞いた生徒が後から加入する動きも見られました。野球の部では最終日に市役所の野球チームとの練習試合を実施するなど、練習の成果を発揮する機会も設けています。市は移行に取り組む中学校の部活数を段階的に増やし、令和13年度末までに域内のすべての運動部を地域クラブ活動へ移行する計画です。
出典
→ 原文: スポーツ庁 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 茨城県石岡市(茨城県教育委員会掲載PDF)
→ 参考: 茨城県教育委員会「部活動地域展開」
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