【事例】北海道北広島市の部活動地域展開 ─ 一般社団法人へ委託し4種目の休日体験会に延べ417人、運営コストから1人月12.8千円の必要経費を試算し部活動並みの負担との差を示す
・一般社団法人へ業務委託し、4種目の休日体験会に延べ417人が参加した北広島市の試行の進め方
・事業費338万円の98%が公費という収支と、1人あたり月12.8千円の必要経費・月10.8千円の差額の試算
・通常体験会と特別体験会の二本立て、競技協会のコーディネート機能、委託契約で定めた安全管理
| 自治体名 | 北海道北広島市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約5.6万人(56,092人・令和8年1月31日現在、令和7年度スポーツ庁成果報告書記載) |
| 中学校数 | 公立中学校7校(生徒1,387人・運動部39部) |
| 運営形態 | 民間委託(公募型指名競争入札で選定した一般社団法人A-bank北海道に業務委託。運営体制の整備、地域クラブ活動の実施、指導者謝金の支払い、保険加入、連絡体制、参加料収入の受領を担当)。教育委員会社会教育課が主管し、文化課・首長部局のスポーツ振興課・財政課が分担 |
| 対象競技 | バスケットボール、バレーボール、卓球、剣道の4種目(令和7年度は試行の体験会形式) |
| 保護者負担額 | 通常体験会は無料、特別体験会のみ1回200円。スポーツ安全保険は生徒1人あたり800円/年 |
取り組みの概要
北広島市では少子化により、サッカー部・軟式野球部・バレーボール部が他の中学校と(一部)合同チームで活動するようになりました。部活動が成り立つ学校と、合同部活動でなければ成り立たない学校が生じており、生徒数も年々減っています。市は令和13年度までに休日の部活動の地域展開を完了させることを目指し、「中学生期のスポーツ・文化芸術活動の維持・創出」を事業理念に据えています。令和6年度は合同部活動の枠組みを使った委託指導者の配置と、市内在住の中学生向けスポーツ教室の2つのモデル事業を行いました。令和7年度は5月に公募、7月に公募型指名競争入札で一般社団法人A-bank北海道と契約し、11月〜翌2月の休日にバスケットボール・バレーボール・卓球・剣道の体験会を開きました。協議会は未設置で、関係団体を集めた意見交換会を定期的に開いています。推進計画・ガイドラインは未策定です。
特徴的な取り組み
- 「通常体験会」と「特別体験会」の二本立て: 地域人材が指導者となって定期的に開く通常体験会(延べ330人)とは別に、著名な指導者や元アスリートを招いた特別体験会を4回開き、延べ87人が参加しました。特別体験会は競技力の向上やスポーツを楽しむきっかけづくりに加え、「持続可能な集客モデルの模索」も目的にしています。
- 多様な指導者52人: 兼職兼業の教員、少年団指導者、大学生、競技協会の指導者、元アスリートなど52人が指導しました。中学生への指導経験が少ない指導者のために経験豊富なメイン指導者を置いてサブ指導者を配置し、大学と連携してライセンス資格を持つ大学生を中心にした指導も行っています。
- 競技協会がコーディネート機能を発揮: コーディネーターは配置していませんが、種目によっては競技協会が指導者との連絡調整や学校顧問との情報連携を担いました。事業開始時には中学校の部活動顧問と直接対話し、平日と休日の指導方針の連動や生徒の特性を共有しています。
- 部活動顧問とのグループワーク: 顧問を集めたグループワークで、地域連携の手法の一つとして「合同部活動化」について意見を交わし、今後の方向性の示唆を得ました。
- 契約条項で安全管理を規定: 委託契約に事故対応マニュアルと災害時対応マニュアルの策定、救急セットの常備を盛り込みました。活動前に参加生徒延べ417人と指導者52人全員のスポーツ安全保険の加入手続きを終えています。参加申込や連絡には委託事業者のLINEやWebページを使いました。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 保護者が許容できる範囲の会費では、質の高い指導者の確保や安全管理に必要な運営コストを賄えない | 受益者負担の適正な設定に加え、企業版ふるさと納税、地元企業からの協賛、用具の寄附など多様な民間資金を組み合わせる仕組みを関係団体と進める |
| 学校間の調整を市が担う比重が大きく、属人的な調整に依存している | コーディネーターの役割を明確化して連絡調整窓口を一元化し、運営団体の自立化に向けたサポート体制を検討する |
| 参加者や活動回数が増えると、現金での都度徴収や手作業の連絡調整が大きな事務負担になる | キャッシュレス決済やクラブ運営支援アプリなどICTツールを導入し、出欠管理・参加費徴収を一元化する |
| 経験の浅い学生・若手指導者の指導力の底上げと、卒業・就職後も関わり続ける定着の仕組み | 連盟や大学と連携し、発育発達段階に応じた指導法やハラスメント・事故防止の研修会を定期開催する |
| 恒常的な活動には、移動負担の軽減とアクセスの良い活動拠点の確保が必要 | 学校施設を拠点とした活動の有効性を検証し、徒歩・保護者送迎でのアクセスを確認した |
成果・効果
4種目の実施回数は合計25回で、参加者は延べでバスケットボール154人、剣道105人、バレーボール94人、卓球64人でした。アンケートでは「非常に満足した」「満足した」などの肯定的な回答が多く、市は部活動と異なる環境での指導や、他校・小学生を交えた活動が満足度の高さにつながったとしています。参加生徒からは「北広島には卓球クラブが無く、学ぶ機会が無かったためぜひ参加したいと思いました」「剣道部に所属していますが、多くの人と稽古できる機会は滅多にないので気になりました」という声、保護者からは「普段と違う環境での練習、他チーム選手、部外の指導者との関わりが、今後の競技のみならず、成長過程においてあらゆる可能性を与えてくれると感じました」という声がありました。特別体験会の1回200円の参加料は、保護者の理解を得て円滑に徴収できたとしています。
事業費は合計338万円で、収入の98%(333.1万円)が公費、受益者負担は1%(1.7万円)でした。支出は事務局運営費が66%(人件費175万円など)、地域クラブ活動費が34%(指導者謝金94万円など)です。市はこの実績から、1回あたりのコスト13.5万円、指導者を2人配置とした場合の1回5.4万円、1回あたり参加者16.6人をもとに、参加者1人あたりの負担額を1回3.2千円、休日月4回で月12.8千円と試算しました。中学校部活動の平均的な負担額である月2千円を参加費とすると、差額は1人あたり月10.8千円になり、この差を公的資金と民間資金でどう埋めるかを今後の課題に挙げています。なお、この試算には運営団体が毎回現場を管理した人件費が含まれており、本格実施で指導者が現場管理も担えばコストは下がる見込みとしています。
出典
→ 原文: スポーツ庁「令和7年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 北海道北広島市」(報告書検索システム)
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