【事例】栃木県那須町の部活動地域展開 ─ 小学校部活動の全移行を足がかりに令和8年12月へ総合型クラブを新設
・小学校部活動の全移行を先行実績として中学校の地域展開に着手した那須町のプロセス
・令和8年12月の総合型クラブ設立・令和9年度の会費徴収開始という月単位・年度単位の工程
・単位クラブ3層構造とスクールバス活用など、小規模町村が押さえるべき運営の勘所
| 自治体名 | 栃木県那須郡那須町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約2.2万人(2026年時点) |
| 中学校数 | 2校(那須中央中学校・那須中学校) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ(令和8年12月設立予定)を受け皿とし、那須町・那須町教育委員会が連携・支援 |
| 対象競技 | 全種目(小学校では野球・ソフトボール等が地域クラブ活動へ移行済み) |
| 保護者負担額 | 令和9年度から入会者による会費の徴収を開始予定。金額は指針に記載なし |
取り組みの概要
那須町教育委員会は令和8年7月、「那須町部活動地域展開の指針 〜子どもたちの豊かな成長を地域で支えるために〜」を策定しました。町内の中学校は那須中央中学校と那須中学校の2校です。
那須町の特徴は、中学校の地域展開に着手する前に、小学校で先行実績を積んでいることです。同町では長年、野球・ソフトボール等の競技を小学校の部活動として教員が指導者となって担ってきましたが、教員の働き方改革の推進に伴って地域クラブ活動への移行を進めた結果、小学校の部活動としていたすべてのスポーツ活動で移行が完了しています。指針では、小学生は学校管理下ではなくスポーツ少年団や保護者会で運営される地域クラブとして活動していると整理されています。
一方、中学校では少子化の影響でチーム編成ができない、やりたい部活動がないといった課題が生じています。国が令和7年12月に「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」を策定し、令和8年度から令和13年度までを「改革実行期間」と位置付けたこと、栃木県が令和8年3月に「とちぎ部活動地域展開プラン」を策定し令和11年度末までに休日の部活動をすべて地域展開する目標を掲げたことを踏まえ、町としての基本的な考え方を整理したものが本指針です。
特徴的な取り組み
- 受け皿となる総合型地域スポーツクラブを町が新設: 中学校の休日部活動の受け皿として、令和8年12月に総合型地域スポーツクラブを設立する予定です。地域住民が中心となって運営し、単に部活動の場を提供するだけでなく、子どもから大人まで地域の誰もがスポーツや文化芸術活動に親しめる多世代交流の拠点となることを目標に掲げています。
- 単位クラブの3層構造: 総合型クラブの中に「中学校部活動を引き継ぐ単位クラブ」「既存の地域クラブが加入した単位クラブ」「新規クラブ」の3種類を置く構成です。既存クラブを解体せずそのまま総合型へ加入させる形をとることで、いまある活動を壊さずに器だけを新しくする設計になっています。
- 前期・後期に分けたロードマップ: 前期(令和8〜10年度)は休日部活動の段階的な地域展開に絞り、令和8年度は可能な学校・種目から段階展開と地域クラブテスト事業、令和9年度は種目数の強化と合同チーム・合同練習の支援、令和10年度は全ての休日部活動を地域展開できるよう支援します。後期(令和11〜13年度)で休日の定着に加え、平日部活動の方針を検討します。
- 平日は学校中心を明言: 前期の間、中学校の平日部活動は学校中心に実施すると明記しています。町側では前期のうちに「平日部活動の地域展開の検討(可能な種目から)」を進める整理で、休日と平日の役割分担を年度単位で分けています。
- 会費徴収は令和9年度から: 総合型クラブの入会者からの会費徴収は令和9年度からと明示されています。設立初年度(令和8年12月〜)は会費を求めず、指導者の確保と安定財源の確保(スポーツ振興くじ等)を並行して進める段取りです。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 運営費(安定的な収入の確保、チームの活動助成、会費=保護者負担の明確化) | 町・国・県からの財政支援と民間企業等からの後援、保護者負担の明確化、単位クラブ活動費の助成、学校後援会からの支援のあり方の整理、活動種目ごとの活動費の把握、部活動保護者会のあり方の検討 |
| 指導者の待遇・確保・質・育成 | 指導者謝金の支給額設定と支給方法の整備および弾力的運用、現職教員と地域指導者の発掘、教員の兼職兼業の運用推進、スポーツ・文化芸術活動の指導者研修の実施、指導者登録基準の明確化、指導者資格の受講料助成 |
| 活動場所の確保と移動、大会参加の確保・支援 | 公共施設予約制度と施設使用料の減免の整備、小中学校体育施設の利用推進、スクールバス運行の活用推進、中体連大会の参加要件の把握と学体連との連携、県大会等上位大会の支援(スポーツ振興・文化振興奨励費)、大会参加移動費の支援 |
| 新規クラブの活動種目の追加と創設支援 | 多種多様な活動種目の創設、新規クラブ指導者の発掘、新規クラブ活動の運営方法の支援、総合型クラブへの加入促進 |
成果・効果
那須町では、小学校の部活動としていたすべてのスポーツ活動において地域クラブ活動への移行がすでに完了しています。中学校に先立って小学校で移行を経験していることは、指導者の発掘・保護者会の運営・スポーツ少年団との役割分担といった実務ノウハウが町内にすでに蓄積されていることを意味します。
指針の策定にあたっては「令和8年度小中学校部活動地域移行検討協議会」が置かれ、委員長を宇都宮共和大学副学長の河田隆氏、副委員長を那須町教育委員会教育長の平久井好一氏が務めました。委員には町立小学校校長会・中学校校長会の代表、小学校PTA会長・中学校PTA会長の代表、那須町スポーツ協会会長、那須町文化協会会長、那須町スポーツ協会スキー専門部長、町教育委員会の学校教育課長・生涯学習課長・こども未来課長が名を連ねており、学校・保護者・競技団体・行政が同じ卓に着く構成になっています。
指針は結びで、実現には学校・家庭・地域が一体となった支援体制の構築が不可欠であるとし、「大人も子どもも共に成長できる」新しい部活動の形の形成を掲げています。
出典
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