トップ 事例を探す 千葉県 【事例】千葉県香取市の部活動地域展開 ─ 1市3町で休日部活動を令和9年8月31日に終了、19の「かとり地域クラブ」を認定
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 千葉県

【事例】千葉県香取市の部活動地域展開 ─ 1市3町で休日部活動を令和9年8月31日に終了、19の「かとり地域クラブ」を認定

公開:2026.07.31 更新:2026.07.31
この記事でわかること

・香取市・神崎町・東庄町・多古町の1市3町で休日部活動の終了日を令和9年8月31日に揃えた広域連携
・種目・会費・活動日時・代表者連絡先まで公開する「かとり地域クラブ」19団体の認定制度
・指導者人材バンク81名の種目別内訳が示す、剣道・陸上と文化部との受け皿確保の差

自治体名 千葉県香取市
人口規模 約7万人(2026年時点)
中学校数 市立中学校7校(佐原中・香取中・佐原第五中・新島中・小見川中・山田中・栗源中)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ、スポーツ協会、地域ボランティア団体、スポーツ少年団、保護者会等が運営団体・運営主体となる「かとり地域クラブ」認定制度
対象競技 陸上競技、ソフトテニス、テニス、バドミントン、バスケットボール、サッカー、剣道、バレーボール、野球、柔道、競泳・水泳の11種目(認定地域クラブ19団体)
保護者負担額 クラブごとに異なる(入会金・会費なしで保険料800円のみのクラブから、年会費15,000円のクラブまで幅がある)

取り組みの概要

香取市は、隣接する神崎町・東庄町・多古町とともに「香取地域」として、休日の部活動を令和9年8月31日で終了することを決定し、令和8年1月15日付で市内小中学校の保護者に通知しました。市はそれまでに、休日に行っていた学校の部活動を地域クラブ等の活動へ移す取組を段階的に進めています。工程は年度ごとに具体化されており、令和6年度に「各中学校で1つ以上の部活動を地域移行」、令和7年度に「各中学校で複数の部活動を地域移行」、令和8年度・令和9年度に「地域移行を拡充」と定め、令和9年8月31日をもって休日の部活動を終了します。地域移行していない部活動は、それまで従来どおり継続して活動する扱いです。なお市は、令和8年度から「地域移行」の呼称を「地域展開」へ変更することもあわせて周知しています。

特徴的な取り組み

  • 1市3町の広域で終了日を揃える: 香取市単独ではなく、神崎町・東庄町・多古町を含む香取地域として休日部活動の終了日を令和9年8月31日に統一しました。中学校体育連盟の大会区域と生活圏が重なる地域で足並みを揃えることで、合同チーム編成や大会運営の混乱を避ける設計です。
  • 「かとり地域クラブ」の認定制度: 市の活動ルールに従って活動するクラブを「かとり地域クラブ」として認定します。運営団体・運営主体として想定されているのは、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ協会、地域ボランティア団体、スポーツ少年団、保護者会等です。特定の民間事業者に一括委託するのではなく、地域の複数主体が担い手となる構成をとっています。
  • 認定クラブの活動内容を市サイトで全件公開: 認定された19団体について、種目・対象者・活動曜日と時間・活動場所・会費・保険料・アピール文・代表者連絡先までを市公式サイトで一覧公開しています。保護者が比較して選べる情報量を確保した点が特徴です。
  • 剣道は中学校区ごとにクラブを設置: 剣道は「香取剣道佐原五中クラブ」「同新島中クラブ」「同小見川中クラブ」「同山田中クラブ」「同栗源中クラブ」と中学校区ごとにクラブを設け、香取剣道連盟の六段・七段の指導者が中心となって指導します。市内中学校の剣道部と連携した練習会も実施しており、いずれも入会金・会費なし(保険料800円のみ)で運営されています。
  • 指導者人材バンクの登録要件を明示: 登録要件は4月1日現在で18歳以上、かつ部活動の実技または指導の経験を有し安全な指導ができる者と定められています。活動時間は休日(土日いずれか)3時間以内、平日(週4日以内)2時間以内という上限が設けられています。
  • 学校にない種目も募集対象に含める: 募集の対象種目は、中学校部活動にある陸上競技・野球・バレーボール・サッカー・卓球・柔道・ゴルフ・吹奏楽・合唱等に加え、学校にない活動として弓道・バドミントン・ソフトボール・茶道・囲碁・将棋等を挙げています。
  • 移行後の選択肢を5パターンで図示: 令和9年9月以降の生徒の選択イメージとして、A「学校の部活動と同じ種目の地域クラブ活動に参加」、B「学校の部活動と違う種目の地域クラブ活動に参加」、C「学校の部活動に入部していないが地域クラブ活動に参加」、D「民間や競技団体等のクラブ・教室に参加」、E「何も参加しない」の5通りを保護者向け資料に明記しました。

