トップ 事例を探す 千葉県 【事例】千葉県白井市の部活動地域展開 ─ 月額2,800円を就学援助で補い、6種目から12種目へ半年で倍増
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 千葉県

【事例】千葉県白井市の部活動地域展開 ─ 月額2,800円を就学援助で補い、6種目から12種目へ半年で倍増

公開:2026.07.31 更新:2026.07.31
この記事でわかること

・月額2,800円という会費を公表し、事務局運営費は市負担・会費は就学援助で補う財源の分担
・受益者・指導者・事務局・協議会の4者で役割を先に定めた白井市の運営体制
・令和7年度に春夏6種目から秋以降12種目へ年度内で倍増させた段階拡大の進め方

自治体名 千葉県白井市
人口規模 約6万人(2026年時点)
中学校数 市立中学校5校(白井中・大山口中・南山中・七次台中・桜台中)
運営形態 民間事業者運営型(公募型プロポーザルで候補者を特定)。受益者・指導者・事務局・協議会の4者が連携する体制
対象競技 令和7年度は春夏に6種目、秋以降は6種目を加えた12種目(文化部を含む)
保護者負担額 月額会費2,800円(令和7年12月時点)。事務局運営費は市が負担し、就学援助制度で会費を援助

取り組みの概要

白井市は、学校部活動を「そのまま地域に移す」のではなく「地域ぐるみで広げ展開していく」という発想から、市の取組を「地域展開」と呼んでいます。令和5年度に陸上競技部の合同練習から着手し、令和6年中には市内の複数の部について平日のみを学校部活動とし休日は地域クラブで実施する形へ移行、令和7年秋にはすべての学校部活動へ拡大しました。令和7年末には文化部を含めて休日を完全に地域展開する計画です。令和7年度は4月から夏までの休日に前年度から引き続き6種目の地域クラブ活動を実施し、秋以降は新たに6種目を加えた12種目に広げています。運営は民間事業者運営型を選択し、公募型プロポーザルで候補者を特定しました。

特徴的な取り組み

  • 会費を月額2,800円と明示し、就学援助で補う: 令和7年12月時点の月額会費は2,800円です。事務局の運営費は市が負担し、会費については就学援助制度による援助を予定しています。会費水準を公表したうえで、負担できない家庭を制度で支える二段構えを組んでいます。
  • 受益者・指導者・事務局・協議会の4者体制: 運営体制を、会費を負担する受益者、実際に指導する指導者、日々の運営実務を担う事務局、方針を協議する協議会の4者が密に連携する形で整理しました。事務局は学校側との調整、指導者の手配・管理、参加生徒の募集登録、会費の徴収、出欠管理、外部団体との連絡調整、トラブル対応など指導以外の業務を担い、協議会は校長会役員・教頭会役員・市教育委員会職員・地域のスポーツ関係者などで構成することを想定しています。
  • 教育委員会直営との費用を比較したうえで委託を選択: 事務局業務を教育委員会が担う場合の専門非常勤職員の雇用コストを試算し、民間事業者の見積もりと比較したところ費用面で大きな差はなく、コストパフォーマンスと専門性を理由に委託を選んだと市は説明しています。将来的にはNPOなどが事務局運営を担うことを理想としています。
  • 希望する教員が校長の了承と市教委の推薦で指導者になれる: これまで部活動を指導していた教員のうち引き続き土日の指導を希望する場合、校長の了承と市教育委員会の推薦を得れば指導者として事務局に登録し指導できます。指導者には委託先登録の専門指導者、市内の地域人材、近隣の大学生も想定されています。
  • 民間事業者運営型を公募型プロポーザルで選定: 運営団体は民間事業者運営型を選び、公募型プロポーザルによって候補者を特定しました。価格のみでなく提案内容で選ぶ方式です。
  • 半年で6種目から12種目へ倍増: 令和7年度は4月から夏までの休日に6種目、秋以降は新たに6種目を加えた12種目の地域クラブ活動を実施しています。年度内に段階を分けることで、運営体制を確かめながら規模を広げています。
  • 学校と地域クラブを専用アプリでつなぐ: 学校の管理職および顧問と、地域クラブの事務局および指導員が専用のアプリを利用して情報交換できる仕組みを整えています。平日の学校部活動と休日の地域クラブの間で生徒の状況を共有するための実務基盤です。
  • 「地域移行」ではなく「地域展開」という呼称: 学校部活動をそのまま地域に移すのではなく、地域ぐるみで広げ展開していくという考え方を、呼称そのもので示しています。
  • 市のガイドラインで活動量を規定: 白井市小中学校部活動ガイドラインにより、顧問は2名置くこと、活動は平日2時間程度・休日3時間程度とし、週に2回以上の休養日を設けることなどが定められています。
  • 指導員の配置目安を生徒20名に1名と設定: 1種目1チームでも活動量と安全性を確保するため、指導員を配置する目安を生徒20名につき1名程度と定め、参加人数に応じて拠点を増やす方針を示しています。参加定員は設けていません。
  • 「秋」を移行の節目に選んだ理由を説明: 令和6年度・令和7年度とも秋を節目としたのは、夏の大会やコンクールが終わるとほとんどの3年生が引退するサイクルであり、生徒にとって最もスムーズなタイミングだと判断したためと市は説明しています。

