トップ 事例を探す 岡山県 【事例】岡山県浅口市の部活動地域展開 ─ 教育委員会が1回100円の4クラブでスモールスタート
全種目 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 岡山県

【事例】岡山県浅口市の部活動地域展開 ─ 教育委員会が1回100円の4クラブでスモールスタート

公開:2026.05.02 更新:2026.05.02
この記事でわかること

・岡山県浅口市が教育委員会直営で4種目をスモールスタートさせた地域クラブ活動の仕組み
・1回100円・月100円という超低負担モデルで参加障壁を下げた取り組みの詳細
・受け皿不足の小規模市が指導者9名・高校施設を活用して部活動の地域展開を実現したプロセス

自治体名 岡山県浅口市
人口規模 約3.3万人(32,706人)
中学校数 3校(生徒数738名)
運営形態 浅口市教育委員会(市町村運営型・ひとづくり推進課が主管)
対象競技 バレーボール、ソフトテニス、陸上競技、体づくり運動(体幹トレーニング等)
保護者負担額 1回100円(バレーボール・ソフトテニス・体づくり)、陸上は月100円(保険料:生徒800円/年)

取り組みの概要

浅口市は岡山県西部に位置する人口約3.3万人の市で、平成18年(2006年)に浅口郡鴨方町・金光町・寄島町が合併して発足しました。公立中学校3校に738名の生徒が在籍していますが(令和7年1月時点)、少子化により生徒数は緩やかに減少を続けています。部活動数は26部活ありますが、部員停止・廃部が生じており、希望する部活動がないことを理由に他校へ転校する生徒も出始めていました。

こうした課題への対応として、令和6年6月に部活動地域移行検討委員会を設置。教育委員会内の「ひとづくり推進課」が中核となり、令和6年11月にバレーボールとソフトテニスの地域クラブ活動を、同年12月に陸上と体づくり運動(体幹トレーニング等)を順次開始しました。スポーツ庁の令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(実証事業)として取り組み、4クラブ・計9名の指導者体制で活動を開始しています。

受け皿となる既存の総合型地域スポーツクラブが日程・条件面で合わなかったため、教育委員会が自ら4種目のクラブを立ち上げるスモールスタート方式を選択。将来的には地域の独立クラブへ移行させる設計で、ロードマップを策定しながら運営しています。

特徴的な取り組み

  • 教育委員会直営による4クラブのスモールスタート:既存の総合型地域スポーツクラブとの連携が条件面で折り合わなかったため、浅口市教育委員会が主体となりバレーボール・ソフトテニス・陸上・体づくり運動の4種目を新設。将来的に外部の独立クラブへ移行するロードマップを描きながら、まず実績を積む段階的アプローチを採用しました。
  • 部活動地域移行コーディネーターの配置と分科会運営:専任コーディネーターを配置し、学校・競技協会・保護者との連絡調整を一手に担いました。令和6年7月には種目別分科会(バレー・吹奏楽・野球・組織)を開催し、各競技のニーズと課題を把握。他市との広域連携に向けた協議も並行して進めました。
  • 高校施設を活用した体づくり運動の実施:体づくり運動(体幹トレーニング等)は「おかやま山陽高校体育館」を会場として実施。小学5年生から中学3年生を対象とし、高校施設の有効活用により施設確保の課題を解決しています。
  • 1回100円・月100円という超低負担モデル:参加費をバレーボール・ソフトテニス・体づくり運動は1回100円、陸上は月100円と設定。スポーツ安全保険料(生徒800円/年)を加えても年間の経済的負担は極めて低く、参加障壁を最小限に抑えています。

課題と解決策

課題 解決策
受け皿となる既存の総合型地域スポーツクラブが日程・条件面で合わず連携が困難 教育委員会が直営型で4クラブを新設。将来的な外部移行を見据えたロードマップを策定しながらスモールスタート
指導者の量的確保(人材バンク登録者が数名と少ない) 部活動顧問や地域スポーツ少年団関係者を個別訪問して声がけ。元教員・地域指導者・保護者を指導者として9名を確保
部活動しか受け皿がない種目が多く、地域クラブ化が困難 令和6年7月に種目別分科会を開催し、需要の高い4種目から段階的に開始。他競技は順次拡充する方針
持続可能な運営主体の確立が課題 将来的に地域の独立クラブへ移行する組織設計を行い、教育委員会が事務局として過渡期を支える2段階移行方式を採用

成果・効果

令和6年11月〜12月にかけて4クラブが順次開始し、バレーボール約20名・ソフトテニス約15名・陸上約20名・体づくり運動約15名の計70名程度が参加しています。指導者9名(バレーボール2名・ソフトテニス3名・体づくり運動2名・陸上2名)を確保し、元教員・地域指導者が中心となって活動を支えています。

部活動地域移行検討委員会を年3回実施し、学校・関係団体・地域の声を反映しながら地域クラブの立ち上げを進めました。指導者との個別面談や活動後の話し合いの場を設け、コンプライアンス・熱中症対策・教育的な配慮について研修を実施。県の地域移行支援アドバイザーの助言を参考にしたロードマップも作成し、持続可能な移行への道筋を整えています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(岡山県浅口市)|スポーツ庁

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

浅口市の事例で注目すべきは、「既存の受け皿がない」という状況を逆手に取った行政直営のスモールスタート戦略です。総合型地域スポーツクラブとの連携を試みたものの条件が合わなかったため、教育委員会が自ら4種目のクラブを立ち上げました。「将来的には外部へ」という明確な移行ビジョンを持ちながらまず実績を積む現実的な判断は、受け皿不足に悩む小規模市の参考になります。

参加費の設定も特徴的です。1回100円・月100円という水準は、財源確保よりも「まず参加してもらうこと」を優先した割り切りです。加賀市の「会費0円」モデルと同じ発想で、実証事業補助金終了後の持続可能性は今後の課題となりますが、まず参加基盤を作って将来の運営移行への道筋をつけるアプローチとして評価できます。

高校(おかやま山陽高校)の体育館を活動会場として活用した点も注目です。中学校・公共施設だけでなく高校施設を地域クラブの拠点として位置づけることで、施設確保という制約を乗り越えています。小規模市における高校施設の有効活用は、施設コスト削減の現実的な方策として他地域でも検討に値します。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

浅口市モデルの最大の課題は「実証事業補助金終了後の持続可能な運営主体への移行」です。他自治体がこのモデルを参考にする際は、①立ち上げ期に補助金を活用して実績と参加者基盤を構築し、②その後に地域の総合型クラブや新設法人へ移行する2段階シナリオを最初から設計しておくことが重要です。また、種目別の分科会を通じて参加者・指導者・学校の声を吸い上げながら種目を選定するプロセスは、ニーズ把握と関係者の合意形成を同時に進められる手法として、どの自治体でも応用できます。

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