トップ 事例を探す 京都府 【事例】京都府綾部市の部活動地域展開 ─ 超小規模5校環境でバレーボール・陸上の2クラブ参加費ゼロ先行実証と府立高校グラウンド活用
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【事例】京都府綾部市の部活動地域展開 ─ 超小規模5校環境でバレーボール・陸上の2クラブ参加費ゼロ先行実証と府立高校グラウンド活用

公開:2026.05.03 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・超小規模5校を含む市内全中学生を対象に参加費無料の2クラブ体制を令和6年度に先行実証
・府立高校グラウンドを陸上クラブ拠点に活用し、行政間調整で競技専用施設を確保
・参加者数の伸び悩みと大会参加不可を課題に、令和7年度からソフトテニスを追加して3種目体制へ

自治体名 京都府綾部市
人口規模 約3万人(30,035人)
中学校数 6校(生徒数714人)
運営形態 綾部市教育委員会(各競技協会に委託)
対象競技 バレーボール・陸上競技(計2種目、令和7年度よりソフトテニス追加予定)
保護者負担額 参加費なし(無料)

取り組みの概要

綾部市は人口約3万人、面積347.10 km²という広大な市域を持つ京都府北部の都市です(令和6年度)。公立中学校6校に714名の生徒が在籍していますが、市内最大の綾部中学校(473名)を除く5校は生徒数が88名・62名・41名・39名・11名という超小規模校で、少子化が構造的課題となっています。令和6年度に部活動43部が活動する中、単独チームの編成困難が顕在化しつつあります。

令和6年度はスポーツ庁の実証事業に参加し、バレーボール教室(綾部市バレーボール協会運営)と「あすれっつ中学生部門」(陸上競技・綾部市陸上競技協会運営)の2クラブを先行実施しました。両クラブとも参加費無料で、市内中学生に加えて中丹支援学校中学部の生徒も参加できる体制を整えています。

運営体制は綾部市教育委員会が事業設計・費用負担を担い、各競技協会が指導者派遣と活動運営を担う二層構造です。バレーボール教室は綾部市立綾部中学校体育館、陸上競技は京都府立綾部高等学校グラウンドを活用し、毎週定期的に活動を継続しました。

特徴的な取り組み

  • 超小規模5校を包摂する「部活不問」参加設計:生徒数11〜88名という超小規模校が5校存在する市内で、学校部活の有無に関わらず市内全中学生が参加できる体制を構築。クラブに対応する部活動がない学校の生徒も参加可能とし、スポーツ機会の格差是正を実現しました。
  • 府立高校グラウンドを陸上クラブ拠点に活用:「あすれっつ中学生部門」では京都府立綾部高等学校のグラウンドを活動拠点として使用。市立中学校の施設に限定せず、高校施設を開放することで競技専用環境での練習を実現するとともに、高校との連携関係を構築しました。
  • 両クラブとも毎週定期開催・指導者計19名体制:バレーボール教室は毎週日曜日(午前9時〜正午)、陸上競技は毎週土曜日(午前9時〜11時)に開催し、令和6年4月18日から令和7年2月7日まで活動を継続。バレーボール10名・陸上9名の計19名の指導者が安定した活動を支えました。
  • 令和7年度からソフトテニスを追加し3種目体制へ:令和6年度の2種目実証を踏まえ、令和7年度にソフトテニスの追加を予定。段階的な種目拡大により、地域クラブの選択肢を着実に広げる方針です。

課題と解決策

課題 解決策
参加者数が少ない(バレーボール平均9.2名・陸上平均2.9名) 令和7年度にソフトテニスを追加して種目の選択肢を拡大。拠点校活動・合同部活の推進と組み合わせ、参加者の底上げを図る。支援学校中学部生徒への周知も継続する
引率体制が整備されていないため大会参加が不可 地域スポーツ活動の運営体制拡充に向けて、令和7年度の体制整備を検討中。当面は競技経験・技術習得の場として機能させ、大会参加体制は段階的に構築する方針
6校のうち5校が超小規模(11〜88名)で単独チーム編成困難 地域クラブを複数校の生徒が集まる合同練習の場と位置づけ、単独校では組めない人数でのチーム練習を可能にする。拠点校活動・合同部活との連携も検討
広大な市域(347 km²)での送迎問題 バレーボールは市中心部の綾部中学校体育館、陸上は府立高校グラウンドと、それぞれアクセスしやすい既存施設を拠点に設定。保護者送迎を前提とした会場配置で運用している

成果・効果

令和6年度は2クラブが4月18日から令和7年2月7日まで活動を継続し、計19名の指導者体制で市内6校の生徒を対象に地域クラブ活動を実施しました。バレーボール教室の平均参加者数は9.2名、陸上競技は2.9名で推移。参加者には学校部活に対応する競技がない生徒や、中丹支援学校中学部の生徒も含まれており、これまでスポーツの場が限られていた生徒へのアクセス拡大が実現しました。

綾部市部活動地域移行検討委員会による推進計画の策定も進められており、令和7年度からのソフトテニス追加が決定。地域スポーツ活動の拡大と拠点校活動・合同部活の推進を組み合わせた総合的な対応により、段階的な完全移行に向けた基盤が構築されつつあります。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(京都府・福知山市・舞鶴市・綾部市)|スポーツ庁

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

綾部市では、市内6校のうち5校が生徒数11〜88名という超小規模校という構造的課題を背景に、令和6年度から2クラブの地域スポーツ活動を先行実施した。参加費を無料に設定し、学校部活の有無を問わず市内全中学生が参加できる体制を構築。中丹支援学校中学部の生徒も対象に含め、これまでスポーツ機会が限られていた生徒へのアクセス拡大を実現した。運営は綾部市教育委員会が費用を担い、バレーボール協会・陸上競技協会が指導者派遣と活動運営を担う二層構造で、計19名の指導者体制のもと週1回の定期活動を令和7年2月まで継続した。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

令和6年度の参加者数はバレーボール平均9.2名・陸上競技平均2.9名にとどまり、参加者確保が継続課題として残った。引率体制の未整備により大会参加は実現していないが、綾部市は競技経験・技術習得の場としての機能を優先しつつ体制整備を段階的に進める方針をとる。令和7年度はソフトテニスを追加して3種目体制へ移行するとともに、拠点校活動・合同部活との連携強化も検討中だ。同じスポーツ庁実証事業に参加した京都府舞鶴市京都府福知山市との比較も、府内での広域展開を検討する際の参考となる。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

陸上競技クラブが京都府立綾部高等学校のグラウンドを活動拠点として活用した点は、施設確保の選択肢として注目される。市立中学校施設に限らず、府立高校施設を行政間調整によって確保することで競技専用環境での練習を実現しており、施設不足に悩む地方都市が参照できる事例となっている。教育委員会を通じた府・高校との連携が実現の鍵であり、地域クラブの展開を広域連携事業として位置づけることの有効性を示す。

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