課題と解決策

課題 解決策
地域クラブ化により保護者に新たな会費負担が生じ、経済的な理由で参加できない生徒が出る 月額会費を2,800円と定めたうえで、事務局の運営費は市が負担し、会費については就学援助制度による援助を予定する
市の職員体制だけでは地域クラブの運営実務を担いきれない 民間事業者運営型を選択し、公募型プロポーザルによって運営候補者を特定する
平日の学校部活動と休日の地域クラブが分かれることで、生徒の状況の共有が途切れる 学校の管理職・顧問と地域クラブの事務局・指導員が専用アプリで情報交換できる仕組みを整える
全種目を一度に地域展開すると運営が追いつかない 令和7年度は春夏に6種目、秋以降に6種目を加えた12種目と年度内で段階を分け、運営体制を確かめながら拡大する
誰がどこまで責任を負うのかが曖昧になりやすい 受益者・指導者・事務局・協議会の4者が連携する運営体制として役割を整理する
地域クラブでも活動が過度になり、生徒や指導者に負担が偏るおそれがある 白井市小中学校部活動ガイドラインで顧問2名配置、平日2時間程度・休日3時間程度、週2回以上の休養日を定める
1種目1チームでは人数が多くなり、活動量や安全性を確保できないおそれがある 指導員を配置する目安を生徒20名につき1名程度とし、参加人数に応じて活動拠点を増やして対応する
市内5つの総合型地域スポーツクラブは会員・指導者の高齢化により、現状では中学生の指導や大会への引率が難しい 当面は民間事業者への委託で事務局を運営しつつ、総合型地域スポーツクラブとの将来的な連携を視野に入れる

成果・効果

白井市の地域展開は、令和5年度の陸上競技部の合同練習から始まりました。令和6年中には市内の複数の部について平日のみを学校部活動とし、休日は地域クラブで実施する形へ移行しています。令和7年秋にはすべての学校部活動へ対象を拡大し、令和7年末には文化部を含めて休日を完全に地域展開する計画です。令和7年度の種目数は、4月から夏までの休日が6種目、秋以降は新たに6種目を加えた12種目となり、半年で倍増しました。費用面では令和7年12月時点で月額会費2,800円が設定され、事務局運営費は市が負担、会費は就学援助制度による援助が予定されています。運営面では民間事業者運営型を公募型プロポーザルで選定し、学校と地域クラブの間の情報交換には専用アプリが導入されています。

出典

→ 原文: 白井市「学校部活動の地域展開」

→ 原文: 千葉県「千葉県の部活動地域移行(地域展開)に関する先行モデル事業」(令和7年度実証事業 参加自治体取組概要)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

多くの自治体が会費を「今後検討」としたまま移行時期だけを先に打ち出すなかで、白井市は月額2,800円という金額を公表し、あわせて事務局運営費を市が負担する、会費は就学援助制度で援助する、という財源の分担まで示しました。保護者が判断するために最も必要な情報を出している点が第一の特徴です。第二は、運営体制を受益者・指導者・事務局・協議会の4者で整理したことです。地域クラブの運営が行き詰まるのは、たいてい会費の決定・指導者の手配・日々の連絡調整・方針の変更といった役割が誰に属するのか曖昧なまま走り出したときです。4者に分けて先に置いたことは、後々のトラブルの芽を減らします。呼称を「地域移行」ではなく「地域展開」としているのも、学校の負担を外へ押し出すのではなく地域ぐるみで広げるという立場の表明として一貫しています。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

会費を全種目一律に設定する方式には利点と難点の双方があります。利点は分かりやすさと公平感で、種目によって負担が変わらないため保護者の納得を得やすくなります。難点は原価との乖離です。用具や会場費のかかる種目と、体育館とボールがあれば成立する種目では実費が異なるため、一律会費だと種目間で内部補助が発生します。導入する自治体は、種目別の収支を年度末に事務局で集計し、赤字種目と黒字種目の構造を把握したうえで、次年度に一律を維持するか種目別に分けるかを判断する運用にしておくべきです。もう一点は、民間事業者運営型の契約期間です。公募型プロポーザルで選定した事業者が数年後に契約更新しない、あるいは条件が折り合わない場合に、指導者の雇用と会員データをどう引き継ぐかを契約時に定めておく必要があります。専用アプリについても、事業者固有のシステムであれば移行時にデータが失われないよう、所有権と引継ぎ条件を仕様に明記すべきです。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

白井市小中学校部活動ガイドラインで顧問2名配置、平日2時間程度・休日3時間程度、週2回以上の休養日を定めており、活動量の歯止めが文書として存在します。事務局運営費を市が負担し、指導者への謝金など変動費を会費で賄う切り分けは、会費を低く抑えつつ運営を成り立たせる構造として合理的です。就学援助による会費援助まで制度化していることで、費用を理由とした参加断念を減らす設計になっています。一方で、市の負担分である事務局運営費は毎年度の予算に依存するため、事業者委託料が上昇した際に会費へ転嫁するのか市が吸収するのかという判断基準を、あらかじめ協議会で共有しておくことが望まれます。

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