課題と解決策

課題 解決策
少子化により各学校単位での部活動維持が困難になり、経験のない教員が顧問になる状況も増えている 香取地域(1市3町)として休日の部活動を令和9年8月31日で終了し、地域クラブ等の活動へ移す工程を年度単位で定める
受け皿となる団体・指導者・練習場所を確保する必要がある 「かとり地域クラブ」認定制度と指導者人材バンクを設け、総合型地域スポーツクラブ・スポーツ協会・地域ボランティア団体・スポーツ少年団・保護者会等を運営主体として募集・登録する
市単独では受け皿が揃わず、隣接町との間で扱いが食い違うと大会運営に支障が出る 神崎町・東庄町・多古町を含む香取地域として終了日を統一し、広域連携で推進する
保護者が地域クラブの内容や費用を把握できず、参加をためらう 認定クラブの種目・活動日時・場所・会費・保険料・代表者連絡先を市公式サイトで一覧公開し、各学校でもチラシを配布する
令和8年度以降にどの種目が移行するのか、保護者に見通しを示せない 受け皿となる競技団体や指導者を検討している段階であることを「未定」と明示したうえで、中学校と連携して地域移行を進め、その状況を随時知らせると通知する
移行の過渡期に、地域クラブへ移っていない部活動の扱いが不透明になる 地域移行していない部活動は、それまで今までどおり継続して活動すると明記する

成果・効果

令和8年1月時点で、市は保護者向け通知の中で認定済みの地域クラブを紹介し、「今年度、多くの地域クラブが認定され、生徒の皆さんが活動できる地域クラブが、徐々に増えてきました」と進捗を報告しています。その後、認定地域クラブは19団体まで拡大しました。内訳は剣道6団体(香取剣道の中学校区別5クラブと佐原剣道教室)、ソフトテニス3団体、バドミントン2団体、バスケットボール2団体、陸上競技・テニス・サッカー・バレーボール・野球・柔道・競泳(水泳)各1団体です。

指導者人材バンクには、5月15日現在で81名が登録されています。種目別の内訳は剣道19名、陸上10名、ソフトテニス10名、野球7名、バレーボール7名、テニス4名、バスケットボール3名、ソフトボール2名、サッカー2名、卓球1名、バドミントン1名、吹奏楽1名です。剣道と陸上、ソフトテニスで登録が厚い一方、バドミントンや卓球、吹奏楽は各1名にとどまっており、種目による指導者確保の進み方の差が数字に表れています。

会費水準はクラブによって幅があります。香取剣道の各クラブと香取STC(ソフトテニス)は入会金・会費なしで保険料800円のみ、小見川陸上クラブは年会費4,000円、香取サッカークラブは入会金5,000円・月会費3,000円、香取バドミントンクラブは年会費15,000円と、無償に近いクラブから民間スクール並みのクラブまで並んでいます。

出典

→ 原文: 香取市「中学校部活動の地域移行(展開)について」

→ 原文: 香取市教育委員会「中学校の休日の部活動について(お知らせ)」(令和8年1月15日・PDF)

→ 原文: 香取市「認定地域クラブ・指導者人材バンク登録状況」

→ 原文: 香取市「かとり地域クラブ・指導者の募集」

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

香取市の情報公開は、地域移行の広報として一つの到達点にあります。認定した19クラブについて、種目・曜日・時間・場所・会費・保険料・アピール文・代表者の氏名と電話番号まで市サイトで公開しており、保護者は行政に問い合わせることなくクラブを比較し、直接連絡できます。地域移行の説明が「制度の説明」で止まり、結局どこへ子どもを預けられるのかが分からないまま不安だけが残る自治体が少なくないなかで、香取市は判断材料そのものを開示しました。もう一つ重要なのが、終了日を1市3町で揃えた点です。中体連の大会区域と生活圏が重なる地域では、隣町だけ休日部活動が残ると合同チームの編成や練習試合の調整が破綻します。終了日という最も譲れない一点を広域で先に合わせた判断は合理的です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

最大の論点は会費のばらつきです。香取市では剣道の各クラブや香取STCが入会金・会費なしで保険料800円のみである一方、香取バドミントンクラブは年会費15,000円です。競技の性格や施設費、指導者への謝金の有無で差が出るのは自然ですが、同じ市内で10倍以上の開きがあると、家庭の経済状況が種目選択を左右しかねません。認定制度を採る自治体は、会費の上限規制までは設けないとしても、就学援助世帯への参加費補助を制度化し、無償・低額クラブが特定種目に偏らないよう指導者確保を意図的に配分すべきです。次に指導者数の偏りです。香取市の人材バンクは剣道19名・陸上10名に対し、バドミントン・卓球・吹奏楽が各1名と、種目間で大きな差があります。市が「令和8年度以降の具体的な種目は未定」と正直に記しているとおり、登録の薄い種目は移行できません。終了日を確定させる方式を採るなら、登録が薄い種目のリストを早期に公表し、競技団体や近隣自治体、大学へ的を絞って働きかける必要があります。文化部は特に手薄になりやすく、吹奏楽1名という数字がそれを示しています。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

指導者登録要件(18歳以上、実技または指導経験があり安全な指導ができる者)と活動時間の上限(休日3時間以内、平日は週4日以内で2時間以内)を明文化し、市の活動ルールに従うことを認定の条件とした点は、安全管理と過度な活動の抑制の両面で妥当な設計です。運営主体を総合型クラブ・スポーツ協会・スポーツ少年団・保護者会など複数に分散させているため、特定事業者の撤退で一斉に止まるリスクも低く抑えられています。一方で、保護者会運営のクラブは代表者の子どもの卒業とともに担い手が入れ替わるため、代替わりの支援策が持続可能性の鍵になります。また令和9年8月31日という終了日に対し、令和8年度以降の移行種目が未定である点は率直に示されており、残り期間で受け皿が揃わない種目が出た場合の受け止め方を、早い段階で保護者と共有しておくことが求められます。

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