【事例】北海道岩見沢市の部活動地域展開 ─ 拠点校部活動で9種目に集約し、元校長コーディネーターと総合型クラブSLDIが休日活動を実証
・拠点校部活動で9校の部活を9種目に集約してから地域クラブ化する岩見沢市の段階設計
・元校長コーディネーター+総合型クラブSLDI委託+地元企業の選手派遣による運営体制
・活動1回あたり1人814円〜1,906円という経費試算から見える会費と公費負担の分岐点
| 自治体名 | 北海道岩見沢市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.3万人(令和7年度・スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 市立中学校8校+義務教育学校1校(令和7年度・生徒1,696人・運動部58部) |
| 運営形態 | 総合型地域スポーツクラブ(一般社団法人SLDI)への業務委託。市教育委員会学校教育課に部活動コーディネーター1名を配置 |
| 対象競技 | 実証:軟式野球・男子バレーボール(令和6年度)、バレーボール(令和7年度)。拠点校部活動は9種目(令和7年度) |
| 保護者負担額 | 実証事業の参加会費は年額1,000円(スポーツ安全保険料800円/年は別)。市の試算では活動1回あたり1人814円〜1,906円 |
取り組みの概要
岩見沢市は平成16年に北海道教育大学岩見沢校と相互連携協定を結び、令和3年度から部活動改革の協議を始めました。市立中・義務教育学校9校の間で部活動の設置数に大きな差があり、小規模校では選択肢が極端に少ないこと、運動部の指導者の60%が専門外の種目を担当していることが出発点です。市は令和5年度から、当該種目の部活動がない学校の生徒も受け入れる「拠点校部活動」を導入し(令和5年度3種目→令和7年度9種目)、部活動の数を集約したうえで種目ごとに地域クラブ化を進める方針を取っています。令和6年度はスポーツ庁の実証事業として軟式野球と男子バレーボールを、令和7年度はバレーボールを、一般社団法人SLDIへの業務委託で休日に実施しました。
特徴的な取り組み
- 元中学校長を部活動コーディネーターに任用: 令和5年度から市内中学校の校長退職者を市教育委員会に配置し、9校を年2回訪問して校長・顧問と面談。部活動の設置状況、参加生徒数、専門指導者の人数を可視化し、少年団や高校部活動まで含めた種目ごとの競技人口の推移を分析しています。地域クラブ化した場合の大会出場条件の整理や、協議会での現状説明もコーディネーターが担います。
- 「拠点校部活動」で部活数を集約してから地域クラブ化: 合同チーム編成に加え、令和5年に3種目で始めた拠点校部活動を令和7年には9種目まで拡大。他市町からの参加者も増えています。市は「市内の部活動設置数を集約したのちに、各種目の実情に応じて地域クラブ化を進める」と段階を明示しています。
- 地元企業の社会人野球チームが指導・施設で協力: 令和6年度の軟式野球では、社会人野球チームを持つ株式会社トッキュウが選手を指導者として派遣し(3回・各回5名)、屋内練習場を開放(全10回のうち3回)。民間事業者が地域クラブに社員を派遣する仕組みを実践しました。
- 3カテゴリ編成と小学6年生の体験参加: 令和7年度のバレーボールは市内全校と近隣市町村の生徒を3チーム(中2が33人参加するCチームなど)に分け、専門指導者のもとで合同活動。小学6年生の体験参加を呼びかけ13名が参加しました。
- 教育大と連携した指導者研修をオンライン化: 令和6年度は集合研修(18人・15人参加)の日程調整が難しかったため、令和7年度はオンライン90分に切り替え、フィジカルリテラシーの考え方や連絡アプリを使った運営効率化を扱いました。生徒の出欠確認や指導者間の連絡はスマートフォンアプリ「band」で一元化しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 実証事業の指導者の大半が教員で、活動日ごとに参加できる指導者が入れ替わり指導の一貫性と保険料に影響した | 競技団体・少年団・クラブチームとの協力体制を整えて地域人材を発掘。令和7年度はBチームを教員なし・地域指導者のみで実施 |
| 受益者負担だけでは団体運営費まで賄えない(団体運営費込みで1回1人1,906円) | 指導者報酬を市の部活動指導員と同程度に設定して活動経費を抑制。公費支援の適正規模と企業寄付・スポンサー料、金銭以外の活動協力を検討 |
| 協議会の構成員の知識量に差があり議論に支障が出る場面があった | 構成員の見直しと勉強会の実施。令和8年1月に関係者向け広報イベント(42人参加)を開催し有識者講演とワークショップを実施 |
成果・効果
令和6年度は2種目で93人が参加し、活動18回の経費(活動費+保険)は579,979円、1人あたり6,236円に対し参加費は1,000円で、不足額は1人5,236円と市が公表しています。令和7年度はバレーボール73人・全9回で、指導者謝金と保険料のみなら1回1人814円、会場使用料・消耗品・団体運営費まで含めると1,906円と試算し、「通常活動の経費のみなら月4回でも3,000円付近で実施できるが、団体運営費を含めると受益者負担のみの運営は困難」と結論づけています。実証したバレーボール部は指導者が中心となって令和8年度から地域クラブとして活動を始める方向で、市は令和8年度以降に運営団体の体制整備と地域クラブ認定制度の構築を予定しています。小学6年生へのアンケートでは、中学校で部活動に取り組みたいかという質問に「平日のみ」52%、「平日も休日も」27%、「休日のみ」5%、「取り組みたくない」16%という結果も得ています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 北海道岩見沢市」(報告書検索システム)
→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 北海道岩見沢市」(報告書検索システム)
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