トップ 事例を探す 北海道 【事例】北海道江別市の部活動地域展開 ─ 3地区分散の拠点校方式と市内4大学連携で休日展開を目指す基本方針(案)
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 北海道

【事例】北海道江別市の部活動地域展開 ─ 3地区分散の拠点校方式と市内4大学連携で休日展開を目指す基本方針(案)

公開:2026.08.11 更新:2026.08.10
この記事でわかること

・江別市は3地区分散の拠点校方式で休日は令和10年度末、平日は令和13年度末までの地域展開を目指す
・社会人クラブとの協定や市内4大学連携・指導者バンク構想で指導者確保を進める
・冬期の移動制約を正面から認め、平日と休日で目標時期を分けた設計が他の積雪地にも参考になる

自治体名 北海道江別市
人口規模 約11.8万人(令和8年8月1日時点・住民基本台帳)
中学校数 市立8校(生徒2,946人・令和7年5月1日時点)
運営形態 行政主導(江別市教育委員会。地域クラブの運営主体は今後検討)
対象競技 全部活動(準備が整った種目から順次展開)
保護者負担額 未定(方針案に「適正な保護者負担を検討します」と明記)

取り組みの概要

江別市は、少子化の進展と指導できる教員の不足を背景に、令和5年7月に「江別市部活動の在り方検討委員会」を設置しました。委員会6回・ワークショップ3回の開催と児童生徒・保護者・教員アンケート(令和5年9〜10月)を経て、検討委員会は令和7年3月に「江別市立中学校における部活動の地域展開に関する提言」を教育委員会へ提出。これを受けて市教育委員会は令和8年2月、「江別市立中学校部活動の地域展開に係る基本方針(案)」をまとめ、定例教育委員会での審議に付しました。方針案は、休日の地域展開を令和10年度末まで、平日を令和13年度末までに実現する目標を掲げています。市立中学校の部活動は平成24年の138部から106部(令和7年5月1日時点)まで減少し、令和6年度には平均で約4割の教員が1か月の時間外勤務上限とされる45時間を上回っており、従来の体制での運営が困難になっていることが背景にあります。

特徴的な取り組み

  • 3地区分散の拠点校方式: 生徒の移動距離を考慮し、市内を江別・野幌・大麻の3地区に大きく分けて拠点校や地域クラブを複数設置することを検討。種目ごとに拠点校を設け、複数校の生徒を受け入れる構想です。
  • 社会人クラブチームとの協定: 令和6年3月に社会人バスケットボールチーム・社会人硬式野球チームと「生涯スポーツを楽しめるまちづくりを推進する協定」を締結。令和6年度には協定に基づきバスケットボールの部活動指導員の紹介を受けたほか、小中学生対象の野球教室が実施されました。
  • 市内4大学と連携した指導者確保: 指導を希望する教員に加え、退職教員や市内4大学の大学生、地域住民など幅広く指導者を発掘。「ほっかいどう部活動・地域クラブ活動サポーターバンク」の活用や(仮称)江別市部活動指導者バンクの検討も提言に盛り込まれています。
  • 「江別市子どもが主役のまち宣言」を契機とした位置付け: 令和6年11月の宣言を契機に、地域ぐるみで子どもの成長を支え、部活動を持続可能な活動としていくために地域展開を進めるとしています。
  • 教員の兼職兼業支援: 部活動の指導を希望する教員は、教育委員会へ申請し兼職兼業が認められる場合には、地域クラブ等から報酬を受け取って指導することが可能です。

課題と解決策

課題 解決策
指導経験・活動経験のどちらか又は両方がない教員が約3割。市立8校すべてが部活動指導員の導入を希望 令和6年度から部活動指導員を導入。拠点校への複数指導体制や任用時研修も検討
冬期間の移動や吹奏楽の楽器運搬が困難(平日の拠点校方式は難しいと整理) 3地区への分散配置で移動距離に配慮し、種目や地域の実情に応じて弾力的に移行
保護者の移動手段・金銭的負担への不安 経済的に困窮する世帯への支援や、ふるさと納税・企業協賛など新たな財源確保を検討

成果・効果

方針案の段階のため地域展開そのものの数値的成果はまだありませんが、令和6年度から部活動指導員の導入が始まり、社会人クラブとの協定に基づく指導員紹介や野球教室が実現しています。年度別スケジュールでは、令和8年度に拠点校方式の検討・部活動種目の再編成・指導者確保、令和9年度に拠点校方式の導入と休日の地域クラブ活動の体制整備(一部試行)、令和10年度に地域クラブ活動の段階的開始、令和11〜13年度に平日部活動の段階的縮小を予定しています。移行時期は一律に適用せず、種目や地域の実情に応じて弾力的に進めるとしています。

出典

→ 原文: 江別市立中学校部活動の地域展開に係る基本方針(案)(令和8年2月・江別市教育委員会)
→ 参考: 江別市部活動の在り方検討委員会(江別市公式サイト)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

江別市の設計で注目すべきは、平日と休日で移行の難度が全く異なることを正面から認めた点です。北海道特有の冬期間の移動制約を踏まえて「平日における拠点校方式の導入は難しい」と資料に明記し、休日は令和10年度末・平日は令和13年度末と目標時期を分けました。江別・野幌・大麻の3地区分散は、生徒の移動負担と受け皿の規模のバランスを取る現実解であり、積雪地の自治体が拠点校方式を検討する際の参考になります。社会人クラブとの協定を指導者確保の入口に使っている点も、資源の少ない自治体が真似しやすい工夫です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

拠点校方式は学校間の距離と移動手段が成立条件です。江別市は3地区という地理的まとまりがあるため成立しやすい一方、より広域の自治体では地区割り自体が難題になります。また、社会人クラブチームや市内4大学という指導者供給源は都市近郊ならではの資源であり、そのまま移植できるとは限りません。導入を検討する自治体は、まず域内の協定候補(企業チーム・大学・高校)の棚卸しから始め、拠点数を欲張らずに移動可能な範囲で設計することがポイントです。保護者の送迎可否によって生徒の選択肢に差が出ないよう、移動支援の検討も初期段階から必要です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

検討委員会(約2年)→提言→基本方針(案)→推進会議設置という段階を踏み、アンケートとワークショップで生徒・保護者・教員の声を取り込んだ合意形成プロセスは透明性が高いといえます。一方、地域クラブの運営主体と保護者負担額は未定で、財源もふるさと納税・企業協賛の検討段階です。持続可能性の本格的な評価は、運営主体が確定する令和9〜10年度の体制整備が試金石となります。

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