トップ 事例を探す 岡山県 【事例】岡山県備前市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブ「ひなせオレンジクラブ」がアーチェリー等4種目を会費0円で受け皿に
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【事例】岡山県備前市の部活動地域展開 ─ 総合型クラブ「ひなせオレンジクラブ」がアーチェリー等4種目を会費0円で受け皿に

公開:2026.05.03 更新:2026.05.03
この記事でわかること

・岡山県備前市が総合型クラブ「ひなせオレンジクラブ」と連携してアーチェリー等4種目を会費0円で運営する仕組み
・学校単独では維持困難な珍しい種目を地域クラブで存続させる方法とその実績
・2年間継続できた低コスト・無料参加モデルの財源設計と今後の課題

自治体名 岡山県備前市
人口規模 約3.1万人
中学校数 5校(生徒数607名)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ「ひなせオレンジクラブ」(アーチェリー部を中心に連携)
対象競技 アーチェリー、陸上競技、剣道、ソフトテニス(4種目)
保護者負担額 0円/年(スポーツ安全保険料は別途)

取り組みの概要

備前市は岡山県東部に位置する人口約3.1万人の市で、公立中学校5校に607名の生徒が在籍しています。少子化の進展により中学校の生徒数や教職員数が減少しており、部活動は廃部・休部・縮小に追い込まれる種目が増えています。生徒にとって自分のやりたい部活動がないまたは部員数が少なく活動が低調になるという悪循環が生じ、部活動離れが加速する恐れが課題となっていました。

こうした状況への対応として、備前市では令和5年度から総合型地域スポーツクラブ「ひなせオレンジクラブ」との連携により、アーチェリー・陸上競技・剣道・ソフトテニスの4種目で地域クラブ活動への移行を実施しています。令和6年度はその取り組みを継続・発展させており、スポーツ庁の実証事業として実績を積み上げています。

特筆すべきは参加会費が0円/年という設定です。市内中学校・体育施設を活動場所として確保し、5名の指導者体制で4クラブを運営。2・3年生は50名/クラブ、1年生は37名/クラブが年間を通じて参加しています。

特徴的な取り組み

  • アーチェリーという珍しい種目からの地域クラブ化:全国的に見ても部活動での実施が少ないアーチェリーを地域クラブの中核種目として取り上げた点が特徴的です。「ひなせオレンジクラブ」のアーチェリー部が中心となることで、学校単独では維持困難だったアーチェリーの活動環境を地域全体で支える体制を構築しました。
  • 会費0円で経済的バリアを完全排除:参加費を0円/年に設定することで、どの家庭の生徒でも参加できる環境を整備しました。備前市の場合は実証事業の補助金を活用してこの無料モデルを実現しており、加賀市と同様に経済的障壁ゼロを志向した取り組みです。
  • 令和5年度から継続する2年目の実績:令和5年度から既に4種目での地域移行を開始しており、令和6年度は「昨年度から引き続き継続」の段階にあります。2年間の継続実績により参加者数・指導者数ともに安定した水準が維持されており、持続可能な運営の基盤が形成されています。
  • 総合型地域スポーツクラブを核にした多種目展開:備前市では「ひなせオレンジクラブ」という既存の総合型地域スポーツクラブの組織力・指導者ネットワークを活用することで、複数種目への展開が可能になっています。新法人を設立せず既存クラブの機能を拡張するアプローチです。

課題と解決策

課題 解決策
少子化で部員数が減少し廃部・休部が増加。生徒が希望する部活動を選べない 地域クラブで複数校の生徒が合同参加できる環境を整備。アーチェリー等の珍しい種目でも継続できる体制を確保
学校単独では維持が難しい種目(アーチェリー等)の存続 「ひなせオレンジクラブ」のアーチェリー部を核に、地域クラブとして複数校の生徒が参加できる仕組みを構築
会費0円モデルの持続可能な財源確保 スポーツ庁実証事業の補助金を活用して運営。恒常的な財源確保は実証事業終了後の課題として継続検討
指導者確保(特に珍しい種目では人材が限られる) 「ひなせオレンジクラブ」の指導者ネットワークを活用し、5名体制を確保。部活動顧問との連携も実施

成果・効果

令和5年度から令和6年度にかけて、アーチェリー・陸上競技・剣道・ソフトテニスの4種目で地域クラブ活動を継続実施。2・3年生は50名/クラブ、1年生は37名/クラブという参加水準を維持しています。5名の指導者体制で安定した活動が継続できており、2年間の実績により「備前市における地域クラブ活動のモデル」としての信頼が高まっています。

会費0円という設定により、家庭の経済状況に関わらず生徒が参加できる環境が確保されています。特にアーチェリーという学校部活動では維持困難な種目を地域で継続できているという実績は、個性的な種目の地域移行事例として全国的にも参考になります。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(岡山県)|スポーツ庁

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

備前市の最大の特徴は「アーチェリー」という珍しい種目を地域クラブの核に据えた点です。学校単独では指導者不足・部員不足で廃部せざるをえないような競技でも、地域の総合型クラブが受け皿となることで存続させられるという好例です。アーチェリー・弓道・フェンシング等の専門性の高い種目や、生徒数の少ない地域で実施困難な団体競技こそ、地域クラブ化によるメリットが大きいと言えます。

会費0円という設定は加賀市(年800円のみ)と並んで、経済的バリアの完全排除を志向した取り組みです。備前市の場合も実証事業補助金が前提となっていますが、2年間継続して運営できているという実績は、低費用モデルの持続可能性を示す事例となっています。会費を取らずに運営できる秘訣は、活動場所として市内中学校・体育施設を無償または低コストで利用できていること、そして既存の「ひなせオレンジクラブ」の組織力を活用することでゼロから立ち上げるコストを省いていることにあります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

備前市モデルを参考にする際のポイントは「既存の総合型地域スポーツクラブの質と専門性」です。アーチェリーのような専門性の高い種目を運営できるクラブが地域にあるかどうかが前提条件となります。もし該当クラブがない場合は、同種目を専門とする競技協会・スポーツ少年団・地域クラブを探して連携することが第一歩です。また、会費0円モデルは補助金依存であるため、実証事業終了後に段階的に少額の会費を設定する移行計画を早期から検討しておくことが重要です。

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