【事例】岐阜県白川町の部活動地域展開 ─ 人口7千人の山間町が「スポーツリンク白川」でスクールバス移動支援まで整備
・岐阜県白川町が平成29年設立の「スポーツリンク白川」で7クラブを運営しR9完全移行を目指す仕組み
・山間地域でのスクールバス(スポーツリンクバス)移動支援と他校合同チームによる大会参加の実現
・人口7千人の小規模町が令和11年度の中学統合を見越して進める先行的な体制整備の詳細
| 自治体名 | 岐阜県白川町 |
|---|---|
| 人口規模 | 約6,900人(6,927人・令和6年12月1日現在) |
| 中学校数 | 2校(生徒数137名:白川中106名・黒川中29名) |
| 運営形態 | 一般社団法人スポーツリンク白川(平成29年設立) |
| 対象競技 | 野球(軟式)、バスケットボール、バレーボール、剣道、ソフトボール、吹奏楽(7クラブ) |
| 保護者負担額 | スポーツリンク年会費(中学生)1,000円+各クラブ30,000〜36,000円程度/年 |
取り組みの概要
白川町は岐阜県中北部の山間地に位置する人口約6,900人の小さな町です。公立中学校は白川中学校(106名)と黒川中学校(29名)の2校があり、合計137名の生徒が在籍しています(令和6年12月現在)。部活動数は11部活ですが、少子化による部員減少と指導者不足が深刻な課題となっており、令和11年度には黒川中学校を白川中学校に統合する計画が進んでいます。
こうした課題に対し、白川町では平成29年(2017年)3月に「一般社団法人スポーツリンク白川」を設立。学校部活動と連携した地域クラブ活動の運営主体として7年以上の実績を積んできました。令和5年度から段階的移行を進め、令和9年度からは平日・休日ともに地域クラブとして完全実施する計画で取り組んでいます。
令和6年度現在、野球・男子バスケット・女子バレーボール・男子剣道・吹奏楽の5部活移行クラブと、男子バレーボール(NEXUS)・女子ソフトボール(BLAZE)の2新設クラブ合わせて7クラブが活動。指導者20名・運営スタッフ(各クラブ保護者代表)7名体制で、スポーツリンク白川が活動時間・場所・連絡・指導者確保等を一元管理しています。
特徴的な取り組み
- 平成29年からの早期法人設立による7年間の実績:全国的に地域移行議論が本格化する前の平成29年にスポーツリンク白川を設立。7年以上の運営経験により、学校・保護者・指導者との信頼関係と調整ノウハウが蓄積されています。令和11年度の中学統合を見越した体制整備も先行して進めることができています。
- 「佐見地区スポーツリンクバス」による移動問題の解決:山間地域特有の移動手段不足に対し、令和6年4月から佐見地区にスポーツリンク専用バスを運行。保護者送迎か町が運行するバスを活用することで、山間部の生徒も活動場所に参加できる環境を整備しました。
- 他校合同チームによる大会参加の実現:白川町のみでは選手が集まらない野球チームについて、コーディネーターが隣接校(川辺中学校)との合同チームを調整。単独自治体では成立しない大会参加を広域連携で解決しています。
- 令和11年の中学統合を見越した「新しい学校づくり検討委員会」との連携:令和6年11月の検討委員会(第11回)で、黒川中統合後の部活動・地域クラブのあり方を先行して検討。統合後も生徒の活動環境が維持されるよう体制整備を進めています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 単独校・単独自治体では大会に出場できない種目(野球等)の存続 | コーディネーターが川辺中学校との合同チームを調整し、白川・川辺合同チームとして大会参加を実現 |
| 山間地域での生徒の移動手段が不足 | 令和6年4月から佐見地区でスポーツリンクバスを運行開始。保護者送迎との組み合わせで移動問題を解消 |
| 令和11年度の黒川中統合後の体制変化への対応 | 「新しい学校づくり検討委員会」で統合後の部活動・地域クラブのあり方を先行検討。ロードマップを整備中 |
| クラブガイドライン・謝金基準・財源確保が未整備 | 令和7年度予算要求を令和6年12月に実施。スポーツリンク白川の体制強化と財源確保を行政と協議中 |
成果・効果
令和6年度は7クラブが活動し、白川中学校では野球・男子バスケット・女子バレー・剣道・男子バレーNEXUS・女子ソフトボールBLAZEの各クラブに生徒が参加。指導者20名体制で平日週2回(夜間)・休日週1回(日中)の活動を実施しています。
令和6年7月に開催した部活動地域移行推進会議ワークショップ(29名参加)では「子どもたちのスポーツ環境のあり方」について活発な意見交換が行われ、その成果が11月の学校づくり検討委員会での議論に繋がりました。人口7,000人を下回る山間小規模町で、令和9年度の完全移行に向けた段階的な体制整備が着実に進んでいます。
出典
→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(岐阜県白川町)|スポーツ庁
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
白川町の事例で最も際立っているのは「平成29年という早期の法人設立」です。全国的に部活動地域移行の議論が本格化したのは令和3〜4年以降ですが、白川町はその約5年前にスポーツリンク白川を設立し、実績を積んできました。この早期着手があったからこそ、令和9年度の完全移行という目標に向けた段階的体制整備が可能になっています。人口減少・過疎化が進む地域ほど、早期からの準備が地域クラブ活動の持続可能性を左右すると言えます。
スクールバス(佐見地区スポーツリンクバス)の運行は、山間地域の移動問題への直接的な回答です。都市部では公共交通機関や保護者の自家用車での移動が現実的ですが、山間部・農村部では移動手段の確保が地域クラブ活動参加率を左右する最大の課題になります。白川町が町のバスをスポーツリンク活動用に活用した事例は、同様の地理的制約を持つ自治体への示唆として重要です。
川辺中学校との広域連携による合同チーム編成も注目です。単独自治体内では成立しない競技(野球等)でも、隣接自治体との合同チームで大会参加が可能になるという事例は、過疎地・農村部の自治体に対して「隣の市町村と一緒に地域クラブを作る」という選択肢を示しています。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
白川町モデルの最大のポイントは「一般社団法人という軽量な法人形態の早期設立」です。公益財団法人より設立ハードルが低く、行政からの委託・補助金受け入れも可能な一般社団法人は、過疎地・小規模自治体でも設立しやすい選択肢です。参加費(年間31,000〜37,000円程度)は保護者への相応の負担となるため、低所得家庭への補助制度との組み合わせを検討することが重要です。移動問題については、既存のスクールバスやコミュニティバスの時間外活用を教育委員会と交通担当部局が連携して検討することが、低コストで効果的な解決策になります。
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