【事例】栃木県真岡市の部活動地域展開 ─ 剣道連盟・柔道連盟・総合型クラブと種目ごとに運営団体を使い分ける
・剣道連盟・柔道連盟・総合型クラブ・市教委と種目ごとに運営団体を使い分ける真岡市の構成
・市内9校を3つの剣道地域クラブに束ね、令和8年度総体から中体連大会に地域クラブで出場する段取り
・保険料800円の自己負担化や施設使用料の減免規定など、費用ルールの決め方
| 自治体名 | 栃木県真岡市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.8万人(77,746人・令和7年9月1日現在) |
| 中学校数 | 9校(真岡中・真岡西中・真岡東中・中村中・大内中・山前中・長沼中・久下田中・物部中) |
| 運営形態 | 種目ごとに運営団体が異なる(真岡市剣道連盟/真岡市柔道連盟/もおかスポーツクラブ/真岡市教育委員会) |
| 対象競技 | 剣道、卓球、陸上競技、柔道(文化部は吹奏楽・美術で地域展開に向けた取り組みを実施) |
| 保護者負担額 | 会費(消耗品費・指導員謝金等)。スポーツ安全保険料800円は令和8年度から自己負担 |
取り組みの概要
真岡市は令和7年度、市内全中学校の剣道部と一部中学校の卓球部を対象に地域展開に向けた実証事業を行い、同年9月から剣道地域クラブと卓球地域クラブの活動を開始しました。平日は学校部活動、休日(土・日・祝日)は地域クラブ活動という併用の形をとり、長期休業日も同じルールで運用しています。
令和8年度には実施種目を拡充し、陸上競技・卓球(中村中・久下田中)・柔道の3つの地域クラブが新たに始動しました。柔道地域クラブは6月6日に活動を開始しています。市は「知ってほしい!部活動の地域展開」として広報誌でも特集を組み、学校教育課・スポーツ振興課・文化課・生涯学習課の4課が問い合わせ窓口に並ぶ体制で周知にあたっています。
種目を増やす進め方は「真岡市部活動の在り方検討協議会」で継続的に協議されており、次にどの種目を地域クラブ化するかもこの場で決められています。
特徴的な取り組み
- 種目ごとに運営団体を使い分ける: 剣道は真岡市剣道連盟、柔道は真岡市柔道連盟、陸上競技は総合型地域スポーツクラブの「もおかスポーツクラブ」、卓球は真岡市教育委員会が運営団体を担います。一つの受け皿に全種目を集約するのではなく、その種目を支えられる主体がある分野から順に委ねる構成です。
- 剣道は9校を3クラブに束ねる: 剣道地域クラブは「志進塾」(真岡中・真岡西中・中村中)、「未来煌」(真岡東中・大内中・山前中)、「克己塾」(長沼中・久下田中・物部中)の3クラブ編成で、市内9校を3つに分けています。剣道のクラブ名には道場の理念や伝統を表す習慣があるとされ、各クラブ名にも子どもへの願いが込められています。
- 令和8年度総体から中体連主催大会も地域クラブで出場: 令和7年度は中体連主催の大会・強化練習会は学校部活動として学校単位で参加し、練習試合やその他の大会は地域クラブとして参加する二本立てでした。令和8年度総体からは、地域クラブとして中体連主催大会に参加することが決定しています。
- 連絡手段をeメッセージに一本化: 地域クラブの連絡はeメッセージを使い、保護者からの欠席連絡、指導者からの練習日時・内容の通知、合同練習会の連絡調整をここで行っています。
- 文化部も具体の取り組みから着手: 吹奏楽部は令和8年度に初級者向けの楽器別講習会を実施し、練習会場には旧山前南小学校を活用しています。美術部は市主催の市民講座(絵画教室等)を活用。さらに真岡工業高校と連携した電気自動車(EV)制作にも取り組み、平日の放課後・土曜午前・長期休業期間中に複合交流拠点施設monacaで活動し、令和8年7月開催のEne-1 GP もてぎへの出場を目指しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 1校ごとでは剣道部の活動規模が確保しにくい | 市内9校を3つの剣道地域クラブに束ね、学校の枠を越えた合同活動の形にした |
| 全種目を一度に地域クラブ化できない | 指導者の確保・活動場所・安全管理体制の明確化など課題が整理できた種目から順に展開し、残る種目は検討協議会で継続協議する |
| 地域クラブになると出場できる大会が変わるおそれがある | 各競技団体と参加ルールの調整を行い、令和8年度総体から地域クラブとして中体連主催大会に参加できるよう決定した |
| 学校管理外の活動となり日本スポーツ振興センター災害共済の対象から外れる | スポーツ安全保険に別途加入する運用とし、令和8年度から保険料800円を自己負担に切り替えた |
| 学校外の施設を使うと使用料が発生する | 学校から移行した地域クラブは学校施設(無料)の利用を基本とし、学校外施設を使う場合に備えて使用料の減免規定を整備した |
成果・効果
市が広報誌に掲載した生徒の声には「平日の部活動の練習と雰囲気が異なるので、地域クラブの時間が毎週楽しみ」「違う学校の人と交流ができて楽しい」「いろいろな先生に教えてもらえるのは、よい経験になる」「様々な人が教えてくれて、技術的にできることが増えた」といった内容が並びます。剣道地域クラブについては「学校間の隔たりはなく、全員が熱心に活動している。また、休憩時間にはお互いの学校生活について話すなど、学校を超えた交流が深まっています」と報告されています。卓球地域クラブでも「平日の部活動を同じ環境で練習できるので、安心して取り組めます」という声が挙がっており、市は子どもたちが主体的に成長できる充実した場になっていると評価しています。
陸上競技地域クラブは令和8年3月3日に保護者説明会を開催し、活動の運営計画・指導員の紹介・大会参加の方法を共有しました。卓球(中村中・久下田中)と柔道についても、それぞれ3月16日・3月26日に保護者説明会が開かれています。
出典
→ 原文: 真岡市「広報もおか 令和8年8月号 ─ 知ってほしい!部活動の地域展開」(PDF)/真岡市教育委員会「真岡市中学校部活動通信 No.6(令和7年12月発行)」(PDF)/真岡市教育委員会「真岡市中学校部活動通信 No.8(令和8年3月発行)」(PDF)
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