トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県潮来市の部活動地域展開 ─ 剣道連盟少年部の先行クラブ化と13の立場の代表で構成する推進委員会・令和8年度から段階移行へ
剣道 👥 1~5万人 🏫 小規模校(〜150人) 📍 茨城県

【事例】茨城県潮来市の部活動地域展開 ─ 剣道連盟少年部の先行クラブ化と13の立場の代表で構成する推進委員会・令和8年度から段階移行へ

公開:2026.08.20 更新:2026.08.20
この記事でわかること

・潮来市が剣道連盟少年部への謝金実証から始めて新クラブ設立の機運につなげた経緯
・13の立場の代表で構成する推進委員会と合同部活動を前段階に使う合意形成の手順
・小規模自治体が事務局を既存クラブに置いて調整機能を確保する現実的な体制づくり

自治体名 茨城県潮来市
人口規模 約2.6万人(26,316人)
中学校数 4校(生徒数555人・34部活動)
運営形態 任意団体「潮来市剣道連盟少年部」との連携実証(事務局:潮来スポーツ・カルチャークラブ)
対象競技 剣道(実証事業として先行実施)
保護者負担額 実証期間中の月会費は徴収記載なし(スポーツ安全保険料 年800円)

取り組みの概要

潮来市は4つの公立中学校に生徒555名・34部活動という小規模自治体で、部活動加入者は452名。すべての学校に置かれていない部活動があるため希望する部活動に入れない生徒がいるほか、生徒数の減少により学校単独では実施できず、市内や市外の中学校と合同で実施している部活動もあります。市は令和4年11月に潮来市部活動地域移行検討委員会を設置して現状と論点の整理を開始し、令和5年度に生徒アンケート調査、令和6年度には市内各部活動における合同部活動の練習を実施しました。令和6年10月には推進計画を策定し、令和8年度から段階的に移行していく計画を確定。地域展開を見据えて活発に運営されてきた潮来市剣道連盟少年部と連携し、令和7年1月から2月にかけて、中学生を指導する指導者への謝金支払いを内容とする実証事業を市として初めて実施しました。剣道の活動は週3回・午後に潮来第一中学校・潮来第二中学校・日の出中学校を会場として行われ、各学年5人の計15人が参加しました。

特徴的な取り組み

  • 実績ある競技連盟を起点にした先行クラブ化: 受け皿を新設するのではなく、既に活発に活動していた剣道連盟少年部への謝金支払い実証から着手。約2か月で同少年部の運営体制整備が完了し、市として初の実証を小さく確実に成立させました。
  • 13の立場の代表で構成する推進委員会: 従来の検討委員会に加えて「潮来市地域クラブ活動推進委員会」を新設。中学校文化部・運動部代表、校長会、文化協会、スポーツ協会、スポーツ少年団、いきいきITAKOスポーツクラブ、学識経験者、各スポーツ代表者9名、保護者代表、民間代表者まで幅広い立場を集めた合意形成の場をつくりました。
  • 事務局の外部化とコーディネーター配置: 事務局を潮来スポーツ・カルチャークラブが担い、事務局専任(派遣)とコーディネーターを置く体制図を描いて、市教委(学校教育課=学校との調整、生涯学習課=指導者との調整)と役割分担しています。
  • 合同部活動を移行の前段階に活用: 令和6年度から市内各部活動で合同部活動の練習を実施し、学校の枠を超えた活動に生徒・指導者が慣れる土台をつくったうえでクラブ化を進めています。
  • 人材バンクによる指導者確保: 潮来市地域クラブ活動人材バンクを積極的に活用し、指導者の発掘を進めています。

課題と解決策

課題 解決策
部活動の地域展開において指導者の確保が重要な課題 潮来市地域クラブ活動人材バンクを活用して人材を発掘。定期的に指導者の育成・研修を実施し資質・能力の向上に努める
推進委員会の議論で明確になった課題の実務への落とし込み 各担当スポーツの推進委員と中学校部活動顧問が協議する場を設けて調整
剣道以外の種目の受け皿づくり 令和7年度も実証事業が可能な競技について実施・検証を行い、積極的に調整を進める
地域クラブ活動を円滑に進める調整役の不在 コーディネーターの配置を検討

成果・効果

約2か月の実証事業ながら、潮来市剣道連盟少年部の運営体制整備が完了し、他のスポーツクラブの指導者の確保、さらには受け皿となる潮来市の他のスポーツクラブの設立につながりました。令和7年2月に開催した潮来市地域クラブ活動推進委員会で今回の取り組みを報告したところ、剣道部だけでなくクラブチーム立ち上げの機運が高まっています。市は令和8年度からの段階的な移行に向けて、可能な部活動から休日部活動の地域クラブ化を進めていく計画です。

出典

→ 原文: スポーツ庁 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(地域スポーツクラブ活動への移行に向けた実証事業)成果報告書 茨城県潮来市(茨城県教育委員会掲載PDF)

→ 参考: 茨城県教育委員会「部活動地域展開」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

潮来市の実証は、規模こそ剣道1種目・15人と小さいものの、「最も動きやすい既存団体への謝金支払い」という最小単位から始めて、他クラブの指導者確保や新クラブ設立の機運醸成という波及効果まで生んだ点に価値があります。生徒555人という小規模自治体では、大がかりな受け皿を最初から設計するより、実績ある競技連盟に小さく委ねて成功例を市内に見せる方が、関係者の心理的ハードルを効果的に下げられます。また、部活動未加入103名のうち71名が既に外部クラブで活動しているという実態把握は重要で、地域にはすでに受け皿の芽が存在することを示しています。13の立場を集めた推進委員会は、この芽を拾い上げて制度に接続するための装置として機能し始めています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

潮来市型の「連盟先行・小規模実証」を採る場合、最初の連携先の選定がすべてを左右します。選定基準は競技人気ではなく、指導者が揃い自主運営の実績がある団体かどうかです。もう一つのハードルは実証後の横展開で、潮来市も剣道以外の種目は「積極的に調整を進めていく」段階にとどまっています。機運が高まったタイミングを逃さないよう、推進委員会の各スポーツ代表者と部活動顧問の協議をスケジュール化し、種目ごとの移行時期を推進計画に明記することが重要です。加えて、小規模自治体はコーディネーター人件費の捻出が難しいため、潮来市のように事務局を既存の総合型クラブ(潮来スポーツ・カルチャークラブ)へ置く方式は、専任者を雇わずに調整機能を確保する現実解になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和4年の検討委員会設置から生徒アンケート、合同部活動、推進計画策定、実証、推進委員会新設へと段階を踏んだプロセスは、小規模自治体の標準的なロードマップとして参考になります。特に保護者代表・民間代表者まで含む13の立場の推進委員会は、移行後の負担や運営を担う当事者を早期に巻き込む設計です。一方、実証は謝金支払いが中心で、会費水準や自走時の財源設計はこれからの課題です。コーディネーター配置の検討と合わせ、令和8年度の段階移行開始までに費用負担のルールを固められるかが持続可能性の分かれ目になります。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →
企業の方へ
部活動地域展開の市場・本サイトの読者層に関心のある企業向けのご案内ページをご用意しています。
FOR BUSINESS →