【事例】岐阜県関市の部活動地域展開 ─ 登録制度で14種目41クラブ・中学生641名が参加、クラブ代表が理事を務める連絡協議会を運営団体に令和8年8月で平日も地域展開へ
・登録制度で14種目41クラブ・中学生641名まで広げた関市の入口設計と、育成会母体クラブの引継ぎという弱点
・クラブ代表が理事を務める連絡協議会と三役会で事案に対応し、規約にコンプライアンス条項を入れた自治の仕組み
・市独自講習で指導者233名の6割を有資格化し、美濃地区3市で募集ルールを申し合わせた広域連携の方法
| 自治体名 | 岐阜県関市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約8.3万人(令和7年12月1日時点・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校9校(令和7年度・生徒2,253人・運動部67部) |
| 運営形態 | 各地域クラブの代表が理事・役員を務める「関市地域クラブ連絡協議会」(令和7年2月設立)を運営団体とし、市教育委員会学校教育課が登録制度の運営・管理と事務局、地域クラブコーディネーターが連絡調整と謝金事務を担当。実施主体は部活動育成会(保護者会)を母体とするクラブや既存のスポーツクラブなど41クラブ |
| 対象競技 | 陸上、軟式野球、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ソフトテニス、剣道、卓球、ラグビー、バドミントン、硬式テニス 等14種目(うち7クラブは部活動にない種目) |
| 保護者負担額 | 月1,000円程度(陸上 年7,200円、サッカー 年10,000円、卓球 1回200円、剣道 月600円など、クラブごとに設定)。スポーツ安全保険800円/年は別 |
取り組みの概要
関市は令和5年4月に、市役所関係課の課長をメンバーとする「関市地域クラブ地域移行協議会」と、部活動育成会代表・スポーツクラブ代表・学校長などで構成する「関市地域クラブ活動推進会議」を立ち上げ、市に合った地域展開の方向性を協議しました。令和6年4月に関市地域クラブ登録制度を開始し、令和7年度には14種目41クラブが登録、市内の中学生641名と小学生73名が活動しています。41クラブのうち34クラブは52の部活動を移した形、7クラブは部活動にない種目の新規クラブです。令和7年2月には各地域クラブの代表を理事とする「関市地域クラブ連絡協議会」を設立して運営団体に位置づけ、令和7年度末までに市内全中学校の休日部活動を、令和8年8月をめどに平日部活動を地域展開することを目指しています。
特徴的な取り組み
- クラブ代表による連絡協議会と三役会: 連絡協議会には部活動育成会代表・スポーツクラブ代表・学校長代表で構成する三役会を設け、令和7年度は指導が必要になった事案を三役会で協議して適切な指導と支援を行い、その内容を総会で共有して他クラブへ展開しました。トラブル・事故発生時は事実確認の後に三役会で対応方針や処分を速やかに決める体制で、各クラブの規約にコンプライアンス条項と懲戒基準を入れるよう指導しています。
- 市独自の指導者養成講習会で有資格率6割: 日本スポーツ協会の資格や岐阜県の研修に加え、関市独自の指導者養成講習会を年2回(春・夏)開き、新任指導者や交代する役員が必ず受講できるようにしました。2年間で延べ100名超が受講し、令和7年度の登録指導者233名のうち有資格者は141名、今年度は50人が市の講習会で資格を取得。中濃消防署の職員による心肺蘇生・AED・外傷・熱中症の研修も実施しています。
- 美濃地区3市で「地域クラブの申し合わせ」: 隣接する美濃地区3市と現状や課題を共有する交流会に参加し、他市住民へのクラブ員募集の対象・時期・広報媒体の使い分けを明文化した申し合わせを策定。本市の指導者と他市のクラブ員の間で生じた問題では、相手市の担当者と速やかに情報共有し三役会で対応方針を決めました。
- 事務の電子化と会計の透明性: 連絡協議会や指導者向けの案内はメール配信、講習会の申込はWEBシステムで一元管理し、受付・集計・支払い対応を簡素化。決算報告書の提出を必須とし監査体制を整えました。熱中症対策のガイドラインを作成して配布し、代表者向けに事例を使ったコンプライアンス研修を行っています。
- 令和8年度からクラブへの助成に転換: 令和7年度までは実証事業の交付金と市費で指導者謝金を支援してきましたが、令和8年度からは地域クラブそのものへの助成に切り替え、申請に基づいて助成金を交付し、決算報告と監査を義務づけます。助成制度の効果を測る評価指標と定期的なモニタリングも導入する方針です。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 連絡協議会の事務局を市教育委員会職員が担っており、各クラブの自主性が十分に発揮されにくい | 理事や職員の中から事務局担当者を選任し、教育委員会職員が事務局を担わない体制への移行を検討。市職員は後方支援に回る |
| 多くのクラブが部活動育成会を母体とし、指導者や役員が2〜3年で交代するため毎年同じ引継ぎ・研修が必要になる | 業務分掌と手順書を明文化し、三役による定期報告と事務局の記録保存を徹底。養成講習会を年2回の定期開催にして引継ぎ負担を軽減 |
| 市中心部から離れた地域ではクラブ数が極端に少なく、生徒数減少・移動手段不足・他市への流出で最低人数を確保できず活動継続が困難なクラブが出ている | クラブ統合などの運営改善を検討し、移動支援の充実やオンライン指導の導入など多面的な対策を優先的に進める |
| 地域に移行することで教職員が子どもの活動を「他人事」と捉え関与が薄れる傾向 | 市校長会代表と認識を共有し、個別に校長と意見交換を重ねて協働体制の必要性と役割分担を明確化 |
成果・効果
令和7年度は登録クラブ数が40を超え、生徒の加入率は28%を上回り、当初の目標を概ね達成しました。学校部活動にはなかった競技や種目が地域クラブとして新たに立ち上がり、多様なスポーツ機会と指導者層の広がりが生まれています。発足1年目の連絡協議会はコンプライアンス違反への迅速な対応や次年度に向けた運営体制の改善意見の集約など、市が「予想以上に順調に軌道に乗った」と評価する機能を果たしました。首長部局(スポーツ推進課・文化課・生涯学習課)は公共施設の貸出と、東海大会や全国大会に出場するクラブへの支援を担っています。市は今後、中体連の役員を地域クラブから選出する予定で、選出基準や代表者育成の仕組みづくりを課題に挙げています。指導者からは「研修を無料で受講できるのはありがたい。JSPOの資格は時間とお金がかかりすぎる」という声も記録されています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 岐阜県関市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 岐阜県関市」(報告書検索システム)
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